■エルゴプラクシー補遺07〜□■エルゴプラクシー23代理人/deus ex machina

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◇<エルゴプラクシー補遺>の趣旨は、こちら(要約:自分のながーいコメントレスを整理しておきたくなりましたとさ。)
◇コメント頂いた方、勝手に再利用して申し訳ありません。ご寛容をお願いします。
※なお、再録中の記述者<miyama_aruki>は、私です。


◇この回は、5人の方にコメント頂きました。コメントの並びは読みやすい様に編集しました。(文章には一切手を入れていません。)
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◇最終回。戴いたコメントを触媒にして、<エルゴ世界の人類再生を巡るSF的な背景>についてのワタシの妄想と、ワタシが完璧に見逃していた<ペンダントの交換の象徴性>について各回に即して、やはり思いつきを記述してあります。


◇後者については、ワタシの感想本文では、面倒くさくてまったく注目してこなかったので、第一話から関係のあるシーンを早送りで探したりして、けっこーな時間かけて書きました。・・・むちゃくちゃ疲れたのを思い出すけれども、あーもう半年たつんだなあ。

エルゴプラクシー23代理人/deus ex machina_s佐藤大c&d村瀬修功d補佐山本沙代恒松圭g恩田尚之山田正樹村瀬修功g補佐寺田嘉一郎小森秀人坂本千代子小田剛生


★私の感想本文はこちら(2006年8月12日記述)


■■1■■KOKO さんとのやりとり

■kaku さんのコメント

『やっと終わりました。
いつもこっちの文章を読んで、内容を理解してきました。大変助かりました。ありがとうございます。』(2006/08/13 17:05)


■KOKO さんのコメント

『始めまして!
実はこのサイトの感想毎回読ませて頂いていました!
素晴らしい感想で毎回ビックリしていますw
最終話をみて思ったのですが・・・
人類が宇宙に逃れていたのにプラクシーが人類を再生する必要はあったのでしょうか・・・??
実はまだはっきり理解しきれていないので・・・
間違った解釈をしているようでしたらスミマセン・・・』(2006/08/15 22:54)


■ miyama_aruki のレスポンス

『kakuさん、KOKOさん、とんでもないです。駄文、読んで頂いてありがとうございます。


さて、KOKOさん、うーん、確かに。物語の根幹に関わるなー。実は全然気にしてませんでした・・・・・・だめ?
なるべく物語に沿って考えてみるとこういうのはどうでしょう。
◆15話のクイズの回で述べられている内容によれば、「プラクシープロジェクト」と「ブーメランプロジェクト」と人類を復活させる試みに二通りあったみたいです。
まず、後者は、巨大な「疎開船(ブーメランスター号)」で、生き残った人類のごく一部が宇宙に脱出し、冷凍睡眠か、船内で何世代か生をつないで、地球環境の回復を待つ。
◆しかし、それだけでは、宇宙船の老朽化や不測の事故により、人類絶滅の可能性があるので、もう一つの積極的な人類再生計画を練った。それが、前者の「プラクシー・プロジェクト」
荒れ果てた地球環境に適応できる人類の創造と、文化の伝承を、300体のプラクシーに実施させた。いわば、保険のようなものでしょうか。


◆また、「ブーメランプロジェクト」には、「プラクシープロジェクト」による人類再生の成功、若しくは地球環境の回復を見た場合に、自分たち「宇宙に逃れた人類」が地球にスムーズに居住できるように、地上の「出来損ないの再生人類」を排除する仕組みも組み込まれていたのではないかな。
15話では、「コギトウィルスは、ブーメンランプロジェクトによる発現」ともいっているので、プラクシーワンによる人類再生の成功と、地球環境の回復を見た「宇宙に逃れた人類」が、邪魔な地上の「再生された人類」の排除にかかっていたのかも。(コギトについても、結局、説明なかったですよね・・・)


◆そういうカンジで、この最終回では、「宇宙に逃れた人類」が、「プラクシープロジェクト」による「人類再生の成功」を見て、着々と「出来損ないの再生人類の排除」を計画し実行していたところ(異分子は排除しないと自分たちが排除されちゃうという恐れを抱くのはどの時代でも同じ)、再生人類の突如の絶滅という不測の事態を受けて、その事件の原因らしきロムドへ降下してきた・・・・・とゆー、解釈でどうでしょうか。
作品の中で語られていない以上、妄想レベルになっちゃうんですけども。


◆エルゴ、最終回でも、謎の山が残されたカンジで、非常に居心地わるいですよね。ワタシの最終回の解釈も本当に正しいのか確信ないです。せめて、DVDで補完してくれないかなーと思っているんですけど。』(2006/08/16 04:00)


