■ブラックラグーンBLACK LAGOON10The Unstoppable Chambermaid_s片淵須直c&d荒木哲朗g日向正樹g協力そえたかずひろ

殺人メイド編の3話構成の後編。
浪花節的な物語の回収で、浮力がつきすぎて、着地失敗。ってカンジかも。
レビィのこれまでの人物設計だと、手負いの獣となったら、もう、相手を殺すまで終わらないというのが、自然な物語だと(わたしは)思ったので、最後の(回りの桟敷席の野次や干渉で、多少コミカル風味が混入している)殴り合いでドローという着地点は、居心地が悪かった。


原作もしくはアニメ版の製作者はメイドに肩入れしすぎかも。この方にはここで死んで頂くか、殺しても死なないとゆーキャラクター性を生かして、激闘の後、生死不明というのが個人的には座りがいいかなと思いました。


あと、タランティーノのレザボアドッグスとか、ロドリゲスのデスペラートを見たりしていた昔から思っているのだけど、お互い生死をかけて銃撃戦をしていて、ある瞬間でお互いが最接近し、銃を撃てなくて凍結してしまうという状況は、いったいなんなんでしょう。
確かに、静止した画面としてはカッコいいし、お互いのドラマを作りやすいとい思うんだけど、そんな状況が生じることが個人的には納得できなくて、ワタクシは、いっつもシラケてしまうのでした。・・・・えらい野暮な話ですね。ワタシ、まったくバカものです。


ところで、最後に、パラライカ部隊の出自が語られます。
「軍人くずれなんだよ。あの連中は。パラだったかスペシャルフォースだったか、直系の部下達は、第三次世界大戦に望めるだけの訓練を受け、百戦錬磨の場数と技量を積んだ、アフガン帰還兵たち。」
「彼女を頭脳として全員が一個のキリングマシーンとして機能する。そうやって連中は、熱砂と殺戮の地獄から戻ってきた・・・・・」
なかなか、ハードでカッコいい。


それを聞いた、ロックの詠嘆が印象深い。
「・・・だれもの足下も、・・・ドブのドロに浸かっている・・・・」
これに、エンドテーマが被さってくるのは上手く決まったね。(実はこの回のテーマは、殺人メイドではなく、パラライカ部隊のお披露目として意味があるような気がしてきた。)



◆◆以下メモ◆◆
・Aパートは良かったんだよ。前回からのターミネイター的状況での車の上での闘争。車の屋根にのっての二丁拳銃の交互の発射とか、屋根の上の殺人メイドにコーンがぶつかるところ、コンテナに激突しても死なないところとか。


・「あたしにぶち込んだ砲弾はな、あのアマがてめえのケツにぶちこんだどんなものより一等高くついてんだよ。・・・・・・・・そいつを嫌っていうほど思い知らせてやりにゆく。」こわいよー


・レビィが、舞う羽毛をみて、殺人メイド、ロベルタの、血にまみれた出自について不意に悟るところはヨカッタ。荒涼とした風の音と、粒子を粗くした場末の血まみれの部屋に立ちつくす子供の映像が挿入されます。
「なるほどな。・・・・おめえさんが漂わせているのも、・・やっぱりそういう匂い。・・・脚にからみつく、どぶ泥の匂いか。」


・軍隊率いて、パラライカ女史登場。
「地球上で一番おっかない女の上位三人だ。」
「グラウンドゼロって気分だぜ。」


・殺人メイドの過去は、気に入った。ここも粒子の粗い殺戮の世界の映像がかぶさりいいカンジ。
「ワタシは・・・ワタシは信じていたのですよ。この世にある正義を。いつか来る、・・革命の朝の事を。そのためにワタシは・・兵士になりました。」
「理想の後を追おうとしたワタシは、ありとあらゆるところで殺しました。政治家、起業家、反革命思想の教員、選挙管理委員。・・・・女や子供もです。」
「いくつもの夜を血に染め、いくつもの冷酷な朝を迎え、一番最後に分かったことは、・・・・自分は革命かどころか、マフィアとコカイン畑を護る為の番犬だったということでした。」
この辺りまではヨカッタのに。


・「・・・・お笑いじゃありませんか。革命軍はね、カルテルと手を組んだのですよ。理想だけでは革命などは達成できないとそういいながら・・・彼等はその魂を売り渡したのです。」
急速に浪花節的ノリが浮上。<お笑いじゃありませんか>が劇的な効果をもたらして、急速にダメ感が。


「ワタシは軍を抜けました。その時ワタシをかくまってくださったのが、亡き父の親友、そして若様のお父様であるディエゴ・ラブレス様そのひとだったのです。」
・・・・


「・・・猟犬、番犬、犬と呼ばれたこのワタクシが、命をかけて行えるただひとつの恩返しが、それだったのでございますよ。」
・・・もう、ダメデス


・続く若様のセリフに、爆笑してしまった、ワタシは、もう、だめ。ダメ人間。もはや、純粋なこころなどかけらもないですね・・・・
「・・・犬だなんてそんな言い方するなよ。だめだよ、猟犬なんてしらないよ。きっとどこかで死んだんだ。ロザリタなんとかいう女も、僕の知らない遠いどこかで自分の罪を背負って・・・・だからロベルタとはもう何の関係もないんだよ。ここには僕のロベルタがいるだけなんだ。」
ワタクシの純真なこころは、ワタシの知らない遠いどこかでワタシの罪を背負って死んだんだ、きっと。


・あと、南米の名家の跡取りだという、このガキがなんかむかついた。自分は安全なところにいて、よろしい、気が済むまで殴り合うがいい、決して負けるなよと言ってしまう精神構造は一体なんなんだと。野暮ですが思いました。ろくな大人にはなりませんよ。