■四畳半神話大系07ヒーローショー同好会s上田誠湯浅政明c&d&g三原三千夫総g伊東伸高

◆前回提示された三つの選択肢（現実の酒乱女、人形、文通相手）がクロスする話を途中まで別の視点から語り、途中から（前回は酒乱女を選んだが）別の分岐を選んだら？という趣向。

◆この回は、人形相手に（最初はおずおずと、最後は全力で）哀切な童貞妄想を暴走させ、こじらせていく話で、「どうせあなたはどんな道を選んだって今みたいなありさまになっちまうんだ。」という＜物語律＞が目指す着地点が、まったく、もう！この主人公らしくて、無駄に内に向いていて、全力で共感シマシタ。素晴らしい。

◇あと、「妄想を深めて、次第に現実と妄想の区別が曖昧になる」という方向性は、人形とのラーメンを食べるエピソードといい、この回の占い婆さんの唐突で無理矢理な登場の仕方といい、この世界の成り立ちそのものにすら、ゆらぎをもたらすもので、非常に良かった。

◆◆以下メモ◆◆
・全然、この回のメイン物語と噛まないけれども、「わたし」がバイトするヒーローショーの絶妙な地味さが素晴らしかった。子供の騒ぐ様、司会のおねーさんの大袈裟なセリフと身振り、モチグマンのテーマ音楽の調子っぱずれの様子など、深く印象に残った。

・横断歩道での対話で「わたし」の秘密のアルバイトを言い当てた小津の異常なデフォルメ描写が素晴らしく印象に残った。パースを意識した上での左腕の異常な歪みぶり、上下ではなく左右に瞬く瞳など、いいなあ。物体として魅力がありすぎる。