■ウルトラQ04マンモスフラワーs金城哲夫梶田興治d梶田興治特技d川上景司

◇早朝若しくは深夜のビル街、静かな街を警邏する警官は、路面が盛り上がり、ビルの外壁が落下してくる場に居合わせてしまった・・・・・


このアバンの舗装された地面が盛り上がり、歩道のタイル一枚一枚が存在感を持って主張するミニチュアのカットが非常に印象に残る。


石坂浩二のナレーションに引き続き、OPの間、呼吸するように盛り上がったり収まったりする路面の様子をずーと映していて、何かが起きる不穏なカンジが良くでているのではないでしょうか。
「今、我々を取り巻く自然界の一部が、不思議な身動きを始めようとしています。・・・そうです。ここは全てのバランスが崩れた恐るべき世界なのです。これから30分。あなたの目はあなたの体を離れて、・・この不思議な時間の中へ入っていくのです・・・」


◇Aパート冒頭は、有楽町方面へカメラを向けた東京駅丸の内口の全景から始まり、丸ビル方面へカメラを横に流していく。
左手の東京駅舎、奥の郵便局が現存している為、概ね印象としては現在と変わらないものの、駅前に整然と駐車した車、小さなロータリーをまばらに車が回っている様子、比較的雑な道路区画、小さな車などのモータリゼーション初期の趣が興味深い。
しかし、丸ビルも新丸ビルもここ数年の内に解体されてしまい既に無く、劇中の新聞社が新丸ビル内にあると設定されていることが、この回では伺えて、感慨深いです。
実は、この回で最も印象に残ったのはココでした。古い風景の映像の引力はすごいです。


◇さて、この回の特撮的見所は、光学合成により、低いショットからの、ビル街の上に花がぬっと首をもたげる様かな。いろいろなカメラ視点を設定し、執拗に描写していて、こだわりの演出だということがわかる。
丸の内のビル街から首をだして開花する様の絵になること!


また、煉瓦造りのモダンな建物が、それを貫いたマンモスフラワーの生長により半壊する様も見所。全景のミニチュアのビルにちょっと重量感が足りないけど、崩壊シークエンス用に壁だけ別に作った(らしき)ものが、煉瓦のひとつひとつが崩れる様を描写していて、手間がかかっているように見えた。
しかし、超遠景から見る、路面のコンクリを突き破っての成長するのを描写したミニチュア特撮は、路面の切片が巨大すぎてスケール感が若干おかしい気がした。残念。


さて、マンモスフラワーは、パラシュートで投下された装置から噴出される「炭酸ガスを固定する」液体で、その短い命を終える。
花びらが急激に萎れていく様は、きっとプラスチックを溶かすような薬品を使ったんだと思うのだけど、ここはカナリ成功しています。


◇ところで、ドラマ的な見所は、源田博士の非常識な学問的情熱が噴出するところでしょうか。前回も登場した一ノ谷博士が諫めて机をバンと叩いたりして結構白熱してます。


「自然界の生命のバランスが崩れた時、・・・このような可憐な草花でさえ、怪物化しないという保証は何もないのです。・・・アンバランスゾーンは、私達にそのことを警告しているのです・・・では、また来週まで。」


◆◆以下メモ◆◆
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・原因不明の局地的地震に見舞われて非難にごった返す新聞社。ばったり出くわす万城目と江戸川記者の会話が癒されるなー
「あら、淳ちゃん!」(江戸川記者)
「よう!」(万城目)
「なによ。場違いなところに現れたりして!」
「へへ、セスナとヘリコプターだけの貧乏会社だ。棚ぼた式じゃ飯の食い上げだからね。こうやって材料を集めているわけさ。・・それよりなんだいキミは?」
「原因不明の地震を追って、はりきっているの!」
「へぇー、地震なんかおっかけるより、男の子追っかけていた方がいいんじゃないの。」
「失礼しちゃうわ。ここで人間が一人死んだのよ。ほっとけない問題でしょ?」
「ふん。とにかく空から何が落ちてくるかわからないような物騒な世の中だ。人命軽視の風潮を鋭くえぐるキミのキャンペーンに期待しましょ。」
「へたくそなSF小説を書いたり、宇宙旅行の夢ばかり追いかけているあなたに現実の厳しさを教えて上げたいわ!」
「えっ・・・・どうもありがとう。万城目淳、ちいとばかり現実社会にあきがきているんでね。」


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・ビルの近いにコンクリを食い破って出現したマンモスフラワーの根が人間の体に巻き付いて、ヒトビトが苦闘しているあたりは、どうみても人間の動きに併せて根が動いているように見えて、一瞬、なんだか淋しくなりました。
・だけど、たぶん人間をワイヤーでつっているのでしょうか、若干の拘束感は感じられて、しかも、巻き取られて苦しんでいるメインの人の演技が迫真で最終的には満足感が高かったかも。


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・前回も登場した博士-名前は一ノ谷博士というらしい-が、マンモスフラワーについて解説をしてますが・・・・・無理在りすぎですよう。下の蓮の花のくだりは懐かしき「究極超人あーる」に出てきたネタだなと、ハタと思い当たる。
「約2000年前(ぜん)の蓮の種が発見され、その種が美しい花を咲かせた例が我が国にもある。古代の植物が突然変異で蘇生したからと言って不思議がることはないさ。生命力というモノはそれほど、根強いモノだよ。」
「でも、博士、植物の概念で理解出来ないほど巨大だというモノは・・・」
「・・・そう、有史以前に棲息したマンモスや恐竜など太古の動物を考えてみたまえ。・・皆巨大だ。有史以前の植物が巨大になって繁殖したと考えるのも、一概に否定はできんだろう?・・・つまり、マンモスフラワーだ。」


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・源田博士の、無茶な学問的情熱がほとばしる。
「本部長・・・待ってくれ給え。どうだろう、これ以上被害はないと思うので、我々学者のために一日だけ焼き払うのを待ってもらえないだろうか。」(源田博士)
「玄田博士、何を仰るんです。相手はただの植物ではありません。・・恐るべき吸血植物ですぞ。楽観は禁物です。」(一ノ谷博士)
「いやっ、恐れてばかりおっては学問はできませんよっ」(源田博士)
「だが今は学問上のことをうんぬんしている場合ではない。・・恐怖のどん底に震えおののいている都民のことを考えるべきだ!」(どん!と机を叩く一ノ谷博士)
「一ノ谷博士!学問は時と場合により非常なこともある・・・この私の気持ちは、わからんのですかっ!」(源田博士)


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・被害の現実を目の当たりにして、自分の誤りを一ノ谷博士に詫び、マンモスフラワーを倒す手段を語る玄田博士
「植物の一番必要とする炭酸ガスを固定して、息の根を止めるんです!」
・なぜか、それを散布する役目は民間人である万城目さんに託されるのでした。