■コードギアス 反逆のルルーシュR2 24ダモクレスの空s大河内一楼c須永司d鳥羽聡g木村貴宏板垣敦又賀大介メカ総g中田栄治

◇全編、大変に面白いのだけど、なんというか、「カタルシス劇」的小ネタのモザイクみたい。それも情念の弱い、ベタベタのヤツの集積かしら。
余りに直球すぎてどれもこれもヒネクレたあたしにゃ、こっぱずかしくて、居心地の悪い心持ちになっちゃいました。


◇例えば、

フレイヤは刻々とその組成を変化させる。その組成に対応する反応をぶつければフレイヤの臨界反応は停止できる。」(ニーナ)
「でも、爆発までの約19秒で、現場環境データをプログラムに入力しなければいけない。」(ロイドさん)
「それにプログラムを完成させても実行時間はコンマゼロ4秒だけ。」(セシル女史)

という、常人には解決困難な突然の課題が突きつけられて、ルルーシュとスザクが見事突破!という、なんだか中学生の妄想みたいな息の短いカタルシス展開その1。


◇或いは、悪者シュナイゼルに見捨てられた哀れないたいけな盲目の少女。

「鍵・・・鍵はどこに?・・私がおにいさまを止めなくちゃ・・・」(ナナリー)


◇また、死亡が確信されていたコーネリア皇女殿下の忠実な騎士が実は・・・・

「結局兄上は私をころさなかった。兄上には執着すべき欲がない。世が世なら卓越した王であったもののを。・・・そこを読み切れなかった私はおろかなのだろうな・・・?」(コーネリア皇女殿下)
「・・・・姫様。・・・・うっうっうっ・・・」(ギルフォード卿)
「まだ・・・私をそのように呼んでくれるのか?」(コーネリア皇女殿下)


◇また、ルルーシュの「対シュナイゼルのビデオモニター想定問答」という、やはり中学生の妄想みたいなカタルシス展開その2。

「しまった!・・・何故気がつかなかった?シュナイゼルの思考を読んだ・・・録画だとっ。」(ディートハルト)

ありえないからっっっ


◆こうしてみると、その危険な基本設定とは裏腹に、多くのサンライズ系のリアルドラマロボットものや、TBS土曜六時枠(今は日曜五時だけど)の特徴である「過去の引きずり」「ウジウジした感情の鬱屈と集積」「同時代性の意識」なんかとは、殆ど無縁のシリーズなんだなあと、あらためて思ってしまいました。


◇私が愛好するこれら鬱屈系のアニメーションは、一般に最終回に至る途中のエピソードの多くは、陰々滅々としてカタルシスに欠ける傾向がありました。(わたしにゃ、これがいーんだ。)
対して、コードギアスは、「カタルシスを生み出すハッタリを効かせたストーリーテリング」が命でしょうか。これはこれで面白いからいいのですけどね。だけど、もう少し感情に重力感があるといいなあ。


◆ところで、この回、多くの名もない兵士が「大量に死ぬ」一方で、名のある脇役は「誰も死なない」様子を見ていると、やっぱり最終回には、ルルーシュ、スザク、カレンを始めとした殺戮者達への「落とし前の付け方」をキチンと演出してあげないと(それはハッピーエンド的なものでも構わない)すっきりしないなあと個人的には思いました。
そうしないと作品としては成仏できないような気がしてしまう私はやっぱりひねくれ者。