■四畳半神話大系01テニスサークル「キューピッド」s上田誠湯浅政明c&d湯浅政明g伊東伸高

◇4月新番組。
監督:湯浅政明
シリーズ構成:上田誠
原作:森見登美彦


◆私にとっての今期の大本命、湯浅政明監督の新作。期待に違わず湯浅節爆発の怪作。素晴らしいっ!!


◆稚気溢れる、歪んだ人物フォルムとメタモルフォスな動き、原色色面の乱舞、異常なパースのたわんだ背景美術。これらが、過剰に饒舌に語り下ろされるテンポの良いモノローグとセリフの洪水のリズムに乗って、素晴らしく心地よく感じられるのですよ


◆個人史的には、そもそも、一人称で自意識過剰に、卑近な内容を格調高く一息に語り下ろすという饒舌体といえば、小説では、筒井康隆町田康あたり(一瞬、北杜夫のユーモア小説系統についての印象がふっと浮上してきたのだけれども、正しい印象だろーか?私の脳内では印象というには朦朧としちゃったなあ・・・・あんなに沢山読んだのにぃ・・・)、アニメ的には押井守が印象に残ってきたのだけれども、それらの末裔である(と私が勝手に思っている)森見登美彦の原作小説に忠実な怒濤の言葉づくしと、湯浅監督の唯一無二な演出はまったく相性が良いなあ。


◇しかし、最近アニメばかり見ているワタシには、涼宮ハルヒキョンや、絶望先生や銀さんの饒舌さのような、別の路線の「饒舌の末裔」の印象が一瞬浮上するのも事実。主人公のつっこみが、絶望先生の声優とダブって聞こえてくるなり、ああ、自分の病の進行度にクラクラしてしまうのでありました。


◆物語の背骨としては、シニカルな自嘲と韜晦と、そして尊大な自意識を抱えた難儀な京都の大学生が幻視する、超初期の高橋留美子風の「お隣の不思議・不条理」と「みみっちい貧乏っぽさ」と「女の子のガハハ感」(特に明石さんの造形が・・・)に彩られた日常ファンタジーとでもいった感じかしら。


◇一見、饒舌で、シニカルで明るく笑い飛ばすような調子なのだけれども、これが物語の結末に至って(読むヒトにもよるでしょーが)実に深い哀調を帯びてくるのです。


◇その地点にたどり着くまでの、トリッキーな原作小説の構成を、どのように10話前後のテレビシリーズに落とすのかが個人的には見どころかな。


◆ところで、OPの延々と続く「無限の四畳半」の実写CGの「もさもさ感」が秀逸すぎる。こんなビジュアルは見たことがないかも。びっくりした。あえて、この物語最大のキービジュアルをOPに持ってきてしまうからには、何かやってくれそうな予感。


◇この回、主人公が所属するサークルからして、原作の出発点と違っているし、話の輪郭をはっきりさせるためだと思うのだけど、細部の印象的なセリフを残しつつ、大胆にばっさりと構成し直してもいるし、これは何かやってくれるでしょう。


◆四畳半をモンドリアン風の原色色面の抽象幾何学模様に落とし込んで拡張伸縮させるEDと合わせて、この第一話、全てが愛しすぎる。・・・もう、たまりません。鼻血が出るほど、楽しませていただきました。