■四畳半神話大系09秘密機関福猫飯店s上田誠湯浅政明c&d横山彰利g牧原亮太郎g補堤舞西垣庄子

◇1話遅れ。

◆(自転車にこやか整理軍以外)今までキーワードだけ出てきた、貧乏くさくて日常と少しずれた異形のファンタジー要素を前面に押し出して、それらと全面的に「わたし」が関わる様になるという選択肢の話。


◆「自転車にこやか整理軍」は原作には出てこなかったと思うけど、秘密組織福猫飯店だとか、図書館警察だとか、印刷所。そんな大学を根城にした秘密組織が、「わたし」の生まれた時からの生存履歴も全て握っていて、中華飯店の地下深くに本部を持ち、小津や「わたし」を巻き込んだ権力闘争が発生する。


◇もうこれは!!四畳半と学校とだけ行き来をし、友人も少なく、サークルやアルバイトを通して世間を広げるでもなく、狭い世間しか知らないで生きてしまった人間が、四畳半で悶々と妄想してしまうのにふさわしい、世界の閉鎖感。みみっちさ!・・・日常からの飛翔が、悲しく低いのです。だけど、このみみっちさが素晴らしく良い!


◆また、この回は過去8話の蓄積されたエピソードのパッチワークがシナリオ的な見どころでもあります。全般的に非常に上手く機能してのだけれども、終盤の小津の飛行船のくだりが絵的にもハマッていました。


◆ところで、このシリーズ、毎回毎回、湯浅監督流の歪んだフォルムと動きとパースが素晴らしく心にしみいります。一般的なアニメーションはキッチリと確かな描線を引き、キャラクターの安定したフォルムを維持することばかりに腐心するあまり、動きや形の自由さ、メタモルフォーゼの魅力を忘れているような気がするんですよね。


◇そんな中、久しくなかった至福の時間。わずか1クールだけれども、毎週コレを見られるってのは幸せだなあ。