■エルゴプラクシー07リル124C41+/re-l124c41+_s佐藤大c村瀬修功d鳥羽聡g寺田嘉一郎

圧倒的な荒廃した現実世界の中で、かろうじて、人工生命技術に支えられて存在しているロムド市の秩序。人類が生き残る為にはそうするしかなかった・・・・
しかし、第一話での、プラクシーとの遭遇で、その脆弱さに嘘を感じるリルは、説明の付かない情動で世界の真実を知りたいと願い、行動するのでした。


この回は、荒廃した地表を翼船「ウサギ」で、自分の生まれた街「モスコ」ドームへと向かう、ビンセントの旅のビジュアルが非常に印象にのこる。
曇天の彼方に、光輝くロムド市のドームが見え、そこから離れていく先は、黄泉の奥へ向かうかのよう。ウサギから前方を照らす一筋の弱々しい光線が効果をあげている。
地表には、草一本なく、荒涼とした背景音とともに終末感がすばらしい。
「たったひとり、残された人間が手にしたのは、ただ、ただ、考える時間だけ。忘れようとしても、思い出せない記憶達。頭の中に、何かのしこりがゴリゴリと残っている。・・それがなんなのか?俺の中に何があるのか?・・・それがわかったところで今さら何になる。」
「今さら・・・・ひとりぼっちになってしまったのに。(リルには)もう二度と会うことはないだろう。だからわすれなくちゃいけないのに。・・・あの顔は忘れられない。」


Bパート最後に、リル・メイヤーの名前「RE−L」は、REALから、来ていることが暗示される演出。物語製作者レベルでの符号なのか、物語自体に仕組まれた仕掛けなのかが、判別付かないところですが、おそらく、プラクシーの逃走や、ビンセントを導く存在の暗示を考えると、物語自体の構造があることが想定されます。
何かが、人類存続をかけて、コマを動かしているって感じになるのかな。


◇◇以下メモ◇
・ロムド市の人口動態を制御するため、人間を計画にしたがって「生産」する人工子宮を、リルは目撃。
この人工子宮、シルエットだけの描写だけど、意匠がメタルーナミュータントか、(台座を含めた)広 隆寺の半跏 思惟像っぽい感じで、不気味な感じがイイかも。
タイトルの「124C41+」は、リルに振られた背番号で、いわば製造番号にあたるのかな。
テダルス医師が、リルの「この治癒能力には、毎度の事ながら驚かされるな」といっているし、「漆黒」の孫であるということもあるし、相当特別な存在として生まれてきているようですね。また、テダルス医師が、リルに課せられた秘密を知っているような気もした。


・警備局ラウル局長は、プラクシーの秘密を一人で握り、ロムド世界をひっくり返そうとするような野心を持っている模様。コギトウィルスにわざと感染させたオートレイブで、リルを襲います。凶刃に倒れたリルは、生死不明で次回へ続く。
・支配者のリルのじいさんは、この行動を黙認しているようです。
ラウル付きのオートレイブを通して「モスコ侵攻作戦において使用された長距離移動機」の使用を黙認する演出あり。


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・リルの現実把握への強い衝動。
「おじいさまの嘘。この街の外に世界がある・・・そこには人々の生活があった・・私は知ってしまった。だから、この現実から逃げるわけにはいかない。」


・テダルス医師の人造子宮についての説明。
「生物学的にも、ドーム生活維持システムという構造的にも、最も効率のよい生産ライン。僕らはこの場所から良き市民たれと生まれ、良き市民の元で育つ。」
「すべては管理抑制され、均衡は保たれる。」
「ロムドのようなドームで生活するためには、人工の管理とその安定こそが・・不可欠だからね。」


・「生命過程への操作的介入。僕らはそれをくりかえすことで人類を存続させているんだ。」と述べる、テダルスへのリルの疑問。
「これが現実・・・ならば、わたしがこの目で見た外の世界はなんだ?」
「このドームは、良き市民達にとっていまでも必要なシステムなのか?」
「外の世界があるのならば、とっくに役目を終えているのではないか?」
・・・・回答しないテダルス医師。


・モスコから強奪してきたプラクシーを見ながら、テダルスの解説。
「我々はあれ(逃走したプラクシー)を、モナドラクシーと呼んでいた。そして、それはモスコドームから我々が奪い取ってきたモノだ。」
「(モナドラクシーを)なぜ、ここに閉じこめ続け、なぜ目覚めさせてはいけなかったのか。その本当の意味は僕にも分からない。でもわかっていることはるよ。」
「まず、あれはヒトではない。神学的に見ても、生物学的に見ても、性別という存在も確認できなかった。」
「プラクシーはロムド市圏にとって、生命力というべき存在だと、僕は考えている。」
それは怪物というより・・・
「・・ああ、確かに、神のような存在だね」
「この荒廃した世界で我々が生き残るフィールドを維持する鍵といってもいい。」
まるでオカルトだな?
「しかし、現実にデータたとして現れてもいる。」
「そして、ほら、検体を構成するのは、アムリタと呼ばれる不死の細胞。この秘密を知ることができれば、われわれは・・」
ヒトが生きる為の鍵となる存在・・・それがプラクシー、だが、それも失われた・・ということはロムドは・・・