■ブラックラグーンBLACK LAGOON07Calm Down,Two Men_s片淵須直c駒井一也片淵須直d川村賢一まつもとよしひさg渡辺章

前回までの前編中編後編を承けて、ロックが、意外な芯の強さで、レビィの荒んだ世界認識に立ち向かう話。二人の間のわだかまりと弛緩、緊張と対立が、メリハリ効かせて、カッコイイセリフと共に提示されると、もう、引き込まれるしかない。面白かった。


しかし、正直、今までのロックについての描写から、この回の言動はちょっと断絶しすぎだなと思いました。
盗み殺し、生き残ったモノが正義という荒んだ価値観に立ち向かうには、悪徳宗教人との駆け引きに勝利し、レビィに銃を突きつけられても怯まず主張し続ける度胸を描かずにはいられないってことですよね。ロック格好良すぎ。


ラストシーン、警察へ護送される車の中、レビィの要求で、ロックのタバコの火を、彼女のタバコに移すシーンは、黄昏の光線の効果もあって、非常に印象的。和解について語られているのだろうけど、性的な感情の交錯までをも暗示しているってカンジでしょうか。


◆◆以下メモ。◆◆
・冒頭、何の説明もせず、明かりが消え、死体がころがり、血が散乱している前回の船の、夜の様子を描写するのが、非常に効果的。血の中に、レビィが吸ったとおぼしきタバコがころがっている・・・・


・悪徳シスターのばあさんがまた、絵に描いたみたいなイメージで、丹下段平みたいに片目に眼帯していたり、なんか爆笑しちゃった。拳銃つっている暴力シスターとか、わらうべきところなのでしょうか・・・・・・。
でも、シリアスな緊張をはらんだネゴシエーションと、ツボを押さえた背景音楽があるとあんまり気にならなくなってくるのが不思議。


・「オレはまちがっちゃいないし、謝るようなこともない。そういっているんだ。」
本気でロックの額を狙って引き金を引くレビィ先生・・・・・


・ロックの主張
「上司のご機嫌伺いが終わったかと思えば、今度は、地の果てで女のご機嫌伺いだ。コイツは一体何の冗談だ」
「てめえはなんだよ。アウトローの本場、荒くれ者の海賊様じゃないか。それがなんだ。口を開けば、カネかね、かねカネいいやがって。でっかい獲物が目当ての大悪党。なのに、てめえは死人からも物をかっぱぐ。・・・誇りはねえのか。おまえのあたまの中にはよ。」


「答えに詰まれば都合良く悲劇のヒロインかよ。それがおまえの一番ひきような所だよ」


・レビィ先生の反論。
「ここはな、おまえが憧れているようなハリウッドの安ピカレスクとはちがうんだよ。なにが誇りだ、なめんじゃねえ、ここをみろ。どこをとってもクソの山だ。ロビンフッドなぞどこにもいなんだよ、バカ野郎。」
ロビンフット、ロビンフット・・・義賊ってことですか。


・ロックの決めセリフ。珊瑚の海底、熱帯魚、魚群、見上げる水面、日本のどんよりした風景といった、セリフのバックの背景も効いて、いいカンジ。やっぱり、日本の、息苦しい会社生活が背景にあると、共感度合いが違う・・・
「オレはおまえに誘われた時、何かがふっとんだカンジがした。吹っ切れたカンジがした。ラッシュに追われ、愛想笑いで頭下げて、勤務成績に命はってよ。何があっても、飲めるところと、バッティングセンターがありゃ、世はこともなし。そんな全部がどうでもよくなったんだ。・・・そいつを教えてくれたのは、オレを呼んでくれたのは、おまえだ。レビィ。」
「おれがこんなにこだわっているのはな、そんな生き方に気づかせてくれた、その女が、オレを裏切った連中と同じ事をぬかしてやがる。オレにはそいつが我慢ならねえ。」


・護送車の中の対話。男らしすぎるよロック先生
「ひとつだけだ・・・それを効いたら面倒はねえ。おまえ、結局はどっちの側にいたいんだ・・・」
「オレは・・・オレが立っているところにいる。それ以外のどこでもない。」