■ウルトラQ01ゴメスを倒せ!s千束北男d円谷一特技d小泉一

1966年作品。白黒。
恥ずかしながらウルトラQは、初見。ファミリー劇場で再放送がはじまったので、見てみました。いやー、素晴らしい。
冒頭の流体に乗ったタイトルロゴのゆったりした出現から、もうワクワクですよ。


「ここは、東京と大阪を結ぶ弾丸道路の工事現場です。中ではたくさんのヒトが一刻も早くトンネルを完成させようと働いています。・・今夜は、このトンネルの奥で起こった在る事件をお伝えしましょう。・・・」
実際に稼働している工事現場をバックに石坂浩二のナレーション。
つついて、ゴメスの眼球を大写しにした上で、やがて牙の林立する口元、そして全身像を映す画面にあの有名な音楽が被ると、期待は最高潮。(このOP画面、ゴメスの歩く足下にちょっと重量感がないけど、しっぽの重量感が素晴らしい。)


話は、東京と名古屋を結ぶ弾丸道路計画の、山中の工事現場で、「トンネルの中にトンネル」が発見され、そこで怪物を見たというアル中の工員。併せて卵状の物体も見つかる。誰も信じなかったが、噂を聞いた新聞記者が取材に訪れ、トンネル工事の奥に見つかった洞穴を探ると・・・・・


この回の見所はBパート後半。トンネルの地上部分へゴメスが出現した後、縮尺が大きめミニチュアを破壊するところ。
まずは、一両の土砂運搬トロッコを抱え、一編成のトロッコに投げつけるところにシビレタ。
また、石造りの土台の上にのった小屋をしっぽで破壊するところが良くできている。飛び散る木片とか屋根や壁の部材とか、キチンと建物の構造どおり作られているのが伺われて、素晴らしい。
石油缶ひとつぶっ飛んでいっても、ちゃんと重量感がある。


特筆すべきは、建物を破壊したりするゴメスのしっぽの動きが非常に重量感があり、リアリティがあるところ。見応えがあります。
なかでも、リトラの怪光線(これが「ヒトノレラアシットという強力な溶解液」ですかね。)にやられたゴメスが少し高いところから落下してもんどり打つシーンのしっぽの動きが素晴らしかった。


怪光線で、ゴメスを倒したリトラは、既に傷ついていてゴメスの上に倒れ伏す。
「東海弾丸道路の、キタヤマトンネルを抜けると、・・小さな墓標が立っています。それは、次郎くんが立てた、勇敢なリトラの墓なのです」


◆◆以下メモ◆◆
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・OP後のAパート冒頭で、リトラの卵を掘り出すゴメス。そこに、ショベルカーがなだれ込んできて倒されるゴメスがなんだか可愛らしい。


・洞窟にぶつかり、ゴメスを見た男は、錯乱し、怪物とさけぶが、アル中という属性が語られ親方には一笑に付す。なぜかそこにいて事態に興味を持つ新聞記者新田。
・男と一緒に引かれて出てきた土砂搬出車両からリトラの卵が降ろされ、新聞記者は興味を抱く。


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・トンネルの中にトンネルが出てきたという、要領を得ない新田の報告に、報道カメラマン江戸川さんが派遣されて現場へ。
「写真ですわ、デスク。写真に撮れば一目瞭然。」
桜井浩子若いーっ。現在に通じる面影があるところがなんだか泣けちゃうな。


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・江戸川記者がヘリコプターの中で、操縦手と同乗の一平に説明する。
「現場はキタヤマ市から西へ25キロ。弾丸道路の第三工区。」


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・呼ばれたはいいが、事態が分からず、むにゃむにゃ言い訳する学者の先生二人。
「私の専門はね、科学ですからね、このことにつきましてはねー、ちょっと、なんと申しますか・・・なにぶんにも・・・」
いやー、なかなかこういうしゃべりのアクセントは、現代ではお目にかかれないカンジで感動した。
・引き続き、新田記者に突っ込まれて、黙り込み、二人で視線を交わしたのち、記者に視線を合わせないようにする仕草がすごくキュート。
「要するに先生方には、洞窟の件も、あの得体の知れない者もわからんと言うわけですな。」(新田達記者)


