■エルゴプラクシー19少女スマイル/Eternal Smile_s浅山祐介佐藤大c渡辺信一郎d山本沙代g小森秀人坂本千代子

◇バックス・バニーが、物理法則と文法を一切無視して、ナンセンスな悪ふざけを延々繰り広げるような、アメリカ的アニメーションのキャラクター・・・・・・・そんな連中がナゼかピノの前に現れる・・・・・。
SEまで凝りに凝っていて、ぴゅーんと飛ぶように走る効果音とか、大あわてで走る音をカタカタとゆー、打楽器?の音で表現してみたりとか、非常に懐かしいカンジがした。
またもや、ワタシの大好きなメタ物語で、素晴らしい。面白かった。


◇シンプルで、裏表のない健全な人々。常に笑顔で満ちあふれていて、ひとかけらも陰影がない世界。そこには、偽善などと声高にさけぶ人もいず、人生は苦海だなどとつぶやく人もいるはずもない。
超ざっくり言うと、大昔のアメリカ家庭映画がもっていた世界のイメージ?(済みません。テキトーなイメージで書いていて。)
そんな世界を理想とした創造主が作った模造の楽園。・・・それは、カトゥーンの棲息する世界「世界スマイル園」だった。


◇Bパートの後半に、ピノの体験しているスマイル園の世界は、夢であることが明示されていますが、「夢であって、夢じゃない。」との創造主ウィル・ビィ・グットの言葉通り、少なくとも、この夢を脳内で現実として認識している存在が、一切描写されなかった現実のスマイル園の中に棲息しているのだと思ってみたりしたのだけど。。。(このカトゥーンの世界が、リアルに存在しているハズもないので、カプセルに入った存在が並んでいる姿を想像しちゃった・・・・)
「現実を、少しでも忘れさせる為・・、終わりの時まで少しでも恐怖に怯えないよう・・・そう、この街の人々は生まれて死ぬまで、ずっとここで遊び続ける。・・そして、何も知らずに幸せのまま世界の終わりを迎えられる。」というグットの説明もそんなカンジに聞こえるし。


◇第16話のクイズの回も思い返せば、自分の「保護対象の存在」に、恐怖も愁いも抱かせない為に、クイズ番組という娯楽を提供していたプラクシーだったのかも。しかし、なあ、目的はわかるが・・・・「もはや意味不明」?


そういった意味では、あまりにもカトゥーンの世界を愛しすぎてしまった為(原画書いてますもの)、カトゥーンのノリが世界律となっていて、自分が作った世界に振り回される創造主ってカンジになっているウィル・ビィ・グットが、とりあえずの理解の補助線なのかもと思った。
彼のふりまわされっぷりは、大変味わい深かった。
例えば、ピノを自分のところに連れて来るという目的は明確で、しかも自分でコントロールできる夢のはずなのに、アナーキーなカトゥーンのキャラクターに引きずられて、いつまでたっても「話がすすまない」ところとか。最後にキャラクター達に反逆されて、ぶち切れるところとか、非常に見応えがありました。


そんな風に「その世界を愛して物語を作り、愛した世界に引きずられて(時に)訳の分からないものつくってしまう」と言う意味では、ティム・バートンとか、タランティーノみたいなプラクシーなのか。・・・・・・・・・(彼等の作品は好きだけど)なんかイヤな状況かもと冷や汗をたらしてみる。


◇さて物語としては、この世界の創造主であり、プラクシーであるウィルが、ピノの夢に干渉してきたのは、「プラクシー同士が出会った時、彼とワタシは戦わなければならない」ため。
自分の世界の崩壊を避けたいウィルは、ピノから、あらかじめビンセントの弱点を聞き出そうとし、それが適わぬと悟るや、ビンセントがスマイル園に立ち寄らないように手配してくれと懇願するという、珍しい展開。


ピノの懇願に従って、ビンセントは、現実のスマイル園にはよらずに、ロムドへと向かう。一度も描写されることがなかった現実世界のリアルなスマイル園で、どんな悪夢が繰り広げられているかというと・・・・・・・知らないほうがいいか。


◇ところで、コレは、なにかモデルがあるのでしょうか。
ウィルがわざわざ白黒の荒れた画像で表現されているところや、その味わい深い大げさな身振りとか、「グッド、グッド!」などを見ると、なにやら古いアニメーションとか、古い映画を引用しているような気もしたけど、教養がないのでわからないや。


