■シュヴァリエ13兆しs松澤健志c&d&レイアウト小松田大全g桑名郁朗小松田大全g協力下村一

久々に作画が濃密で素晴らしかった。全編に渡ってレベルが高いが、特に、ゲルシィ、カリオストロ、デュランと、オヤジの仕草の作画が、突出した素晴らしさ。入魂の作画、演出とでもいいますか、ともかく見応えがありました。堪能した。
若干間違ったリソースの使い方という気もするけど、オヤジ以外のキャラがあんまり動いてくれなくちゃ仕方がないよね。しかし、下品なオヤジを動かすと、キャラクター的に見栄がするよ。オヤジはいいよ。(実物はイヤだが。)


◇さて、イギリス編の第一回で、ドラマ的には登場人物を把握しましょうの回。
その中で、フランス大使館の全権大使ゲルシィの下卑た様子がすばらしすぎる。全般にオヤジに力を入れたこの回にあって、最大限のリソースをつぎ込んで、その存在感を際だたせてくれております。
ゲルシィは見所多くて、初めて4人にあって次々におべんちゃらを述べていくところ、機密局であることを示して支援を求めるデュランに金銭を要求するところ、国王の舞踏会で王妃と親しく話すリアモードのデオンを見て、外交上のチャンスとばかりにフランス大使館で開く舞踏会に揉み手で誘うところなど。


◇ところで、イギリスでの最初の夜、皆が寝静まったあとに、デュランのナーカームの懐中時計を見つめるデオンに、語りかけるデュラン。・・・ディランは、このシーンで、もう絶対デオンくんを押し倒す欲望と葛藤しているに違いないと、脳内物語が活動を初めてしまった・・・・ううう、何に毒されているのだオレは。。。。


そして、その疑惑は、イギリス国王の舞踏会に馬車で乗り付けたリアモードのデオンくんを見る、ジットリとした切なげな目つきで決定的になる。
舞踏会後、フランス大使館へ帰邸後の廊下で、死せるリアとデオンのドレス姿を交互に思い浮かべて煩悶し、ここはきっと「外見が同じなら男でも・・・・!」と、煩悩に支配されたに違いないーっ、と想像してしまった。
で、なんか行動に移そうとしているよ!!と(私の脳内歪曲では)愕然とするが、マクシミリアンくんの襲撃で事なきを得たのでした・・・・・・・あーよかった。


◆◆以下メモ◆◆
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・冒頭のイギリスでの最初の夜、パブで一杯やっている一同。テラゴリー先生の顎に手を当ててしゃべる横顔が端正でヨカッタ。。ちらりと横目でみたりとか。
「ゲルシィ・・・聞いたことがある。熾烈を極めたオーストリアとの戦いでいくつもの武勲を立てた勇士だ。」


「かって機密局員だったこともある男だ。リアの事も知っている。」


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・深夜皆が寝静まって、ひとりデュランのナーカームの時計を見つめるデオン。このあたり、デュランの微妙な目の演技とか、表情が印象に残る。なんだか、びみょーな感情の交流があるのが不気味。
「もらい物だ。」
「マクシミリアン・・・か?」
「鋭いな。リアのお告げでもあったのか?
「・・・・」
「ヤツは、陛下をして、比類無き忠誠の騎士と言わしめるほどの男だった。」
「そんな人物が何故?」
「わからん。・・・王権は秩序を保つ為の最良手段たりえなくなる・・」
「彼がそういったのか?」
「忠誠にかけては、疑いのないおとこだったんだけどな・・・誰よりも。・・もう一度あって確かめる他はない。騎士として、オレがこの手で決着をつける。・・・リアはそれを許してくれそうか?」
「・・・・」
「・・・・忘れてくれ」


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・王家の詩が書かれたマクシミリアンの書物を前に、カリオストロ伯爵が、ナウシカのクロトワみたいなことをいってます。
「罠か・・・それとも巡ってきた運か・・・」
・びくともしない本を動かそうとして、奮闘する作画が、非常にリキが入っていて印象にのこる。愛らしくてステキ。
・この辺はページを開けなくて戸惑うロレンツィアもいいカンジ。上目遣いで、はすっぱな感じが。


・マクシミリアン曰く
「多くのモノを求める書だ。誰に対して自ら開くべきかを知っている。」
「時が来れば、全てのモノに等しくひらかれるだろう。」
「メドメナムの地へ向かう。(・・・)詩の扉を開く魂は、到来した・・・」


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・デュランからお金を受領し得意げにイギリスの政治状況を語るゲルシィ。
「新大陸での植民地争奪戦が難しい局面を迎えている。緊張解消のため、両国間で調印式が・・・」
「私はこれまでイギリス側の狙いを探ってきた。」
「宮廷でせめるべきは・・二つ。一つはロバート・ウッド外交補佐官。手持ちのカバンに最終外交決定書類を収めている。・・そして、今ひとつは、「詩人」と呼ばれる存在だ。」
「正体はわからないのだが、議会と国王の双方に通じているという。実在するのなら、この国の全ての機密に関わっていると見ていい・・だが特定できんのだ。」


・それを聞いたデオンくんが突如確信を込めて語り出す。リアの記憶が流れ込んでいるのでしょーか。
「その詩人は、フランス人です。かってイギリスに送り込まれて機密局員がいます。その男が詩の朗読会を通じてイギリス王ジョージ三世と強いつながりをもったのです。・・その名は、マクシミリアン・ロベスピエール


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ロベスピエールに詩人の力を与えたという、黒幕ダッシュウッド卿が登場。ということは、この人とその信徒が革命教団?
ダッシュウッド卿の「目」だというホワイトヘッド卿。
ダッシュウッド卿に目通りしているマクシミリアンの後で、ワインに目を奪われているカリオストロ伯爵が、ホワイトヘッド卿の目を意識するところがヨカッタ。


「だが、可愛い我が息子よ。忘れてはならん。・・私の詩は、これからもお前と共にある。」
「欲すべき魂は、四人のフランス人がまもっているのだな。(・・)手に入れよ。」