■さらい屋五葉01形ばかりのs&c&d望月智充g中澤一登山下喜光

◇4月新番組。
シリーズ構成&監督:望月智充
原作:オノ・ナツメ


◇昨秋、乱心して突如、ベタベタの萌え異世界ファンタジーを作ってしまったマングローブが、私の守備範囲に帰ってきた!うわあ、これは嬉しい。


◆個人的には、かなり見応えのある回。


◇狭い日本家屋、縦方向の広がりがない時代劇の街並み。あえて、閉塞感がある場面を舞台にし、ダイナミックなカメラの動きや空間的なパースペクティブを禁じ手にしてこだわったのが、じっくりゆったりとキャラの表情としぐさを演出すること。


◇特に目立つのが、大きな動作ではなく、キャラの表情という「小さな動き」に注ぎ込まれたリソース!
なかでも弥一のシニカルな表情が素晴らしい。


◆Aパート冒頭、静謐で閉塞された日本家屋のうす暗闇で、弥一がふーっとタバコを吐き出すシーンが2度繰り返されるのだけど、背景や動きをひっくるめて、これがこの回の演出的な象徴だと思った。もう、無闇に格好がイイ!


◆ところで、この弥一のタバコのシークエンスに前後を挟まれる、色彩を落として演出される誠之進少年のエピソード。最初、この回の脇筋として点描される誘拐のエピソードと混乱してしまったのだけれども、これは演出的には弥一の過去の回想なんですね、きっと。(演出的な構成だけでなく、背中の楓状の火傷の跡について語っているのも、それっぽい。)


◇義母に邪険にされ、跡継ぎとして居心地が悪く、心に静かに澱が溜まっていく誠之進が辿り着いた場所は、幸福な此岸か、空虚な彼岸か。・・・これがこれから描かれていくのかも?と思うと超期待。


◇特に、これに関連して、「誘拐」という、殺人よりはマシだが盗賊よりは倫理的なバランスが難しい行為に対して、どのような物語的な展開を用意しているかですよ。
この回だって、「誘拐」に至った「義賊的な理由」が説明されていないでしょう。誘拐した子供もグルグル巻きにして地下に閉じ込めているしさ!ダークな方向に引きずられていく展開がイイナ。


◆◆以下メモ◆◆
「こいつはちょっと、約束がちがうんじゃねえですか?・・・汚い野郎だ。」(弥一)
「す、すまない。ほんの出来心だ。・・・か、金はある。息子を帰してくれ。・・・大切な跡取りなんだ。」(被害者)
「金を出し惜しんで、・・浪人まで雇っておいて、大切な跡取りか。・・・まあ、こっちにも流儀がある。・・・・バカ息子は近々お返ししますよ。」(弥一)