■エルゴプラクシー15生 悪夢のクイズSHOW 30分DE100万点!/WHO WANTS TO BE IN JEOPARDY!_s佐藤大マツモトジュンイチc&d山本沙代g小田剛生山本善哉g補佐恩田尚之山田正樹寺田嘉一郎小森秀人坂本千代子又賀大介

素晴らしい変則回。最初は、何事かとびっくりしたけど、ちゃんとこのシリーズのツボははずさず、抑制がきいていて、かなり面白かった。物語世界のパースペクティブが一挙に広がったし。


さて、話としては、世界の復活のために世界に放たれた300体のプラクシーの内の一体が、もはや自分を必要としない世界に対して反逆を試みるというベースがあり、その手法が軌道上に浮かぶ衛星から真実を世界に放送するということだった・・・って事だと理解しました。これが第一の要素。


次に、どうやらプラクシーには対決する本能があり、現在、この世界のプラクシーの頂点に立つのが「プラクシーワン」。その「勝ち組」の影響力が大きくなりつつある世界の中で、今回のプラクシーは、そこに肉迫すべく、ビンセントと対決を実行。対決する手法は、自分が世界に向けて放送しているバラエティ番組内の規則に則った対決・・・・かなりアホなプラクシーかも。
(というか、だとすると、自分でパラメータをいくらでもいじれるのに自殺にも等しいアホな敗れ方なので、実は生きているのかもね。・・・はっ、まさかあざなは、放送の代理人?)


ということで、この回は、反逆のプラクシーに囚われたビンセントとリルとピノが、そのプラクシーが作った反逆のフォーマットに則り、クイズ番組の回答者として、演出されるという趣向。そして、コレがプラクシー同士の戦いでもあるという構造ですかね。


復活の日の為に準備されたドーム市の飼い慣らされた「良き市民」へ送るその放送が、民衆の注目を引くようなフォーマット、すなわち、通俗的なクイズ番組のカタチをしているのが、意地悪で素敵な目線だと思ったのだけどどうでしょうか。


ところで、華やかな放送の世界に萎縮するビンセントは、シリーズ初期のころの顔形。司会者(たぶんこの人がプラクシーなんでしょうね)の強制に、弱々しく従うビンセントが、後半自分を取り戻すに連れて、凛々しいビンセントになっていきます。(しかし、最後まで状況に飲まれたままで、ここが不満かな・・・・)
あと、リルはこの馬鹿げた茶番にふてくされていたり、ピノは大喜びだったり、ツボをちゃんと押さえていて好印象。


◆◆以下メモ◆◆
・設定の大判振る舞いなので、記述が多くなっちゃった。
====================================
・アバンでいきなり、ビンセントが、ピタゴラスだの、ノーベルだの、天文単位だの、一般常識を答えるクイズに解答者として対峙していて・・・びっくりした。非常に不安に思ったが、杞憂に終わってヨカッタ。
・この場面、ビンセントが一切答えられないのに意味があって、きっと再生された人類から漏れている知識だってのを暗示しているのでしょう。
・「この曲のタイトルは?」というクイズで、OPにはいる構成。
・OP終わって、「たく、あんなに間違っていたのに、曲名はばっちり正解するなんて・・うーん、オトナ」という、番組製作者レベルの顔まで一挙に立ち上がってくるメタなセリフがナイス。


・(わたしはここ2年んほど、バラエティ番組はまったく見ないのですが)日本の最近のクイズ番組をかなり忠実に再現していると思しきノリとゴテゴテのCG映像。
「この番組は30分で100万点とればいいという、極、単純なクイズ番組です。」
「さまざまな問題をクリアし、見事100万点に達すると、こちらの豪華賞品をゲット。」
「更に副賞として100万点を越えたその瞬間、司会のMCQは死んでしまいます。」


「で、100万点に達しなかったらどうなるんだっけ?段々歳をとりながら説明してちょうだいね。」
「100万点に達しなかった場合は、/残念ながら挑戦者は死んでしまいます。/死なないようにがんばって答えてくださいね」
「毎週、ここのアドリブだけが楽しみ・・ソウミちゃん!」


・サブタイトルは、CM前のスポンサー一覧の表示に似せた画面に、埋没しているという凝りよう。しかし、スタジオ観客はみなオートレイブで、異様な雰囲気は出ているのでした。


・生死がかかっているのに、商品が冷蔵庫、ディスプレーテレビ、電子レンジ・・・・「天国ツアー」というのがもしかして目玉商品?
・穿ちすぎかも知れないけれど、「古い地球の映像ライブラリーから、学習したクイズ番組」感が良く出ていると思った。学習したのは、もちろん21世紀初頭の日本のクイズ番組。


