■ブラックラグーンBLACK LAGOON18Mr.Benny's Good Fortune_s&c片淵須直d下田久人金沢洪充g日向正樹g協力涌谷千恵木村雅弘室井ふみえアクションgそえたかずひろ

偽札製作者争奪戦3話構成の最後。
むー、アクション作画はすごかったし、テンポも良かったけど、ワタシ的な(あまっちょろい)倫理観ゆえに、非常に微妙な仕上がりだと思ってしまった。


◇(そんなウブなことを言っているのもどうかとは思うが)、背景に葛藤とか抜き差しならない情念を引きずっていない、あっけらかんとした、まさに「ゲームとしての殺し合い」「殺し合うために殺し合う」って、ワタシの倫理的には、ちょっとどうかなあと思ってしまうのですよ。
本来ならば、冗談みたいな殺し屋たちの、冗談じみた死に様だとかを、きっとゲラゲラ笑いながら楽しむ「お遊び」趣向なんでしょうけども、いささか趣味の悪いギャグだと思えてしまって・・・・・ねえ。
私が、タランティーノさんとかのノリについて行けないと感じるのと同じ感想かも。


また、(デスだよねえちゃんの弱気だとか)演出的にギャグに徹しきれていないところもあって、(私の倫理観による抵抗感を割り引いても)あんまり笑えなかったのが何とも残念。ワタシ的には、情念も葛藤もないが故に、後味の悪さが際だちました・・・・・・・(逆にいえば、私は、情念や葛藤や状況など、殺す理由がキチンと演出されていれば、理不尽であっても、なんでも許してしまうのですけど。)


しかし、話は変わるけど、ロックの「役に立たない」っぷりと、「物語的な放置」が清々しすぎる。
前回ラストの引きからすれば、彼の余裕のなさゆえのみっともない感情の爆発とか、その後の鬱屈と屈折とかを演出してあげたい気がする。
見せ場が無いどころか「居るだけ」なので、せめて、そんな風に処理してあげなくちゃ、ロック、立つ瀬がなさすぎるよ・・・・・。


◇ところで、倫理ついでに、だらだら述べると、「個性的な悪漢達」の「生きる/死ぬ」の分かれ目が、若干気になった。
①主人公(レヴィやロック)は、もちろん死なない。物語にキチンとした足場を築いているキャラクター(エダや「デスだよねえちゃん」、この回でキャラ立ちまくりの技術オタク女もここに入るかな。)も死にません。この辺は特に文句はない。(だけど、レヴィが、腕にデスだよねえちゃんのナイフが、2本もつきたっているとゆーのに、あんまり痛がっていなくて(私は)気になって仕方がなかった・・・・・)
彼女らの「悪徳パラメータ」が死に値するかと言うことは、(現時点での)物語の都合上、もはや問えないのですね。
また、今回エダの過去がBパートで語られるように、背中に背負っている重い物語が、彼女たちの悪徳を(物語的に)免罪してくれてもいるのでしょう。


②一方で、今回新顔(1回限り?)の殺し屋達の生死の分かれ目は、なんなんだろう。
火炎男は、妻をも焼殺し人の肉の焼ける匂いにたまらない快楽を感じる変態とくれば、もう死ぬしかないというのはわかる。死に様も花火がはじけるみたいで、ここまでどうしようもなければ視聴者も心おきなくゲラゲラ笑ってくださいということですよね。(オレは笑えないけど)


③声帯がないゴスロリ衣装の「死体処理を仕事とするおねえちゃん」が、生き残るのは、なんでだろ。間違いなく非倫理的でダークな彼女は、本来のこの話のノリならば、死ぬはずのキャラだとおもうのだけど、作者が気に入ったのでしょーか。ミニスカートのゴスロリ衣装でチェーンソー振り回すその姿は凛々しくて・・・・とか。
(人工声帯で言葉をしゃべる様とか、どこかの犯罪映画でみたことあるような気が若干するのだけども、キャラクターたっているし、まあいいや。。ただし、人工声帯を落として、膝抱えて落ち込むところはやりすぎだとおもった。あんまり面白くないし。)


④かっこつけの「俺の名はウィザード。ロットン・ザ・ウィザード」さんは、「カッコつけている情けないヤツ」を爆笑するための、単なる一発ギャグとして登場させたので特に殺す必要はない。
だけど、同種の趣向の映画だと、思いっきり情けない死に方をさせて、笑いを生んだりするような気もするので、(ゴスロリねえちゃんのことも考え合わせて)まだまだ温情が在ると言えばあるんだよね。
あと、レヴィにヤラレタ「デスだよねえちゃん」の弱音を、彼が聞くシークエンスは、もっとギャグよりに処理した方がよかったのじゃないかしら。


⑤ところで、個人的に、可哀想なのが、殺し屋達を仕切ろうと頑張った「カウボーイ」。
出来の悪いボスに仕えている上に、ロアナプラの秩序を知らず、いわば「田舎モノぶり」をさらけだして、ロアナプラの殺し屋達にバカにされる様が、非常にキュートでヨカッタ。
なのに、頑張っても報われずに、あげくに、実にシリアスに、エダに一方的な銃殺されちゃうんですものね。
この回の趣向に乗っ取れば、彼の死は、ギャグとして処理して上げるべきで、そうならなかったのは、「エダのシリアスな過去をたまたま知っていた」ため、その過去の物語に引きずられちゃったってことかなと思ってみたのだけど。


◆◆以下メモ◆◆
・ラグーン号のエンジン室で、知ってはならないエダの過去(若しくは現在の立場の背景)を知ってしまった「カウボーイ」
「・・・思い出したぜ、あのくそったれの上院議員ジャック・ボーナムだ!」
「その女、紺のスーツをきていたでしょ?・・・そして幾人かの男と共に上院議員と会食していた。フォンテーヌブローというフレンチレストランで。」
「そおーだ!フォンテーヌブローだ!しかし・・・どうしてお前が上院議員と?」
「その時、彼女とその上司達が話していたのは、・・EAEC内に存在する北米型自由貿易に非協力姿勢を持つ行政府への干渉、および不安定化工作・・・」
「まさか・・・お前・・・」
「あなたの思い違いよ。その女は他人。・・あたしゃ、暴力教会のクソアマだもの。・・・でも、ひとつだけホントのこと教えて上げる。あたしはアラバマの生まれじゃない。あたしの故郷は、ヴァージニア州ラングレーよ。」
「てめぇ!CIA・・・・・(銃声)」


・CIAの本部は、ヴァージニア州のラングレーにあるそうです。


・「カウボーイ」を銃殺してエンジン室から出てきたエダ。すべての事が終わり、朝日の中、レヴィとほっとして会話する中に、不穏な気配が混じる・・・・・
「ずいぶん手間どったじゃねえか。しっかり地獄に送ったか?」
「うっふーん。」
「じき港だ。のんびりしていこうや。」
「おーよ。神は天にいまし、すべて世はこともなし・・・・・・・だ。」