■カイバ08化けの皮s湯浅政明c&d&g_CHOI EUNYOUNG

◆可愛いらしくデザインされたキャラを、ゲリラ組織内の粛正や内ゲバ、性的な暗示としての男女の同床、死体同然の人体コレクションといった、暗鬱でグロテスクなイメージの中に配置してみるこの回は、このシリーズの本領の発揮と言う感じでしょうか。

◇特に、冒頭アバンの子供達（カラダを代える前のポポとネイロとチェキの子供の頃）の、「児童文学イラスト的な媚びた仕草演技付け」を伴う子供らしい会話に魅了されてしまうと、毒の周りがなお早い。
ああ、この悪意に満ちた構成が、演出意図ミエミエなのはわかっちゃいるけどとっても魅力的です。

◆また、第５話「憧れの星アビパ」に続くこのシリーズ二回目の登板である「CHOI EUNYOUNG」さんの作画の個性の味が上手く生きた回じゃないかしら。（すみません。私、発音すら分からない・・・）

◇特に、ジャクチュウ氏の人体コレクションの場面。
この場面で、人体のフォルムを緩やかに崩し、原色に近い色面で構成し、のっぺりした特異な異物感を醸し出しているヒトガタは、これってマチス系の「枯れた味」だよね。キャラクター性を排除して、ヒトのカタチの普遍性を抽象的に表現しようとしているように思える。
枯れているのに豊穣感がある感じがして、しかし、抜け殻の体。このギャップが生々しくていいな。

◇思い返せば、アビパの回も、人間の複製ボディ工場がモチーフの回で、（この回はここだけだったけど）全編この調子で、絵的にも話的にも強烈な麻薬性があったなあ。

◇あと、ジャクチュウ氏の、キザな中年らしい嫌らしい舌と口の動きの作画が突出して素晴らしかった。第５話の感想で、動きに興味がないみたいとか言ってごめんなさい。

◆◆以下メモ◆◆
◆ところで話は、この回大幅に進む。
======================
■ワープについて
・記憶の王「ワープ」のボディは複製され大量に存在している。（記憶の同一性は不明。）
・これは不死身の「ワープ本来の力」を持つボディが「２０００体に１体」しか生み出されないためと語られる。
・今君臨するワープは、ワープ本来の力を持たない「ただの人間」。腹のマークも描いたもの。
・第１話で「記憶を失った主人公」が入っていた胸に風穴のあいたボディこそが、「ワープ本来の力を持つワープ」。お腹のマークは生まれつきのものらしい。
・但し、「主人公とされてきた人物」の記憶が、「ワープ」なのかどうかは不明。

「偽者なんだ。今、天にいるのは力のないワープ。キチが運び去った空っぽのカラダが、・・本物のワープだ。」（ポポ）

===========================
■ネイロについて
・やはり、「ひょーひょー」は、ネイロのオリジナルの記憶を持つみたいだ。
・彼女は、この作品の主人公とされ、ナレーションのみで「カイバ」と呼ばれ、クロニコの体に入っていた人物の記憶と、「胸に風穴のあいたワープのボディ」に強い執着を持つ。

・では、現在ネイロとされているボディとその中の記憶は何なのか？この関係は今後の展開かしら。
・現在ネイロと呼ばれているボディは、アバンの描写によれば、ボディを乗り換える前のポポの幼少の幼なじみ。
・ただ、恐らくこれは演出上のブラフで、ネイロの改竄された記憶を演出していたのではないだろーか。（いや、でも、そーだったら、現在のポポの姿に準じた子供じゃないといけないか。）

「おれ知っているんですよ。あんた（ポポ）が、ネイロの記憶を改竄したこと。・・あんたが小さい頃、カラダを入れ替えたこと。」（サテ）

===========================
■ポポについて
・記憶チップを禁じるイッソー団というテロ組織の上級幹部でありながら、記憶チップを埋め込み、子供の頃とは違うボディを持っている。
・アバンでは、ネイロと幼なじみという演出。
・現在は、ネイロと性的関係を持つ。
・母親は、ポポが小さい頃、体の弱いポポのために、カラダをうってロボットになった。この回では、演歌的な母子のエピソードが。

===========================
■状況
・ポポは、ダダに反旗を翻して、ダダを捕獲。
・ダダは、出来損ないの「ワープ」の老残の姿３人が、ひとりの振りをしていただけだった。

・ポポは、ワープを倒すことを決意。
「なんだこれは・・・すげえ、最新・・いや、超科学だ。」（ポポ）
「２０００年前の科学だ・・・失われたこの古い宮殿に残されていた。」（ダダ）
「俺たちはカネを集める働き手か・・・。しかし、夢ではないのか。今がチャンスと知っていたのか。これなら奴を殺せるかな。」（ポポ）

・一方、第６話の舞台惑星ロロに発した伝説の植物「カイバ」が、ポポ達のいる惑星に近づいていく。大量の記憶のコピーが眠る部屋に引かれているのか？
「ロロから生まれた植物が、星を呑み込みながら大きくなった。」（ダダ）

・ところで、ポポは、第１話で、ワープの体と知っていてなんで、みすみす宇宙に追放したのでしょーか？