■ブラックラグーンBLACK LAGOON21Two Father's Little Soldier Girls_s片淵須直c香月邦夫片淵須直d香月邦夫g斎藤和也日向正樹g協力木村雅広立石聖アクションgそえたかずひろ

◇女子高生が覚悟を決めてヤクザの組長になるとゆー、どこかで聞いた安定した定型の物語を背負って、彼女率いるヤクザと、バラライカ軍団の仁義なき死闘とゆー、これまた定型の物語に落ちるのかと思いきや、第三の勢力が現れて、話がずれていくのはさすが。


強大な二大暴力組織の狭間で、我らの主人公たるレヴィ(とロックも?)に見せ場を作る為には、組織戦を避けなくてはならない。(それぞれの組織の内情を描き、徐々に高まる組織間の緊張を描いてきた、日本編のこれまでの二回と、この回のAパートまでのレヴィとロックの影の薄さ。)
そこで、若干のつぎはぎ感はあるけれども、強引に、お姫様が明らかに邪悪な一同にさらわれて、囚われのお姫様を助けに行くとゆープロットに持ち込んでいます。王子様は、レヴィと銀次さん。
「ふん、ダークタワーだな。姫を救うナイト様のご到着だ。」


いやー、燃える展開ですよ。シンプルで、ストロングな物語。緊張をはらんだ地に足のついた音楽と語り口のおかげで、雰囲気最高。次回が非常に楽しみ!
「レヴィ!連携は取れるか?言葉が・・・」
「No Problem!戦いがおっぱじまりゃ、お互い体が勝手に動く。・・・そういう風にできてんだ。あたしたちは。」


◇ところで、冒頭から語られるバラライカさんの過去は、もっとじっくりやってほしかったな。国に利用され捨てられ、虚脱を感じていたバラライカとその部下達が再び結束し、自分たちのための戦いを始めた共同墓地のエピソードが、ちょいと感情として飛躍していて、その感情の沸騰が理解しにくかったかも。


あと、ロックの博愛主義にも限度が・・・・・ねえ。
このキャラクターの立ち位置から、雪緒さんを抗争に巻き込まれないように心を砕くことは予想されるのだけど、そのあまっちょろい感傷に、あっさり乗ってしまうレヴィが、なんだか解せない気がしたんだ。
「大事なことを忘れてたよ。ここじゃあたしは、あんたの銃だ。あたしの役目はあんたの命を守ることで、あんたの生き方を邪魔する事じゃねえもんな。・・・だからついていくよ。マスター」


◇あと、ほんとーに蛇足だけど、典型的なチンピラビジュアルの吉田さん(実は偉い)が、雪緒組長に平身低頭して恐縮しまくる様が、違和感ばりばり。
「いやー、もったいねぇおことばで・・・・」


この違和感は、つまるところ、雪緒さんのヒトをまとめる求心力に落ちるのだけど、いかにハイデガーを読み、老成した暗い語りを演出していても、ここの説得力を組み立てるのは難しいなーと思った。
そう、この日本編の最大の問題点は、「先代の血を引く唯一の子供」という一点だけしか、盲目的に忠誠を尽くす理由がみえないところかな。(描く時間はないのはわかっているけど)先代の素晴らしさとか、雪緒さんのドスのあるヒトを惹き付ける魅力とかを挿入する必要があったんではなかろうか。


◆◆以下メモ◆◆
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・1976年バラライカ。10歳ぐらいか。
「わたくしが・・・!おじさま、オリンピックへ?」
「まあ、いずれは、そう言うモノを狙いなさい。大丈夫だよ。キミにはその能力があるのだから。」
「そうすれば、・・・父の名誉の回復が?
「父君の一家の一員として、キミの出来るのはそれだ。
「そうすれば・・・もう一度・・・」
「だが・・そのためには、まずちょっとした資格が必要であるかもしれんな。」


・1987年。バラライカ。22歳ぐらい?
アフガンの戦場で、先頭に立ち、混乱の中、的確に敵兵を狙撃するバラライカ中尉。
「いいぞぉ・・・ロサンゼルスなら金メダルだ」


・1992年。27歳ぐらい?。部屋の暗がりで煌々と光るオリンピック中継に見入る、気だるげなバラライカ元大尉。
<(テレビ音声)「女子50mライフル三姿勢」金メダルは、アメリカのラウニー・メイリー・・・・>
「私に何をしろと。」
「大尉殿・・・」
「軍籍を剥奪された私はもはや大尉ではなく、お前達も、もう中隊付きではないんだよ。・・我々が軍務についたソヴィエトという国ですら、もはや地上には存在しない・・・」
「どんな戦場であっても、あなたの元にいる限り道は開ける。・・そういうものと、一同思っておりました。・・この情けない貧しさからでさえ。」


・同年。分隊長の死。
「私の第二分隊長が、はしたな借金の為に・・命を奪われる羽目になろうとはな。」


・同年。共同墓地で、その死を追悼する一同に、檄をとばすバラライカ
「同志諸君!こうべをあげよ!我々は、現刻よりわれわれの軍務に復帰するっ!」


・現在でのバラライカの懐述。
「あの共同墓地以来、数々の戦場を駆け抜けてきたが、・・・今の作業は単なる通過点だ。手早く片をつけてしまおうじゃないか。」


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・東京を仕切っていたロシアマフィアのラプチェフは、バラライカにはめられて、ワシミネ組の銀次さんに斬殺されてしまいました。
「あいつはカーゲーベー(KGB)を憎んでいる。カーゲーベーだけじゃねえ。ゲールウーも、ノメンクラツーハムもだ。ほかにも、あの女につぶされた奴らは幾らでもいるんだ・・・・」