■ウルトラマンマックス37星座泥棒s小林雄次d八木毅特技d鈴木健二

とっても惜しいカンジがした。傑作になり損ねた話。これ、実相寺監督に撮ってほしかったなあ。
ここまで、撮影ロケーションに凝り、プラネタリウムとノスタルジーという素晴らしいテーマを手がけたのならば、画面的なケレンと、ウルトラ草創期の1960年代感を投入して欲しかった。(そんなニーズは私だけかもしれないですけど)
ワタクシ的にも、とってもいいツボをついてきているんだけど、何かが足りない。あるいは、怪獣ものとしての過剰が原因かな。隔靴掻痒。あー、もう、惜しい。もったいない。


個人的な体験に引きつけて言えば、ワタクシ的プラネタリウム感が欲しかった。(無茶な要求いうなよ。>オレ。)
プラネタリウム感といっても、ワタクシのデフォルトは、今は無き、渋谷東急文化会館の最上階にあった五島プラネタリウム
あそこは、小学校の授業で連れて行かれて以来、中学、高校、大学、社会人になってからもよく通った。星はあんまり詳しくないんだけど、いつ行っても小学生のころと変わらない、設立当初の「時代のセンス」が濃厚に残ったドームの周りの展示空間と、投影室。
やはり設立当初からある、カールツァイス社の巨大な投射機。ドームの縁に、切り絵状の切り込まれた、設立当初の町の建物がぐるりとかこむ。
派手な演出もなく、1時間程度で、解説のおじさんが、毎月の特集を解説し、音楽とともに一晩の星の移動が再現される。至福の空間。もー大好きでしたよ。あの空間と匂い。
2001年に休館してから、2003年の文化会館の解体の時の一ヶ月限りの復活にも行ったけど、とっても痛々しい体験だった。ドーム回りの展示室は、すべて取り払われ、中央に鎮座するのは、大平さんのこじんまりとしたメガスター。メカメカしさが大好きだったカールツァイスはいずこへ。唯一の救いは、村松解説員の、いつもと変わらぬ名調子・・・あ〜取り返しのつかないことってあるんだよな・・・・はあ


・・・話を戻すと、キービジュアルである、プラネタリウムをもっと映像的に活用してほしかったな。脚本的にも、映像的にも、多少は試みてはいるが、プラネタリウムの全天の星空の投影像と、実際の星空との、ダブルイメージを、実相寺風のケレンで見てみたかった。怪獣が空の窓に帰っていく所なんて、もっと上手く天球感をだしつつ演出できたんじゃないかな〜と。


あと、ミズキ隊員の幼少時の公園の映像。瞬く星空を見上げつつ、暖色系の照明を効果的に使って、とっても昔の雰囲気が出ていて良い。あとは、40年代センスの何らかの空間やアイテムがほしかったかな。いまいちな絵本よりは、もっとなにか、あるでしょ・・・


あと、なによりも、怪獣のデザインがぶちこわしかと。星、プラネタリウム、ノスタルジーというテーマにはふさわしくないデザインと行動。
怪獣暴れることは否定しないが、もっと何かマッチする暴れ方を考えたかったな。傑作「胡蝶の夢」の、魔デウスみたいな、テーマに割とイメージが密接するデザイン・・・・あー無い物ねだりですね、わたし。


◇以下メモ。
・ミズキさんの俳優さん。演技、段々下手になってきてないかと思っちゃった。笑顔が非常に魅力的だったんだけどなあ。


・この回は、爆発が、いまいちだな。爆発職人さんみたいな方がいて、ヒトによって、違うのでしょうか。怪獣が徘徊するのは、夜なので、爆発は重要なポイントだとおもったんだけど。それとも、暗いからいまいちに見えるのか。


・怪獣の落下地点を追い求めて、延々と塀の続く路地を歩く、ミズキ隊員のシークエンスのロケーションがすばらしい。そんな瓦の家並みに忽然と現れる「成宮プラネタリウム
「ようこそ、あなたをお待ちしておりました。さあ、今日は貸し切りです。あなたがお探しの怪獣をごらんにいれましょう。」


・「太古の昔。この地球に宇宙からの来訪者がありました。」
「星空の創造主とも呼ぶべき一族、サトン星人です。彼等は地球人に星空の美しさを啓蒙する為、天球界を建造しました」
「天球界とは地球を覆い尽くす、とてつもなく巨大なプラネタリウムのようなもの。おかげで、夜空にはこれまでにも増してたくさんの星が輝くようになり。地球人は星空に畏敬の念を抱くようになりました。」
「しかし、やがて人類は森を切り開き、まちを築き、その愚かな発展が地上に光を蔓延させ夜空の美しい星座をうばいさっていったのです。」


・「ケプルスは天球界の創造と終焉を司る。星空の守護獣。夜空に元の星空を取り戻す為、地上の悪しき光をけしさろうとしているのです。」
・星座を怪獣にするのはやめてほしいなあ。