◇話は変わって、2話も前になるけど、ラプチャアがどこに向けて発射されたのか、気になって仕方がない。どうなったんだー


◆◆以下メモ◆◆
・「・・さあ、目を覚まして。・・これからショータイムが。・・ほら」冒頭の白黒にキズが入ったフィルムのカウントダウンとともに、地下の奇怪なオブジェ風の廃物置き場で目覚めるピノ
「あれ?」「・・・なに、ここ」
・その残骸の中で、カトゥーン風のキャラクター達が楽しげにノリ良くしゃべり、踊る。
「僕はアル。太めのチビの腹ぺこさあ!。」「僕はプル。細めのっぽの、いばりんぼだあ!」「ふたりは、気が合うナッカマー!」
「ここは微笑みのふるさとー・・・・世界スマイル園にようこそ」


・用済みになったアトラクションのキャストたちは容赦なく廃棄されるってのが、この物語らしい。


・クマと長身の緑色の犬?
「ちょーど、僕たちも困っていたところだったんだ。」
「ちょーど、いい時に、みんなで困っていたもんだ。」
「ぼくたちの、世界の笑顔の創造主。ウィル・ビィ・グットにおねがいするのさ。」
・コオロギのキャラクターの原画を描くウィル・ビィ・グットが白黒で挿入される。


・電子カメラの視線で登場するコオロギのロギ。
「・・やめとけよ。そんなアドリブ。・・もお、時間がないってんだからさ。」
「お嬢ちゃん。こいつらと居ても、この話はちっとも先に進まないよ。・・いや、いや、探したよ。こんな所に紛れ込んでいるなんてね。俺は、コオロギのロギ。」
・創造主にコントロールされた世界・・・のはずなんだけど、カトゥーン的世界なだけに、無意味とドタバタは、そのコントロールに優先されるってことなのかしら。


・「あいつらは、・・・役目が終わったんだ。」二人を置いて、ウィル・ビィ・グットのところへ行こうとピノを誘うロギ。


・ついてくる二匹。「とにかく。おまえらは、この話に関係ないんだよ。とっととかえれって。」
・ロギに、一緒に行くことを懇願するピノ
「連れてくかわりといっちゃなんだけど、ひとおつ教えてもらえるかな。」
「その・・・ビンスさんて一体どんな方で?」


・地上のスマイル園。
<Attack of the ERGOPROXY!! COMING SOON>のポスター
ピノ「これ、いろんなとこにあるね」
クマ「これ、みんなの世界の終わりがくるらしいっておしらせ。」
緑犬「まあ、僕等は関係ないけどね。」
ロギ「ばかやろう。そのみんなには、俺もおまえらもコミコミだ。世界のおわりだぞ。」


クマ「なんかねぇ、グッドがずっと部屋にこもって作っている話なんだって。」
緑犬「でもなんか、全然できないんだけどね。」


・回転カップで、頭のでかい警察犬に、ただ乗りをとがめられる一行。コーヒーカップを乗り移って、逃げるピノ。この辺、楽しくてていいなあ。
「見てあの子。」「すごいなぁ」「笑顔だわ。」「なんか自然な。」「あんな笑顔みたことない。」「しかも、つくり笑いなんかじゃない。」


・<違う。ミーの世界にアドリブはいらない。>
ビンセントとリルらしいキャラクターの原画を描きながら頭をかかえるウィル・ビィ・グット。


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・各人に、暗闇でスポットライト
クマ「すごかったなあ。ピノ。」
緑犬「たのしそうだったなあ。ピノ。」
ピノ「面白かったよ。ピノ。ずっと前にね、パパにショッピングモールつれていってもらったの思い出したよ。」


クマ「機械なのにパパがいるなんてすげえな」
ピノ「でも、ずっと離ればなれなの。」
緑犬「可哀想に、会いたい?パパに?」
ピノ「んー、うんう、もういい。」
クマ「どうしてさ。パパはパパだろ。」
ピノ「いま、大事なナカマーといるから。」


ピノ「ナカマーはグッドに、あってからどうするの?」
クマ「んー、住んでたアトラクションもなくなっちゃったし。」
緑犬「だったら、今度はお客さんになりたい。」


ピノ「お客さん?」
緑犬「そうしたら・・・」
クマ「ずっと笑顔でいられる。」
・・・・・・・・・犯罪取り調べの情景。



警察犬「何者だ?」
ピノピノピノ!」
警察犬&猫「そ、それは」「自然なスマイルですわ」
警察犬「えらく自然ふうな笑顔じゃないか。新機能だろう・・」
ピノピノね。ビンスやリルたち、ナカマーと出会って、ココロをもらったの。だから、楽しい時には笑顔になるよ。」
・・・・・・・マンガ風に輝く情景
警察犬「おお、スマイルフォーミィ」
警察猫「あなたが、まぶしいわ」


