■ブラックラグーンBLACK LAGOON14Bkoodsport Fairytale_s&c片淵須直d吉本毅g井上英紀アクションgそえたかずひろ

双子編中編?
バラライカの配下が、謎の双子の殺し屋に次々に殺されて、ロアナプラの犯罪組織間は疑心暗鬼で一触即発。賞金を賭けられた双子で一稼ぎしようと、ならず者達も集う。火掻き棒を放り込まれたようなロアナプラの街。復讐に猛り狂ったバラライカは、最強の布陣で容赦ない双子掃討作戦を開始する・・・・・・・


この回も静かな緊張感をたたえた画面と音楽と、対話で引き込まれる。Aパートの緊張が、Bパートに一挙に爆発する様子が心地良かった。
やっぱり、バラライカ女史に、レヴィ、暴力シスターと、シニカルな悪意と、暴力への予感を内在させた、静かに凶暴なセリフ回しが素晴らしい。
声優さんも旨いし、苛立ちを表現するいつもよりも過剰に投入されるスラング混じりのスクリプトも決まっている。(スクリプトは原作なのかしら?)
この回は、彼女らの対話演出とセリフが第一の見所だと思いました。。


次に、チャンさん。かれは、頭に血が上った復讐の女神、バラライカ女史と違って、血に飢えた獣性はなく、理性のタガがある。
その理性のなかで、バラライカを飄々と諫め、ロアナプラの秩序と自分の組織の利益を守ろうとするが、バラライカ女史の軍隊的、理性的なヒステリーには勝てない。
バラライカとの対話と、妥協の過程が、渋くて非常に味わい深かった。
双子に追いつめられての、腰の据わった二丁拳銃の銃撃もカッコイイし、チャンさんは、本当にいいキャラクターだ。


ところで、夢見るように無邪気に呼び掛け合う、双子の殺人者の出自が涙を誘う。
ルーマニアの崩壊の社会の混乱に巻き込まれて売り飛ばされ、変態達のおもちゃにされて同類達が次々に死んでいく地獄から、人を殺してはいずりあがってきたというのは、圧倒的に重く、そして狂気に浸されている。
だからさ、この重さと狂気が、「無邪気な無敵の殺人者」として、大人達へ向けて噴出するのは、物語的には正しいよね。
だけどきっと、物語的倫理には、裁かれちゃうんだろうな。


◆◆以下メモ◆◆
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・双子の正体と、裏で操る者を調べ上げたバラライカが、埠頭のコンテナ置き場で、チャンと密談する。
ヘンゼルとグレーテル・・・ビデオの中でガキどもはそう呼ばれていた。・・ルーマニアの政変以降、維持できなくなった施設から闇に売られた多くのガキども。・・・死んだ独裁者の落とし子達。」
「ど変態どものおもちゃにされ、果てはブタの餌になる・・・・本来ならそうなる運命のガキどもが・・何故逃れた?」
「ふんっ・・・バカどもが余興のつもりで始末の片棒を担がせたのよ。自分たちと大して違わぬ・・生け贄達の後始末を。・・ガキどもは生き延びる為に、変態どもの喜ぶ殺し方を必死になって覚え、・・・夜を一つずつ越えてゆき・・・そしていつしか全てを受け入れた。・・青空の世界を去り、暗黒の闇へと墜ちていった。」
「ははは、・・・ビデオの見せ物、曲芸犬か。・・・ひどい話だな。・・俺たちの世界にこそ、相応しい。おらぁ、時々、どでかいクソの上を歩いている気分になるよ。・・オレには道徳やら正義やらは肌にあわん。その手の言葉は、ケツから出るヤツに、驚くほど似てやがる・・・・。そのガキどもに同乗するのは、ミサイル、売りながら平和を訴えているドアホウとどっこいだ。」
「知っていることを話したまでよ。・・・私たちに正義はいらないわ。・・要るのは利益と信頼だけ。・・・ローアンから先は、簡単だったわ。」
「・・・・・・なるほど、こいつが卸し元か。身内から死人が出ていれば、立派なアリバイだな。」
「所詮は見せ物。しつけが出来ているわけがないわ。・・回りに迷惑を振りまいてはクソをこしらえる。お宅の組員はあおりを喰らってやられたのよ。」
「理由はどうあれ、けじめはつけてもらうさ。」


「そろそろ街の色を変える頃合いだと思わない・・・チャン?」
「連絡会の意味が無くなるな。・・もう一度戦争を呼び込むのか?」
「調律された紛争といってほしいわね。理由も動機も成り立つわ。」
「正しい戦争というわけかい?・・きれい事を言うタイプじゃないとおもっていたがな。」
「口実として正しいかどうかよ。・・正義かどうかは犬に食わせれば。・・組むか忘れるか、後はあなた次第。」
「まあな、本国に申し立てまつるまでも・・ないか。この世に信奉すべきは・・強力のみ、ただひとつ。」


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・雇われていたベロッキオに銃と刃物を向ける双子。
「二人で話し合ってきめたのよ。」
「そう、ボルシチはメインデッシュ。スタートはマカロニから・・・とね」
「うふふふ」「うふふふふ」


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バラライカの高らかなる出陣の檄。
「同志諸君。今夜ベロッキオファミリィが襲撃を受けた。」
「・・だが予定に変更はない。全て想定どおりだ。」
「・・(ひときわ声を張り上げて)現刻より状況を開始する。」
「・・勇敢なる同志諸君。サハロフ上等兵、メニホフ伍長はかけがえのない戦友だった。・・・・鎮魂の灯明は我々こそが灯すもの。」
「無き戦友の魂で、我らの銃は復讐の女神となる。カラシニコフの裁きのもと、5.45ミリ弾で奴らのあぎとを食いちぎれ!」


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・お金で雇った囮の子供が乗った車が、賞金稼ぎたちの餌食になったのをみて、双子の対話
「でも少し可哀想だったかしら。孤児だっていっていたわ。」
「仕方ないよ姉さま。殺すか殺されるかしかないんだ。この世界はそれだけだもの。」
「そうね、兄さま。仕方がないわ」
「そうさ、姉さま。だから殺そう。もっと殺そう」
・最初<この世界>が「殺し屋の世界」かと思ったら、これは、「人間が生きる世界」のことですね。・・泣けるかも。


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・双子の前に立ちふさがる、レヴィと組む暴力シスターエダ。
「ねぇねぇねぇねぇ・・・質問していいかしら。・・・・わたしたちの首には幾らぐらいかかっているの?」
「8万ドルだ・・・動くな」
「へぇ・・・・いい額ね。・・じゃあ、一つ相談なのだけれど、ここにベロッキオの事務所から持ってきたお金があるのね。・・・いまここでやり合ってもいいんだけど、わたしたち、まだやりたいことがあるのね。10万でみなかったことにするというのは、どうかしら。」
「けっ、ざけんじゃねえやな、ガキの使いじゃなぇんだよ。」
「じゃ、15万。・・・どうお?」


・結構本気で魅力を感じ、アワくって、どうしようかとレヴィに尋ねるエダにレヴィが述べる。
「パニクってんじゃねえよ。エダ。8万も15万もそいつらの命も、あたいらが全部いただきだっ」


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・自分たちの獲物を狙うモノに容赦なく冷酷なバラライカ・・・。
「目標の位置を再捕捉。ラグーン商会の中国人。暴力教会のシスターも一緒です」
「我々には関係ない。必要ならば踏みつぶせ・・・・」