■■2■■GITANES さんとのやりとり

■ GITANES さんのコメント

『はじめまして。20話あたりから参考にさせてもらてます。私も11話、15話などの台詞をメモしていたのでココを見つけて感動しました。
最終回の解説は非常に納得できるもので大変参考になりました。
ただ、私がいまだに疑問に思うのはエルゴはオリジナル(300体の内の1人)のプラクシーなのか、プラクシーワンのクローンなのかということです。というのはエルゴは自分自身のペンダントを持っていないからです。記憶と同時に捨てたのかもしれませんが、WOWOWのインタビューで佐藤大氏は「ペンダントが鍵」と言っていますし、プラクシーのクローンはデダルスにも創れるくらいですから。結局、エルゴが最後に手にしたペンダントは「Ⅰ」でしたよね。クローンであるからこそオリジナルたちの「鼓動」の呪縛からも開放されているのかなと。
ながながと駄文すみません。
ちなみに amazon によればDVD9巻は「最終話完全版」となっていますので期待してます。』(2006/08/18 07:57)


■ miyama_aruki のレスポンス


GITANESさん、ありがとうございます。
ペンダント、この交換にはなにかあるなー、と思いつつ、面倒くさくて放擲していました。
しかし、佐藤さんが重要といっていることを放置するのも居心地がわるい気もしたので、暇なのをいいことに(どこまで暇なんだ!!)ペンダントのシーンだけを追ってみました。(ほぼ音無の超早送りでペンダントがらみのシーンを探したので、間違いあったらごめんなさい。)


◆第1話ビンセントがしていたペンダント。この段階では、番号不明。
◇第2話のBパート最後でリルが破壊された自宅の浴室の排水溝で見つけたペンダントは、XⅢとあります。
◇また、そのXⅢのペンダントは、第12話「君微笑めば」のアバンで、ビンセントを追ってきたリルが、ビンセントに返すまで、リルの手元にあったみたいです。
ビンセントについても、12話でリルからペンダントが返却されるまで、ペンダントをしている描写がないので、やはり第1話でビンセントがしていたのはXⅢみたい。リルの浴室強襲の際に、故意か偶然かで残していったみたいですね。
どうやら、ビンセントは、GITANESさんの指摘のとおり、最初から、エルゴとしてのペンダントを持たず、モナドのペンダントXⅢを後生大事にしていたってことでしょうか。


◇ところで、Ⅰのペンダントは、第18話「終着の調べ」で、記憶の番人の殺害後にその首に残されていたのがおそらくこれでしょう。(番号が表に出ないように演出されてますけど。余談ですが、再度見て、この回で記憶の番人を殺したのは、エルゴではなく、真のプラクシーワンではないかと思った。)
◇その後、このⅠとXⅢのペンダントがクローズアップされるのが、第21話「時果つる処」で、地下の研究施設で変わり果てたモナドを発見し、その首元にXⅢの刻印を見るところ。その後に、二つのペンダントの刻印をクローズアップしています。
◇そして、最終回第23話「代理人」で、エルゴが、モナドに返したペンダントは、おそらくXⅢ(ここも演出上数字は見えない)。エルゴが、いったん、真のプラクシーワンの元に放り投げ、またビンセント=エルゴの手元に戻ってきたペンダントは、おそらく、Ⅰ(ここも演出上刻印は見えない。)。


◆とゆーことをふまえて、予想すると、Ⅰのペンダントは、プラクシーワンが、自分のペンダントをビンセントに託したことで、その役割をも託したとゆーことの象徴じゃないでしょうか。(23話でいったんⅠを放擲し、モナドと二人で逃避行と思ったら思い直して、プラクシーワンの前に立ち、再びⅠを託されているところとか。また、エルゴとプラクシーワンとの混乱が発生したのも、18話で、ビンセントの手元にⅠが残されて以降だし。)


◆あと妄想的な補完を、もう少し続けると、プラクシーワンは、全てのプラクシーのオリジナルなんじゃないかなと思ってみたのですがどうでしょう。そもそも名前が怪しい。
ラクシープロジェクトの300体という数は、多様性を担保して、全てにおける失敗の可能性を回避する意図の様な気もするので、オリジナルのプラクシーワンが大本命でいて、オリジナルと少しずつ違った可能性を持つプラクシーを299体作ったみたいな。
そして、エルゴは、(クイズとかスマイル園のプラクシーに比べて)、その中でも一番成功に近づいたプラクシーだったのではないかなーっと思ってみたんですが・・・・。