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・リトラの卵を江戸川さんを始めとして調べていると、まあるい黒縁メガネの少年次郎くんが登場。
・この子のしゃべり、吹き替えなのかな、カツオくんを彷彿させる面影でそれだけでも感動なのに、この端正なしゃべりが素晴らしくいい。昔の実写映像作品を見る楽しみが、前述の学者もそうですが、こういう今ではお目にかかれないアクセントとセリフ回しとかなんじゃないでしょうか。
「コレが隕石ですって?とんでもないですよ。隕石だなんて。・・・・うーん、仮にツヅレシジミ貝の化石集団だとしよう。・・・いや、違う。あれは古生代の地質固有のものだ。」


・次郎くん、この工区では、嘘つき扱いされてます。
「新聞社のヒト、そいつぁあてになんないよ。このあいだも、これくらいのヘンな形のモノを拾ってきやがって・・・」
「ああ、デスモスチルスの上顎骨。・・・あれはちょっとちがったな。」


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・地下の洞穴へ写真を撮りに行く江戸川記者と万城目さんに、次郎くんが述べる。
「待ってください。僕の記憶が正しいとすると・・・」(次郎くん)
「大丈夫だよ。原子銃とガンマ光線銃をもっているからね。」(万城目さん)
・・・・・原子銃?ガンマ光線銃???新聞記者だよね・・・・


・残された一平と新田記者と次郎少年は、リトラの卵を見ながら語る。
「・・・そうだ。金峰山(こんぽうざん)だ。」(少年)
「思い出したか!」(新田記者)
金峰山ってのは確かキリノ市だったね。・・・・あそこにあるものっていや・・・・あ、新田さん。ありますよ。金峰山の大洞窟だ。」(一平)
「するとこの洞窟とキリノ市の大洞窟は何か関係があるというわけだな。・・よし、もう一息だぞ。」(新田記者)
「しかし、キリノからここまでは、軽く70キロはあるんですよ。自然に出来るほら穴で、そんなに長いものといったら、大火山の・・・溶岩路だ。」(少年)


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・洞穴で江戸川さん
「わぁー、まさかこんなに広いとは思わなかったわ。神秘的じゃない?だあれもしらないところに立っている。何千年も眠っていた洞窟・・・」


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金峰山で住職に「リトラとゴメス」の古文書を見せて貰う3人。うーむ
「なんでもこの寺の裏山の洞穴の中から見つけ出されたとものだと言いますが」(住職)
「ちょっと拝見・・・・(寺の)やっぱり、リトラリアだ。(・・・)リトラリア・・・鳥類とは虫類の中間生物です。姿は優しく美しいのですが、その鋭いくちばしから、ヒトノレラアシットという強力な溶解液を出すんです。・・・するとアレは、リトラリアのさなぎに違いないな。」


「なら、このグロテスクなヤツは?」(一平)
「ゴメテウス。ほ乳類。胎生で肉食の凶暴なヤツです。」


「ゴメスもリトラも変温動物ですから、冬眠状態にあったとして、地殻変動か何かで急に地中の温度が上昇したとすれば・・・・」


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・ゴメスの対抗に、リトラの繭を変えそうとする少年。石油缶のたき火を繭の回りに並べてます・・・


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ゴメスが歩ける巨大な地下空間と、人間が逃げる人間の背丈よりも少し大きいくらいの洞穴の関係性が、非常に曖昧でなんだか居心地悪い。地下のパートはあんまりうまくいっていないかも。


・しかし、リトラ。孵化したはいいが、特撮的にものすごくチャレンジャーな素材な気が・・・・。飛ぶ鳥の表現は難しいよね。