■電脳コイル23かなえられた願いs磯光雄三上幸四朗c野村和也d青柳宏宣g本間嘉一秦綾子青山浩行

◇いやあ、盛り上がるなあ。燃えた。
「メガネで見えるものなんて、・・全てまやかしだ。もうメガネなんて捨てろ。・・そして手で触れられるものだけを信じるんだ。・・・さもないと、私のように、・・メガネに殺されるぞ。」


◆◆こういう、存在しなかったものが存在するようになり、それが現実に影響を及ぼして、何らかの破局、或いはブレークスルーをもたらすって話は大好き。


◇かくて、(ヤサコと接したことにより)孤高のイサコに芽生えた情動は、彼女の本来の目的(兄を異界から取り戻す、若しくは一緒に異界で生きる)よりも、生身の人間の繋がりであるヤサコとの友情を選ぶのでした。


◇ヤサコの無償の友情に胸を熱くし、(ヤサコの電脳犬を助ける為に)猫目の罠に敢えて飛び込んでいき、そして(異界への扉を開こうとする今までのベクトルとは逆に)自分を犠牲にして異界への扉を閉じようとする様は、かなり感動的。


◆ところで、この辺り、あくまでイサコは、当初ヤサコを裏切って自分の目的(兄を異界から取り戻す、若しくは一緒に異界で生きる)を果たそうとしていたが、兄の肉体的死を確信したことと、自分の願いが全ての原因だという電撃のような悟りと、そして軽薄に裏切り続ける猫目への嫌悪による「突然の転向」あるいは「自暴自棄」だと解釈する方向もあるかも。


◇確かにうっすらそんな意識もあったと思うけど、まあ、あんまり複雑に考えない方がいいなあと、最近は思うようになりました。。。。。


◇あと、ヤサコ、いわば、「イサコの心の隙間」に入り込んだってことで、汚れた心を持つワタシとしては、(この回の警備員さんへの媚びの売りようをあわせて)その戦略性を考えたい気もしちゃった・・・・まあ、これも余計なことですね。ごめんなさい。


◆また、この回は、ヤサコを守ろうとするデンスケの雄姿が涙無くして見られません。泣いた。


◆◆ところで、(2.0を稼働させ街中をフォーマットして回っているのは、猫目ではなく、メガマス社なので、)「真実を知ってしまったイサコを何とかしたい」、「証拠隠滅のためにコイルドメインを根絶したい」と願う真の悪役はまた別にいるはず。


◇なのだけれれども、一向に描写されないのが非常に気になるなあ。
猫目もいい加減、陰険な悪役だけれども、彼は学術的な成功を収めたいと望んでいるだけで、もっと社会的に糾弾されるべき悪役が別にいるような気がする。


◆◆以下メモ◆◆
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・冒頭のナレーション
「ヌル達によると、彼らは苦しみの種を食べる内に、苦しみを求める生きものとしての命を得たそうです。」


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・ヤサコの肩に「暗号路」を発見したイサコは、ヤサコに「暗号路」について説明。
「黒客に与えた暗号は、イマーゴが無くても使えるように改造した疑似的なものだ。駅向こうも恐らく同じだろう。・・だが、お前のは違う。・・・イマーゴと直結している。」
「今のお前の状態は恐らく私と同じだ。・・暗号路はイマーゴと直結して、思考から直接暗号を取り出す構造体だ。」
「しかし、イマーゴと直結した暗号路を、あの新型のレベル3フォーマットで攻撃されたら、無事では済まない。特に私のように深く直結している場合は。
「おまけに、この古流の暗号。イマーゴを消費して暗号を出している。・・・危険過ぎる。」
「お前の暗号路は未だ浅い。これ以上いじるな。」


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・オバチャンとメガバアとフミエが、「古い空間」と「道順」について語る。
「何故古い空間にはいるのに道順がいるのか・・・焼け残った小此木家の資料にその答えがあったわ。・・コイルスは買収されたとき、公にされたなくない実験資料をかけていた。・・恐らく、イマーゴやイリーガルに関するね。」(オバチャン)
「それらを迷い道で封印したものが古い空間だったのじゃなあ。」(メガバア)
「ヤサコやカンナが見つけた道がそれね。」(フミエ)
「そうよ。浅い領域は、全て、私か2.0がつぶしてしまった。」(オバチャン)


・上記鼎談に、イサコのセリフが挿入。
「残っているとすれば、深い道のりだけだ。・・恐らく長い迷路のようになっているだろう。」(イサコ)


