■DARKER THAN BLACK -黒の契約者-20あさき夢見し、酔いもせず…(後編)s大西信介cもりたけしd千葉大輔g倉狩真吾g協力城紀史

◇「関係性の発生による、無感情な存在からの感情の発芽」とゆー、シリーズに一貫した関係と感情を巡る主題に、いろんな意味で直球なドラマで食い込んできた前後編。


◇だけど、ホァンさんには悪いが、彼と彼女の演歌な物語よりも、脇筋の教祖とヘイの契約者と人間の違いについて、あるいは違わないことについての対話のあたりが燃えました。
ここ↓のあたりなど、これまで登場した契約者のイメージを挿入して、音楽相まって非常に効果的だったんじゃないでしょうか。


<契約者は、人間じゃないとでも、言うような口ぶりだな。>(ヘイ)
「少なくともあっちはそう思っている。・・わたしは、そういう業から契約者を解き放つ為のよりどころとして、信仰を選んだ。・・最初は方便のみたいなものだった。隠れ蓑の為のね。・・だけど、今はそれが正しいと思うようになった。・・・分かるかい?契約者と人間の違い。」(教祖)


<契約者には心がない。>(ヘイ)
「本当に・・そうだったかい?」(教祖)
<契約者には罪の意識がない。>(ヘイ)
「契約者であろうが無かろうが、罪を犯すものは犯す。」(教祖)


<能力のあるなし。それは明らかに違う。>(ヘイ)
「そりゃあ、おまけみたいなもんさ。能力なんか無くても、銃や刀があればヒトの命を奪うことは出来る。・・・人間と契約者の一番の違いはその精神構造。・・いわゆる合理的判断って奴だ。人間の社会では感情や常識に囚われず、利益だけを求められる奴が成功するように出来ているだろう。契約者ってのは案外、そのシステムを勝ち抜く進化の形かも知れないよ。」(教祖)


<契約者は夢を見ない。>(ヘイ)
「わたしは見てきたよ。契約者と人間を結ぶ、そのあるべき形を。・・・けどね、あたしだって能力を使ってヒトを殺めたこともある。・・それまでは、代価が大きすぎるからやりたくはなかった。でも・・その時から敢えて力を使い続けようと思ったんだよ。・・・繰り返し力を使えば、老化という対価も繰り返される。せめてもの償いになればと思ってね。・・・オカシイだろ、契約者が償いなんて言葉を口にするのは。」(教祖)


◆◆以下メモ◆◆
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・ホァンさんの回想。結婚をOKされて、浮かれて夜の川辺を鼻歌を歌いながら歩くキヨピーこと若き日のホァンさんが超チャーミング。
「酔っぱらうほど嬉しかった?」(シホコ)
「ばかやろう、酔っているから言うんじゃねえぞう。酔っているけどよう。」(ホァンさん)
「どっちだよう。」(シホコ)
「いいなあ。・・・一緒に・・・なれよ。・・・だますんじゃ・・ねえぞう。」(ホァンさん)


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・ヘイと教祖の対話。
「あんたはなぜ組織に利用されているんだい。」
「まあ、組織がほっておいてくれないか。」
「契約者の業っていうのかねぇ。社会常識や良心といったものが消え、自分の能力を使うことに躊躇いが無くなる。・・ヒトを殺めるような力が多いから、必然殺人マシーンのように便利に使われる。人間様の都合のいいようにね。」


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・シホコの「対価」として、「人間の感情を取り戻す」という、物語のテーマを浮き立たせる好設定。
・だけどー、「感情がない」/「感情がある」の二面性がやはり上手く演出出来ていなかったのが残念。やっぱりこの主題、演出上のハードルが高すぎるような・・・


「皮肉な対価でしょう。しばらくの間だけ、人間らしい感受性が・・戻る・・だから自分のしていることの意味が、恐ろしさが、理解できるようになる。・・・何かの罰みたいに。」
「・・だけど、なにか半分ぐらいはほっとする。恐いと思うことは普段なら無いから。・・契約者にも記憶はある。でも、何か違う。自分の記憶なのにどこか冷たくて。」
「・・だけど、あの夜だけは別。あんたが一緒になると言ってくれた夜の記憶だけは。・・虫の声、流れる川の音、乾いて少し冷たかった夜の風。輝いていた星。・・・あのとき、わたしは芝居をすることを忘れていた。ただ嬉しかった。・・幸福で残酷な記憶。でも、ただひとつ。わたしの感じることが出来るあんたとの記憶・・その二人の記憶があんたの中から消えるのが恐かった。」


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・ホァンは、政府の手により、契約者に接触した自分の記憶が消されなかったのは、シホコの意図によると悟る。
「おまえなんだな。シホコ。オレの記憶が消されないように計らったのは。」


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・自分の心情を斟酌し、シホコを消すことを断念したホァンは、ヘイに告げる。
「へっ・・・ざまあねえ。・・・これでオレとこいつを撃て。」


・ヘイが、当然のように組織に逆らって彼らを逃がそうとするくだりは、この回で一番、盛り上がるところ。
「案外、人間くさいところがあるんだな。」(ヘイ)
「契約者にいわれたくねえ」(ホァン)


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・ヘイが、感情に従って簡単に組織を裏切る様を散々見てきて面白がっていた猫さんが、今回腰が引けて逃げ出したのが意外。


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・ラストは、・・・ねえ。このシリーズの基本フォーマット通り。飲み屋で嘆くホアンさん。
「酔いてぇなぁ・・・できることなら。」