■ウルトラマンメビウス32怪獣使いの遺産s朱川湊人d&特技d八木毅

5話遅れぐらい?
なんというか、新マンの原典を見た後だと、脚本家のフックの違いを感じたかしら。
怪獣使いと少年」は、(この回では「地球人」と拡大してますが)、「善良な市民」の側に徹底して「理」が無いことがキモであり、そんな市民に失望したウルトラマンを描いたことが、傑作たりえている理由なんじゃないかなと思いました。


ところが、この回では、宇宙人側に復讐心という悪意を持ち込み、また、過去の原典にさかのぼって地球にだまって滞在していたことが「非」であると述べさせていたりして、地球人側に、メイツ星人を悪と認定するのを躊躇わせないような話作りがなされております。
つまり、地球人にも非はあるけれども、宇宙人の方により大きな非があるよと。だから、地球人が宇宙人を恐れ差別するのにも、「理」がある・・・・
その「理」を越えて、分かり合っていこうよという結末。


私の解釈した原典からの視線で見ると、うーん、180度違うことを・・・・と思ってしまいます。
だけどまあ、これは、旧作の脚本のどこにフックを設けるかの違いかも。この回は、旧作の「異なるものを差別して恐れる人間の性質」を柱として展開した脚本なのでしょう。
だから、テーマ的にヒューマニズム溢れる展開になるのは、仕方がない。メビウスのシリーズテーマ的にも友愛が柱みたいだし。


だけど、なんの悪意もない宇宙人を虐殺する民衆の前に、茫然として立ちつくすメビウスが見たかったな。ああ、もう、超個人的なネガティブな嗜好なので、気に障った方が居たらお許しを。


◆◆以下メモ◆◆
・この回は、Bパートの雨に煙る市街地でのムルチ対メビウスの戦いが決まっていた。やはり、この雨は原典へのオマージュなんでしょうね。


・リョウ少年は、メイツ星人が死んだ後も、穴を掘り続け、中学生ぐらい?やがて姿が見えなくなったと語られているけど、メイツ星人の宇宙船を掘り当て、星へ帰っていったと思いたい。


・旧作のパン屋のおねえさんの「世間の目からの跳躍」の演出の傑出ぶりが際だつ気がした。汚れなき幼稚園児とかを差別の視線無しのリトマス試験紙にするのはどうなんだろう・・・・