■バンブーブレード07寿司とメンチカツs倉田英之c寺岡厳d佐藤育郎g織田広之山本善哉

◇<タマちゃん>vs<コジロー先生の先輩>というアンバランスな対決を柱に、ギャグ的にも、ドラマ的にも、バランスが取れた好編。面白かった。


◆この勝負、大のオトナが小さな女の子と本気で勝負するという非対称性が際だつのだけど、それだけにタマちゃんの強さにカタルシスが生まれ非常に効果的。


◇また、誰がどう見ても不自然なこの対決に駆り立てられた先輩の闘争心には、若き日の青春の残照、余熱みたいなものが上手く演出されていて、(よーく考えると色々オカシイが・・)納得性があり、かなりの好印象でした。


◇今までも(この回の先輩だけでなく)コジロー先生のシリアス方面の人物造形には、過ぎ去った青春の日々を現在の燃料にするような状況が非常に多くて(まあ、不完全燃焼なのですが)、わたくし的にはこっち方面の深堀をとっても期待してしまうのです。


◆ところで、結局、(タマちゃんが1本取って優勢の状態で)追いつめられた先輩の「本気の上段の構え」の姿に、タマちゃんの人格的背景を支配する(と仄めかされる)母親のイメージが上書きされた時、今後のタマちゃんのドラマを予感させて、いわば話をずらして、この勝負はドローとなっています。


◇誰も傷つかず、誰も勝者でなく、誰も敗者でない。この物語の方向性を考えると、このずらし方は、かなりのワザありだったんじゃないでしょうか。
とはいえ、このワザは原作どおりなので、今後の先輩の、タマちゃんと絡めた扱いに注目してしまっていいですか。


◆ギャグ的には、コジロー先生のだめっぷり(Aパートの勝負に対する間違った意地汚さと、それをしらばっくれる様子や、Bパートの回転寿司屋のくだり)が存分に発揮されていて、とっても癒された。


◆あと忘れてはならないのは、この勝負の周辺に配置される、対戦相手の生徒との「のんびり感」溢れるぬるい雰囲気、そしてショートギャグとしてうまく機能している主人公達の幸福な家庭のエピローグ。


なによりも見終わったあとの幸福感がいいや!