■ウルトラセブンX04DIAMOND”S”s大田愛シリーズ構成八木毅d鈴木健二

4話まで見てきたけれども、いやあ、ダメだなあ・・・・
◇脚本的にイマイチでも、ミニチュア特撮的に見応えあれば、全てが帳消し・・・・というのが、これまでのウルトラシリーズの私の見方だった。


しかし、このシリーズ、脚本は古典的(古典的というのは悪い意味じゃない)だけど、ミニチュア特撮なし。ブレードランナーモドキのショボいCGに、現代の東京湾岸を代表とするちょっと未来っぽい都市や建造物の悲しいまでの徹底的な活用。(凝っているのは照明だけみたいな・・・)
そこに、たまーに、ジョン・ウーマトリックスフォロワーなアクションが入っていたりするが所詮これもモドキ。(前回のセブンvs星人のワイヤーワークは頑張っていたけれども。)


そして、ここにあんまり演技力のない、むしろ大根といっていいような女優さんをキャスティングしちゃうわけだ。タイヘンな惨事。


◇確かに、毎回、往時のセブンの面影のある、文明批評的なテーマ性のあるストーリーラインと異星人の配置ではあるのだが、これらは、きっと輝きを放つために何かひと味必要なんじゃないかしら。(1話完結の伝統的な侵略SFっぽい脚本は、実はそんなに悪くないかなとも前回は思った。)


◇それは何かといえば、思うにひとえに日常からの「異化作用」。
怒られるかも知れないが、往時のセブンやここで語られた現代批判ってのは、実はおおざっぱで少々高校生的とも言える。
それが我々の印象に残る為には、それが語られるのに相応しい「異常な演出空間」を作る必要があると思うんだ。


日常とずれたところだけで語ることが許され、我々の心に残るモノ。地球を守るウルトラマンの物語ってそういうモノじゃなかろうか。


そして、これまで日常からのズレを劇的に演出してきたものは、街中に佇むウルトラマンの巨大さであり、超個人的な思いで言えば、異常な景観を効果的に際だたせるミニチュア特撮じゃないかなあ。


◇このシリーズのCG合成は、異化作用の面で致命的。街の情景と合成されたウルトラマンはリアルではある(いや、そもそも闘うのが夜ばかりなのでリアルもなにもあったもんじゃないか・・・)が、「異常な空間」という面でインパクトが足りなさすぎる。
また、ドラマパートも、(それこそ現代建築そのまんま使っていて)日常と地続きなんだよねえ。
唯一の異化作用のよすがである、ブレードランナー風の未来描写も覚悟が足りなさすぎて、現存の建造物の上空に立体ディスプレーを浮かす程度じゃあ、間尺が合わない。


◇恐らく予算が徹底的に不足しているのだと思うのだけど、これでは、古典的な脚本が死んじゃうよね。(このシリーズは、深夜番組だから、きっとこのモノイイは成り立つと思うんだ・・・・。児童が見られる時間だったら成り立たないかもね。)
予算が無いのならば、古典勝負はやめて、クレバーな脚本と構成で勝負しなくちゃならないんだろうけれども、そこにウルトラマンを配置するのは難しいなあ。


◇脚本や監督は、最近のウルトラシリーズを支えていたヒトビトが多いけど、「特技監督」クレジットが消滅しているのが象徴かなあと思う今日この頃でした。


ところで、この文章、円谷プロを買収した某会社の社長様の発言に若干過剰に反応してみました・・・まあ、買収以前に企画されたシリーズなんだろーけれども。