■フラクタル01出会いs岡田麿里c&d山本寛g田代雅子

シリーズ構成:岡田麿里
監督:山本寛


◆気がついてみたら、オシャレアニメ(とばかり思って目の敵にしていた)総本山のノイタミナが、現在のテレビアニメーション(ほぼ)唯一の良心になってしまったと言ってもいいと思う。
萌えの大義名分の元、単なるエロアニメと、名前の通り物語も軽量級のライトノベル原作が量産されてガッカリばかりしている昨今、この独自路線は素晴らしい。(・・・偏見ですよ、きっと。)


◆さて、この作品は、安定した「いびつなセカイ」を描きつつ、きっとディストピア的展開に漂着するにちがいないと久々に心引かれるアニメかも。


◇どこか遠方にいるとされる両親の電脳セカイの化身が、ドッペルという形で主人公に付きまとう世界は、どこか、川又千秋の人形都市のような不気味な展開を期待してしまいます。


◇ただねー、気になるのが、主人公と謎の少女の対話とかリアクションの(現在的ではあるが)記号的演出かしら。少女の色恋を意識しない堅物風の天然ボケも仕組み過ぎのような気がする・・・・・・・けれども、こういうのがあれば、物語に馴染み安いのも確かか・・・。


◆ところで、仮想世界のキャラと、(現在のところ)現実世界にいると演出されている主人公とが物理的に相互干渉して見えるのだけれども、ああ、劇中解説のある体内に埋め込まれた「フラクタルターミナル」によるものか。


フラクタルとは22世紀の科学を持ってネットワーク化された数兆の計算機の総体です。フラクタルターミナルを体内に埋め込み、高々度浮遊サーバにライフログを定期的に送信することによって、すべての人々が平等に基礎所得を受け取ることができます。働かなくても、生活が保障される、争いとは無縁の世界。・・・フラクタルこそが、人類が生み出した22世紀の神なのです。」


◇高々度浮遊サーバなんて、神林長平の浮遊都市制御体みたいじゃないですか。超燃える設定だ!!


◆◆以下メモ◆◆
「この教科書の望む未来は確かにやってきた。・・・ま、仰るとおり、ほぼほぼ快適。誰かとふれあわなくても大抵上手くやっていける。・・・ちょっと退屈ではあるけど、これ以上の何かがあるとも思えないし。」(クレイン内省)


「5時の祈りの時間です。あなたの現在位置から導き出される僧院の方角は、右前方約10度です。・・・・さあ、祈りを捧げましょう。」(脳内スピーカー広報)


「こっちだよ。・・・こっち。・・・・この辺だけ電波が届かないんだ。アイツらも捜せないよ。ただの古い遺跡なんだけどね、礼拝堂跡らしいんだ。」(クレイン)


「クレインはとても面白い。・・・この時代に生きる人々は縛られることを嫌い、特定の縁も持たない、と聞いています。それなのに・・・・」(フリュネ)



「それ、僧院の巫女服だよね?」(クレイン)