◆しかし、そうすると、エルゴ=ビンセントに、「始まりの鼓動」(プラクシーを排除する生理的な現象)を回避できる理由が無いので、うー、わかんないーっ。』(2006/08/19 19:30)



■■3■■Keen さんとのやりとり

■Keen さんのコメント<その1>

『初めまして。つい最近こちらを知ったばかりなので、遡って拝読しています。1話からまた見直したくなっているところですが、とりあえずディックの小説など読み返しています。『ブレードランナー』も見ようかな、とか(笑)。
GITANESさん、DVD情報ありがとうございます。しかしこれって、WOWOWで見てきた視聴者にとっては反則な販促じゃないでしょうか?9巻見ずには終われませんよね(笑)。それに、OPの「kiri」フルバージョンを聴くためには、サントラ2も買わないといけないという重ね技も!
ところで私の考えでは、エルゴと黒リルは、プラクシーと人間のハイブリッドというか、新種の生命体ではないかと思います。でないと、太陽光の下で生き残れないので、ワンが託した「創造主に罰を与える」こともできませんから(※完璧だったらしい白リルは消滅した模様ですし)。
センツォン号の凸凹3人組にクリステヴァという頼もしいキャプテンが加わって、ファミリーとしてはいい方向に行くんじゃないかと安心したところもありますが、話の続きとしては、どうも激しく血腥くなりそうで、ここでENDでよかったとも思っています。』(2006/08/18 10:51)



■ miyama_aruki のレスポンス


Keenさん、ありがとうございます。
リルについては、ワタシ、(こればっかりですが)その正体について匙を投げてました・・・
しかし、ペンダントを追っている中で、第1話見返していたら、若干思うところがあったので、以下、書いてみます。


◆第1話では、(すっかり忘れていたのですが)モナドもエルゴも、リルに惹きつけられるように、その周辺を徘徊したり(モナド)、襲ったり(エルゴ)しているので、やっぱり彼等がリルに拘ってしまう理由は必要だとおもいました。


◇細かくみると、まずAパート後半の廃墟で、モナドがリルの様子を見るように接近し、あっという間に去っていくのは、プラクシーの気配のするリルを見極めるためだったとゆー動機でどうでしょうか。襲わなかったのは、自分と気配が似ていたからみたいな。
◇また、Bパート後半では、エルゴは、「プラクシー同士の闘争の運命」に従い、プラクシーの気配がするリルを浴室で襲ったけれども、よくよく見るとプラクシーじゃなかった。戸惑っているところに、モナドが自分と同じ気配のするリルを守り、あるいは、純粋にエルゴと闘争する為にはせ参じたと。
(ところで、浴室の鏡のAwakeningは誰がいつ書いたのか・・・・という、疑問が。最終回的にはプラクシーワンなんですけども、やはり第1話の牛乳のなか、シリアルのAwakeningが浮かび上がっている演出とかみると、特に考えなくてもいい気もした。)


◇そして、ⅩⅢのペンダントがリルの浴室に残されたのは、エルゴの故意(若しくは製作者レベルの記号)によるものじゃないかと思ってみました。「リル、お前は、ⅩⅢを持つべき存在なんだぞ」みたいな。


◆ということで、第1話的には、リルは、プラクシー関係者でないと、エルゴとモナドがリルに拘る意味がわかんないですね。
しかし、白リル(いい呼称ですね)のようなプラクシーではなさそうなので、おっしゃるとおり、人間とプラクシーのハイブリッドなのかもしれないですね。


◆ところで、ワタシも、ココで終わりで良かったと思います。このあとはどうあがいても、「さようなら銀河鉄道999」みたいな蛇足になっちゃいそうな気がします。(お好きでしたらごめんなさい。)
というか、まずはここまでの謎をすっきりさせたいかも。
そういう意味で、DVD9巻は期待してていいのかな。(まあ、資本主義MAXな時代なので、仕方ない。しかし、サントラはデフォルトで買いですよ。)』(2006/08/19 19:35)



■ Keen さんのコメント<その2>

『miyama_arukiさんこんにちは。
さらに深い考察をありがとうございます。
しかしこの話は、リルのことといい、ワンとエルゴがいつ、どういう状況で分身(?)したのか等、一番肝心なところが曖昧なままなので、全てのエピソードにスッキリと合理的な説明がつく可能性はゼロですね〜。
DVD9巻も、1巻同様の値段で1話のみ収録らしいので、どれだけおまけがつくのやら?今までの展開からして、あまり期待し過ぎない方がいいのかもしれません。
サントラは買いですか!実は迷っていて、とりあえずレディオヘッドの旧作を買ってしまった(笑)のですが、kiriが好きなので、2が出たらまとめて買おうかと思っています。』(2006/08/20 17:40)

