■ウルトラマンマックス29怪獣は何故現れるのかs小中千昭d&特技d村石宏實Cgid板野一郎

これは・・・ウルトラQオマージュ回か。ということは分かるものの、ワタクシの基礎教養の中にウルトラQが入っていなかった事に愕然。面白かっただけに、隔靴掻痒で、非常に無念デス。
ウルトラQ、DVDでチェックしなくては。
しかし、科学特捜隊せいぞろいとか、森次さん登場とかの同じ趣旨の回の、物語としての無惨さに比べても、捻り方がワタシごのみで非常に、面白かった。山手通りから代々木公園にかけてのミニアチュアも充実。


一番のポイントは、ウルトラマンという物語そのもののモーメントについて、メタ的視点で、ちょっと脚本書いてみましたって点かな。
「制作者レベル」「視聴者である我々の視点」に立ったとき、ウルトラマン世界で怪獣が現れる理由なんてきまっているじゃないですか。劇中語られるように「視聴者であるわれわれが怪獣をのぞんでいるから」
脚本は、この視点で一貫していて非常に好ましく仕上がってます。特撮の撮影現場の話を入れてこのセンを非常に上手に補強。


話は、1964年撮影のテレビシリーズだという、「アンバランス」というウルトラQそのものみたいな特撮ものの撮影と、現代とが並行して進みます。撮影隊が遭遇した怪獣が、現代の代々木に現れる。
1964年の撮影隊の、「怪獣を出さないつもりのシリーズだったが、TV局から要求があり、やはり出すことにしたんだ」と言わせてみたり、怪獣ものの野外撮影の際に怪獣の出現シーンを俳優に指示するために竹竿に絵をつけたモノを使ったり、いつかどこかで読んだウルトラ特撮草創期のエピソードが盛り込まれていて、にやりとさせられます。
撮影隊の、1960フォーマットっぽい、今の目から見たら妙なユーモア(「男、横山巡査、民間人にひけをとってなるものか!」とか)が、1964編にはにじみ出ていてこだわりの脚本。撮影隊の、ビジュアルも妙にマッチしてました。


◇以下メモ。
・怪獣ゲロンガは、山手通りの地下の、地下鉄13号線の工事現場から出現。そこから代々木公園へ突っ切っていきます。
・この回、ミニアチュアの縮尺をすこし大きく作っているみたいで、迫力があり、この回の見所。もっとがんばって都市破壊してほしいかったけど。
・怪獣の造形も、1960年代っぽいけど、これ当時出てきたヤツ?前回出てきたような今風の装飾ごてごての怪獣造形にくらべて、これぞ怪獣!ってカンジがしてヨカッタ。火を吐くだけという慎ましさもいい。
・ラストに、ウルトラQのレギュラー三人のそろい踏みのシーンあり。やっぱり、年取るってのは悲しいな。