■機動戦士ガンダム00 06セブンソードs黒田洋介c&d北村真咲キャラg松川哲也メカg佐村義一有澤寛

◇面白かった。
◆第3話の無意味な鉱山攻撃に突っ込みを入れた脚本の愚直さに感動した。
ヘンに媚びたキャラクターと、無闇に強くてポーズを決めるガンダム達と、行動と成果を無理矢理直結させる展開が目立つけれども、これはこのシリーズを成功させる為の手段だと割り切っているんじゃないかしら。


◇スポンサーの商売の為に煌びやかなロボと一般ウケしそうな(?)キャラクターを押してきているが、リアルロボットものの伝統に忠実に則って、その裏の本来語りたい(だろう)物語のなんと捻くれていること!
その捻くれ方の過剰という意味で、富野監督自身のガンダム以外では、最もその血筋を強く引いているガンダムといってもいいかな?とちょっと思った。


◇このシリーズが、富野さんと違うのは、関心の方向が人間のドロドロじゃなくて、政治的構図のドロドロに向かっているって事かな。
テロリストが主役で現代世界を模した政治勢力に攻撃して回る物語なんて、フツー出来ないよ。
極めて現代的な構図に意欲的に挑戦していて、その意味では(これまでは)かなりいいセンいっているのではないかしら。(願わくば、初志が貫かれんことを!)


◆そして、これが結構面白い。
シミュレーションゲーム的なレベルに留まるが)各地域共同体と、その勢力内の国家の反応を丁寧に拾って、次の政治的ステージを設定し、そこにオーバーテクノロジーの無敵の超兵器ガンダムをぶつける。
すると、またその結果に応じた各国家勢力の動きが丁寧に演出されていく。


◇こんなパワーゲーム的な趣向と、主役のテロリスト達の主張の矛盾を強調した脚本が混じり合って、行き先の見えない非常に混沌とした雰囲気を出すのに成功しているのじゃないでしょうか。


◆あと、各大国を象徴する無名の首脳陣(まあ、設定の名前はあるんでしょうが、文字通り国の象徴キャラなので名前は覚えなくて一向に構わない)の使い方と交通整理がとっても上手い。
普通これだけ大量の抽象に近い政治的な言動をするキャラクターは投入しないよ。


◇そうすると一面ではこの作品、いわば国家が主役かも。大国だけじゃなく、内戦絶えない貧乏国家にも目配りしてキャラクター化している、その気配りもなかなかいいと思いました。


◇軍事的地域共同体勢力の3つ巴、その共同体の中でも大国と、大国に寄り添う弱小国家とか、大国にすら相手にされない貧乏国家とか、なんというか過剰に多くの「国家のキャラクター」が立っていてその意味でも珍しい作品だよなあ。


◆◆以下メモ◆◆
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・Bパートでセツナさんと対決する、彼の旧戦友らしきヒゲの男。
「たく・・・ひでえもんだなあ。ソレスタルなんたらってのはよ。ここにある石っころがとれなきゃ、この国の経済は破綻。・・その影響を受ける国や企業がどんだけあるか。戦争をとめられりゃあ、下々のものはどうなってもいいらしいや。」


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・AEU構成国の国家首脳の、具象ではあるが実は抽象的な政治会議。
「どうしてもモラリアに軍隊を派遣なさるというのですか?」(AEUの構成国の首脳A)
「宇宙開発計画にモラリアのPMCが必要なのは、先日の欧州首脳会議でも確認されたはずです。」(AEUの構成国の女首脳B)
「しかし、幾ら経済が破綻しかかっているといっても、モラリアを擁護すればソレスタルビーイングが・・・」(AEUの構成国の首脳A)
「だからこそ、軍隊を派遣するのです。」(AEUの構成国の女首脳B)


「軍備の増強なしで宇宙進出などあり得ん話だ。ユニオンや人革に宙の上を押さえられたら、最後のフロンティアさえ失われる。」(AEUの構成国の首脳C)
「そのとおり。宇宙開発競争にこれ以上乗り遅れるワケにはいかん。モラリアへの軍隊派遣は賛成国のみで行うこととする。・・・ただし、この軍隊派遣はAEUの総意であることは容認してもらう。・・我々はモラリアを救う白馬の騎士になるのだ。」(AEUの構成国の首脳D)


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ソレスタルビーイングのオペレーターさんによる、今回の介入の舞台の解説。
「モラリア共和国。23年前の、2284年に建国したヨーロッパ南部に位置する小国。人口は18万と少ないが、300万を超える外国人労働者が国内に在住。約4000社ある民間企業の二割がPMC。PMCとは、傭兵の派遣、兵士の育成、兵器輸送及び兵器開発、軍隊維持、それらをビジネスで請け負う民間軍事会社。」


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・ユニオンのグラハムさんとポニーテール博士による状況の解説。
「モラリアは、ソレスタルビーイングと事を構えるつもりのようだな。」(グラハム)
「AEUが後ろ盾になったんだよ。太陽光発電システムを完成させて、コロニー開発に乗り出すためには、民間軍事会社の人材と技術が不可欠だからね。・・モラリアとしても縮小した経済を立て直したいという思惑がある。・・たとえ自国が戦場になったとしてもAEUの援助が必要なのさ。」(ユニオンのポニテ博士)


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・スメラギさんとユニオンのポニテ博士は大学院の同じ研究室だった。指導教授は、ユニオンのガンダム捕獲隊の月影センセイみたいな博士。
・何故かバーで二人でいいカンジに飲んでいる。
「教授は既に、ガンダムが放出する特殊粒子の概念に気付いている。」(ポニテ博士)


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・ユニオンのポニテ博士と月影センセイの対話と、それを聞いているグラハムさん。
「そうかクジョウくんと・・・。元気だったかね。(・・・)あの事件の事は?」(月影センセイみたいな博士)
「忘れた・・と言っていました。」(ポニテ博士)


『クジョウ・・・もしや「あの事件」の戦況予報士か?』(グラハム)


・スメラギさんは偽名みたい。そーいえば、テロリストなんだから本名のわけないか。すると他のキャラのクセのある名前もコードネームみたいなものと思いこめばいいかな。


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・↓この乱暴なシンプルさが魅力のひとつ。
「目標は私達に敵対するものすべてよ。」(スメラギさん)


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コーラサワーさんのタイムボカン的なやられっぷりが不憫で爆笑。
「なんじゃそりゃー」