■ miyama_aruki のレスポンス<その2>


ワタシもとりあえずOKComputer買ってしまいました。こんな素晴らしいバンドが存在したとは!(音楽オンチです・・・)OPのkiriもいいですね。
エルゴのサントラ1は、劇中見て分かるとおり、短いメロディを繰り返すインストゥルメンタルがメインなので、好き嫌い分かれるかも。
ワタシは、朝の通勤電車で愛用していますが。』(2006/08/23 01:43)



■■4■■pugyu さんとのやりとり

■pugyu さんのコメント

『はじめまして。エルゴの解釈についてあちこち巡っているうちに、ここに辿り着き、そのあまりの洞察の鋭さに感銘をうけているものです。どうか教えて下さい。プラクシーが全員ペンダントをもっているわけではないとして、1と13だけわざわざ対になっているほどモナドが愛していた相手だとしたら、それはやっぱりエルゴ以外ありえないわけで、その彼を示すペンダントの刻印が1なら、やっぱりエルゴ=ワンなのでしょうか。でもワンはエルゴと違ってロムド以外の別の場所で完全な人類を創造したのであればやっぱり実体としては別々な存在とも思えるのですが・・・。それともエルゴは本来別のNoのペンダントを持っていて他のプラクシーも同様で・・・。そこのところ、どう理解すればよいのでしょう?』(2006/10/09 18:17)

■ miyama_aruki のレスポンス


こんにちは。
うー、あんなに夢中になったエルゴも結構記憶が薄れてきていて呆然としちゃいました。
◇劇中描写として、エルゴは最初から「自分のペンダントを持たない存在」として描かれていたと記憶してます。(詳しくは、同じ8月12日にエルゴ最終回へコメント頂いているGITANESさんへのコメントとして、書いているので、↑このちょっと上の方の、ごちゃごちゃ書いている記述を見てください。)


◇移民として、モスコからやって来たビンセント=エルゴが持っていたペンダントは、始めから<モナドのペンダント>=<ⅩⅢ>でした。
一方、<Ⅰのペンダント>は、第18話「終着の調べ」で、<真のプラクシーワン>により、殺害された記憶の番人の首に、残されていた形で初めて登場します。<Ⅰのペンダント>は、元来<真のプラクシーワン>のものだと思います。(<エルゴ>と<ワン>は、独立した別々のプラクシーだと思います。)
また、劇中では、エルゴのペンダントの番号は不明のままでした。


◇あくまで私の解釈ですが、おそらく、ペンダントは、300体のプラクシー全員の識別標章として存在するのだと思ってます。
そして、エルゴとモナドの関係において<ⅩⅢのペンダント>は、エルゴ=ヴィンセントが、「自分の愛したモナドのペンダントを持っていた」以上の意味は持っていないと思います。


◇反面、<Ⅰのペンダント>は、全てのプラクシーの原型である(と私は解釈してます。名前からして原型っぽいですし)<真のプラクシーワン>の物語的役割の象徴として、使われていると思いました。
<真のプラクシーワン>は、世界を復活させるという役割の大本命として、責任を一身に背負って苦労してきたわけです。しかし、創造主の裏切りに逢い、<創造主への復讐>を誓い、「復活した人類の再絶滅」を実行しました。
しかし、その道半ばでやはり疲れてしまった。<創造主への復讐>という役割を誰か別のプラクシーに託したいと思い、最も成功に近いプラクシーだったエルゴに白羽の矢を立てた。そして、結果として、<創造主への復讐>は、エルゴに引き継がれていった・・・・・というのが大まかな話の流れだと思います。
この<創造主への復讐>の役割のバトンが、<Ⅰのペンダント>なんだと思うのだけどどうでしょうか。


実際、<エルゴ>と<プラクシーワン>の存在の混乱がはじまったのは、第18話「終着の調べ」で<Ⅰのペンダント>が登場して<エルゴ>の手元に来てからです。
この時点で、<エルゴ>に、<創造主への復讐>の役割が託されたのだと思います。(この記憶の番人のエピソード時点では、再生人類はラプチュアにより既に絶滅してますし、<ワン>にとって次のフェイズにはいったと。)
これ以降の画面的な<エルゴ>と<ワン>の存在の混乱は、訳わかんなくて、アタマ抱えるところですが、演出的なケレンだと思って理解したつもりになってます。


ところで、最終話でも、<Ⅰのペンダント>の交換が、<創造主への復讐>の継承するか否かの象徴になっていますし、結構いいセンいっている解釈じゃないかなーっと思ってます。』(2006/10/10 00:16)