・コオロギが創造主代理として、話を強引に進める。
「んもー、んなことやってる時間はないんだよ。」「いいかあ。おまえら。起承転結の承ばっかでちっとも話がすすまないんだよ。」「こうなったら、転を飛ばして、いきなり結だ」


・ウィル・ビィ・グットの独白
「ようこそ。ミーの国。世界スマイル園へ。」
・・・・・スポットライトがあたる。
「やあ、ミーの名前はウィル・ビィ・グット。ここはね。ミーがみんなの為に作った、誰もが笑顔で過ごせるところさ。」
「でもね。それって簡単に見えて、実はとてもむずかしいことなんだ。」
「ひとときの笑顔は誰にでも、簡単に作れる。でも、本当に難しいのは、笑顔で居続けてもらうってことなんだ。」
「・・それに、知っているかい、人間>はね、死ぬほど驚いた時とかにも、涙がかれるほど悲しい時にも、笑うことがある。だからパーフェクトな笑顔を作る為には、上手くコントロールしなければいけない。」
・・・・・このセリフの途中から、映画館で、白黒映画にをピノが見る状況に。音声エフェクトも、場末の劇場で聞こえるような若干くぐもった風にセリフの途中から変えています。すごくツボをつかれた。


「だからこそ、ミーがこのスマイル園をつくったのさ。パーフェクトな笑顔。作られ守られるべき笑顔。世界を幸せにする素晴らしい笑顔・・」
「現実を少しでも忘れさせる為・・・、終わりの時まで少しでも恐怖に怯えないよう・・・そう、この街の人々は生まれて死ぬまで、ずっとここで遊び続ける。そして、何も知らずに幸せのまま世界の終わりを迎えられる。」
「・・・・すごいだろ。」


・「その前にミーにちょっとだけ教えてくれないか。・・・ビンセント、いやエルゴプラクシーの弱点は?」
「ナイショでこっそり教えてくれないか?」
「この笑顔の楽園を作ったワタシを信じて・・・さあ。」スクリーンから、にゅーっと伸びる手。


クマ、緑犬、警察犬、警察猫が浴びせかける
「その笑顔ってさ。なんか嘘くさくない?」「ピノの笑顔はとっても自然だったのに」
「なんか・・上辺だけって言うか」「薄っぺらいって言うか」「中身がないカンジですわ。」
「インチキ。」「ピノの笑顔とは大違いだ。」


・キャラクターの反逆にキレるウィル・ビィ・グット。
「黙れ黙れ。大体おまえら、ミーに作られたキャラクターの分際で、ミーを批判するだと。ふざけるな!」
「おまえらなんてな。ただ、ミーの言うとおりに動いていればいいんだよ。余計なアドリブで邪魔ばっかしやがって。」
「だいたい、生まれてきた意味だって?そんなもんあるわけ無いだろ。おまえら、みんな、無意味な出来損ないなんだよ!まったく。何の役にもたたん。くずどもが!」


・マンガ的な掃除機で映画のスクリーンから吸い出されるウィル・ビィ・グット。創造主なのに、マンガ的な喧嘩の雲にまとわれてこてんぱんにやれています。ひよこがくるくるまわってる。


「まってくれ、もう時間がないんだ・・・頼むピノ。ビンスとリルに伝えてくれ・・・ここには来るなと。」
「もうすぐビンセントがここにやってくる。プラクシー同士が出会った時、彼とワタシは戦わなければならない。」
<そうなの?>
「ああ、そうしたらもう、ここは平和ではいられなくなる。」
<みんなしんじゃうの>
「ああ、だから、・・君の夢に干渉して、ビンスの弱点を聞き出そうとした。でも、失敗だった。」
<これは・・夢なの?>
「ゆめであって、夢じゃない。」
≪ほんとうか?また、だましているんじゃないか?≫
「ちがう、本当なんだ。信じてくれ。」
「どうせ、じきに世界は終わる。それも運命だ。でも、その時までは、ここで、静かに笑顔のまま過ごしたいんだ・・・ミーはもう戦いたくない・・・・」
ピノ、僕等からも頼む。≫≪僕たちもわらって過ごしたいんだ。≫≪ピノが自然なスマイルをおしえてくれたからさ。
<ナカマー>


「始まりの鼓動が聞こえる・・・・もうすぐ。」