■マクロスF23トゥルー・ビギンs吉野弘幸c福田貴之d和田伸一g吉川政美

◆ランカさんの腹には虫が湧いていたので、虫とコミュニケーションができたのです・・・・という。
虫は言い過ぎだとしても、(話のおおざっぱなノリに対して)腸内細菌とか、妙に生々しいなあ。


◆しかし、ここ数話で「人類の運命とアイドルの歌」というミスマッチなお題に対する(初代マクロスに対抗する)この作品の「仕掛け」が見えてきてなんだかすっきりした。


◇当初、このお題に対して、政治的にも文化的にも不自然に見えないように(脚本や演出的に)悪あがきしている様子が制作者にほとんど見えなかったので、開き直りすぎと思っていたのだけど、仕掛けを考えた上で物語を組み上げていたのですね。


◇歌声に、未知の腸内細菌に由来する「フォールド波」という物理的な超機能をのせて、それに干渉される敵を設定することで、「人類の運命とアイドル」という難しいカップリングに物語としての力をあたえたのでしょう。
しかし、このコアアイデアを展開する手つきが、かなーりぎこちなくてもったいない。


◆ところで、(最終兵器シェリルの恋人的位置づけだとしても)特に特殊能力もない一兵卒のアルトくんに、わざわざミシマ大統領や黒幕のビルラー氏自らが、ランカの敵対性を説明してあげる展開が、居心地悪かった。


◇思えば、アルトくんは三角関係の要の位置にいるわけだけど、その魅力の源泉が(きっと<役者>というキーワードで演出しようとしていたのだとは分かるのだけど、)いまいち腑に落ちない。やっぱり男は顔ですか。


◆◆以下メモ◆◆

「戦いの目的はフォールドクォーツを手に入れるためですか?」(アルト)
「ほほう、なるほど彼らは星間物質や恒星からフォールドクォーツの原料を集めて回る習性があるからね。」(ビルラー氏)
「だが、我々は何よりもまず、生き延びなければならない。そしてバジュラを殲滅しなければならない。人類の未来のために。・・・・バジュラは人間を抹殺しようとしているんだよ。ランカくんを足がかりにしてね。」(ミシマ大統領)



「ようやく判明したんだ。脳を持たない彼らが、何故生物として成立しているのか。・・・・彼らは腸で、より正確に言えばフォールド波を放つ腸内細菌のネットワークで情報伝達を行う。そしてそのネットワークはバジュラの群れ全体にも拡大される。・・1個体がひとつのシナプスのような位置づけになっている。(・・)バジュラには個体や自己といった概念はない。一つの群れ、一つの種族で一個の生物のように振る舞うのさ。」(ミシマ)
「フォールド波によるネットワーク生物・・・それがバジュラなんだよ。」(ビルラー氏)


「あの細菌は決して我々の腸に定着しない。それどころか脳を冒し、死をもたらすというのに。・・・例外があるとすれば、生まれる以前。母体内で感染し、バジュラとの共存を選んだ。また、バジュラ側も彼女を利用しようとした。そうとしか考えられない。・・・だから、バジュラはランカくんを狙うんだよ。・・・彼女は人類とバジュラをつなぎ・・・そして我々を滅ぼす尖兵となるだろう。」(ミシマ)