・印象を順に12列挙し、誰について語っているのかを当てるクイズ。
「黒い服が好き」で「目つきが悪く」て「意外と歳くっている」で、リル・メイヤーというオチは、予想できるけど、びくびくしているビンセントとか、正解を確信して微笑む様子とか、ガラスの筒に閉じこめられてリルの声がきこえないところとかいろいろ相まって結構わらってしまった。
・「黒い服が好き」「目つきが悪い」「見かけは若い」「寒さに強い」「人見知り」「ビンセントのことが気になっている」「無口がウリ」「案外涙もろい」「裏表がありそう」「唯一な勝ち組」「青空の下ではハダカ」シルエット・・・・・・で、「プラクシー・ワン」って、私たちは「えっ、誰・・・」というビンセントと同じ状態ですね。


・映像にモザイクかけて、何を作っているのかを当てるというクイズ。映されるのは、ロムドでリルがデダルスに見せてもらった人間製造工場。
しかし、クイズの答えは、「人間」ではなく、「なにか」。この答え、物語の根幹に関わるらしく、ぼかして明言されません。
・軽薄な支配者のヒント「見た目は似ているけど、ちょっと違う。」
「でも別にそれは誰がわるいってわけじゃない。その原因も予定外だったからなんだけどもね。」
「ほらほろ、この星の環境が良くなるまでの時間が、作り手が考えるよりもかかりすぎちゃったでしょう。だから計算がヘンになっちゃったのかな。」
「まず、過ごすのに、ドームなんかが必要になっちゃったでしょう。」


・衛星からの放送を受信し、受信妨害などの手をこうじるラウル警備局局長。
その背景で、放送は、上記に続く回答の場面で興味深いことを説明口調で説明しているのですが・・・・・大切なとこなのに、一部、聞き取れないっす。
「予想された目覚めの環境より過酷な状態で、計画がスタートすることになってしまいました。こうした過酷な状況下で、多くの創造主が陥ったのが、種の起源として大切に保存してきたデータの容量オーバー。」
「その都市では、環境の変化に適応する力を必要としない。そのため、基本データとしてオリジナルの身体を使って・・・・・・・最大の特徴としてオリジナル同様交配で子孫を作ることが出来ず、ゆえに、プログラムとして不完全であり、破棄されるべき存在。創造主の敗北を示す。それでもそんな失敗作である存在を創造主として愛でているようなものは敗北者である。」


・更にモザイクのクイズ。
「奴らが最後に作ったヤツ。おおきいの!」
「でも、おおいそぎだったから、みんな乗せられなかった、役立たず。」
「そういう意味では、みんなも恨みあったりする」
「ほろほら、上に逃げる時使ったヤツ。」
・正解は、「ブーメラン・スター号」ですって。
・「迫り来るジャッジメント・ディ。審判の日。急激に加速した世界の崩壊から逃れる為の本来的な意味での切り札。惑星間移民までも可能にした人類が最後に作り出した道具であり、究極の叡智を注ぎ込んで完成したと言われる、俗に疎開船とも言われ、静止軌道上で造船された宇宙船。」


・早押しクイズ。100万点で勝利なのに、現在9万点なビンセント。一問3万点だから、31問正解しないといけないのに、ビンセントが勝利する不自然。なんだか、このプラクシーが意図的にビンセントに勝たせたような気もするな。


・クイズで表明された知見。ひょっとするとミスリードの可能性はありますが。

  • メタンハイドレードの連鎖崩壊で地球上の85%の人類が死滅。
  • 人類再生の計画。ダブルピー、すなわりプラクシープロジェクト。
  • ラクシーは、再生を果たした人類にとって最も不要な存在。
  • ラクシープロジェクトによって、300体のプラクシーが世界に放たれた。
  • 「はじまりの鼓動」とは、プラクシープロジェクトの終了を表す。
  • コギトウィルスは、人類再生を目指すもう一つの計画「ブーメランプロジェクト」による発現らしい。
  • ラクシーは、聖眼を持つ。


・そのほか、キーワードが。
「太陽」「運命」「コンダクター」「失敗」「分裂」「契約」「身代わり」「忘却」目覚め」「戦い」「享受」「理解」「迷宮」


・ビンセントがクイズに勝って、司会者のプラクシーが、特別に明かすと言って放送に流す赤髪のプラクシーの映像。
「本当の勝ち組、全世界の優勝者であるプラクシー」劇中語られるところの、プラクシーワンですかね。


・最後までバラエティクイズ番組の結構を崩さない潔さ。
このクイズ番組の背後を忍ばせるセリフはこれだけ。
「・・・まあ、仕方ない。これもプラクシーの戦いかたってやつですかな。」


・いつもは予告の位置で。
「みなさん。僕らが倒すべき相手と、その起源はここですよ。さあ、みんなで・・・・・」
さっきの司会者プラクシーが、ヨーロッパっぽい場所を指しながら、ニュースっぽく語るのでした。目から稲妻が出て画面を覆い、砂嵐状に乱れた映像。