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・オバチャンによる、最高度の説明口調(・・すみません、爆笑しました。)によるイマーゴの解説。
「資料によるとイマーゴの発見は偶然だったらしいわ。量子回路のある特殊な基盤パターンが、過去例をみないほどの高性能なアンテナになることに、コイルスの主任技師が気付いた。・・おかげで微弱な電磁波でも高速通信できるようになり、今の電脳眼鏡と革命的な通信インフラが実現した。・・」
「当然コイルスは、その現象の理論を解明しようとしたけれども、原理すら分からなかった。」
「しかし、現象の再現と回路のコピーだけは簡単だった。・・経営者は量産に踏み切り、コイルスは急成長した。」
「でも、技師の発見はそれだけじゃなかった。・・回路が電磁波以外の何かを受信していたのを発見したの。」
「(受信していたのは)人間の意識よ。・・技師はそれをイマーゴと名付け、更に実験を繰り返した。」
「人間の意識を電脳空間に取り出したり、イマーゴを逆流させて意識を意識を操作したり。・・・そして、イマーゴを中心としたコイルシステムを構築し、電脳医療に応用した。「それらを隠した場所が、今もどこかに眠っているのよ。」


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・猫目が「センセイ(=メガバアの夫)」の資料を漁って。
「やはりそうか。今までセンセイの首輪が機能を封印していたんだ。・・このコイルスノードをコイルドメインで接続すれば、キラバグほどではないが、通路が開ける。・・・あとは贈り物を用意するだけだ。」


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・しらじらしく、出任せを述べてイサコを利用しようと擦り寄る猫目ソウスケ。
「5年間も一緒にノブヒコを探してきた僕を疑うのか?」
「ある勢力が、僕らの邪魔をしようとしている。奴らの偽情報を信じるな。ノブヒコは・・・今も生きている。」
「ノブヒコの身柄は奴らが押さえている。奴らはお前に嘘を吹き込み、病室に細工をしたんだ。」
「(奴らとは)メガネの不具合を公表されるのを恐れている奴らだ。」
「だが、一番いい方法を見つけた。全てを解決し、皆が幸せになる方法だ。」


・デンスケを助けるために必要な「コイルスドメイン」への道順を知っていると述べる猫目。
「それだけじゃない。あの犬は、コイルスノードだ。コイルドメインであの犬を直接接続すれば、我々の目的も果たせる。・・・あっちへの通路を開けるんだ。」
「浅い空間からだと、キラバグのような強引な方法が必要になる。だが、コイルドメインはコイルスノードで接続すれば、すぐに開くことが出来るんだ。・・・ノブヒコのいるあっちへの通路をな。」
「いいか。必ず犬をこの場所まで連れてくるんだ。・・・ただし一人で。(・・・)これがノブヒコと会える最後のチャンスだ。」


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・イサコ様、ヤサコへ感動の告白。
「お前とは友だちになれたのかどうか良く分からない。・・・私には友だちというものが良く分からないから。・・・でも、こんなに近くまで来てくれた他人は、お前が初めてだ。」
「でも、やはり、私が住む世界は・・・進む道が違うんだ。」


「メガネで見えるものなんて、・・全てまやかしだ。もうメガネなんて捨てろ。・・そして手で触れられるものだけを信じるんだ。・・・さもないと、私のように、・・メガネに殺されるぞ。」


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・コイルドメインに到達したイサコは、やはり猫目に利用されただけだと知る。燃料として消費されていくデンスケ。
「ユウコ、我々は全てを解決する方法を見つけたんだ。・・その犬の電脳体だ。このコイルドメインでは、コイルスノードがキラバグの代わりとして燃料になるんだ。」


・デンスケを助けようとするイサコ。猫目は説得にかかるが・・・
「何故邪魔をするんだ。もう、これがノブヒコに会える最後の方法なんだぞ。」
「ノブヒコは、やはり既に死んでいる。肉体的にはな。(・・・)ノブヒコは生きている、あっちでな。・・・だから、やっとこれでノブヒコに会えるんだ。」
「ユウコ、これでお前の望みも叶う。あの人も喜んでいる。お前に会いたがっていたぞ。「(あの人とは)ミチコさんだ。(自分は)・・・ミチコさんと契約した。」
「君はあっちでお兄さんと暮らす。僕はあっちの存在を実証できる。・・これでみんな幸せになれる。君も嬉しいだろ。」


・全てはイサコの願いから出発していた。
「思い出したか?ミチコさんはお前とノブヒコを引き離したんじゃない。願いを叶えたんだ。ずっと一緒にいられるように、ノブヒコをあっちに閉じこめて欲しいという・・・お前の願いをな。」


・イサコの決意。
「これ以上通路を広げたら、私の暗号路を暴走させる。・・・その通路を閉じろ!」
「バカな・・・そんなことをしたらお前は死ぬぞ」
「構わない。」
「ノブヒコに会いたくないのか?もうすぐ会えるんだぞ。」


・イサコのヤサコへの懺悔。
「やはり罠だった・・・お前の犬は救ってやれなかった。・・済まない。全ては私が・・私が始まりなんだ。思い出した。元々、あたしが願ったんだ。お兄ちゃんをあっちにつれていってって。ミチコさんに。・・お兄ちゃんと一緒に永遠に二人だけで暮らせる場所を願って。・・・兄は戻ってこられなかった。あたしが願ったんだ。ミチコに。」