■ソ・ラ・ノ・ヲ・ト02初陣・椅子ノ話s吉野弘幸c神戸守d田中孝行g長谷川友香中野良一

◆年少の少女5人だけで構成される軍事砦・・・・という事実が判明した今回、個人的には拒絶反応が発生しかかったのだけれども、世界設定の奥行きを感じさせる廃墟な舞台設計とその見せ方、そして、ゆったりとしてほほえましい地に足のついた日常描写や少女の仕草作画に結構見入ってしまった。


◆特に、箸や名前など、ハシバシに控えめに差し込まれる、滅び去った「日本風文化」の痕跡がいいカンジです。主人公達の居住する軍事砦が、実は荒れ果てた学校の廃墟を利用して築かれていることが徐々に分かっていく後半がことのほかお気に入り。


◇「学校机」が散乱している廃墟の教室に、ポツンと放置されている「現代文」の教科書や黒板のかすれた日直の文字。音楽室に残されたまだ若干の弦が残っているピアノ、五線譜の切れ端など、個人的な燃えポイント多数!


◆主人公は、その廃墟の音楽室で、砦の5人の少女兵達が現代日本風の学生として平和にゆったりと音楽を演奏しているシーンを幻視する。(「現代日本風の学生(=まあ、セーラー服を着てるってことです。)」のイメージは直前に主人公がめくってみた「現代文」の教科書の挿絵によるのでしょう。)


◇この回では、主人公達の会話のはしで「軍隊でしか音楽を学べない作品世界」について仄めかされてもおり、そうすると「学校の廃墟」で「5人の少女兵達」が、「軍事目的で音楽奏でる」、その物語的な構図が劇的な重みを持って迫ってくるではありませんか。


◆こういう見せ方をすると、この作品、絶対に「平和と戦争」についての考察を進めざるを得ないはず。背景世界の現実感の強度もしっかりしているし、「ほのぼのまったり」だけでは済まない物語が紡がれていくとイイナ。


◆◆以下メモ◆◆
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二等兵の主人公が赴任してきた軍事砦の概要を、先任の二等兵少女が語る。
「わが1121戦車小隊は、現状、戦員は5名。・・・内訳は少尉1、曹長
、伍長1、二等兵2の、計五名である。」(先任二等兵少女)
「わが小隊に配備されているのは、戦車1、重機関銃1、軽機関銃2、小銃4,拳銃5、・・・この戦力で、トロワ州センズ一帯の国境線を維持するのが我々の任務である!」(先任二等兵少女)


「自分の記憶が確かなら、センズの向こうって・・・」(主人公)
「確かに山向こうはノーマンズランドよ。・・・でも、わがヘルベチアの国はここまでなんだから、ここは国境!最前線なの!重要拠点なの!」(先任二等兵少女)


「これこそが、この街で唯一首都に繋がっているホットライン。・・・つまり!なったら一大事ってことよ。そうしたら全員を起床させて直ちに第一種警戒態勢に入ること!いいわね!」(先任二等兵少女)


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◆この世界では、過去の発掘兵器「自律歩行戦車」を戦力として活用することが普通のことのようです。
「これが我が第1121小隊に配備された主力戦車「ベクタ0式自立歩行戦車タケミカヅチ」よ。」(先任二等兵少女)
「この子は、いわゆるゼロ世代の戦車だもの。もう国内に十機と残されていない、旧時代の遺産よ!」(先任二等兵少女)
「(・・・)修理中よ。パーツが足りないの。(・・・)整備マニュアルも残っていないし、パーツもほとんど見つからないけど・・・・でも、ノエルが何とかしてくれるから大丈夫よ。お飾りなんて言わせないからね!」(先任二等兵少女)


「バカにしないでよ。・・・ゆるゆるよ。確かにうちの部隊はゆるゆるよ。センズのお荷物部隊とかお飾りとか言われている。・・・ピンクの兵科のくせにまともに動く戦車すらないわ。」


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◆主人公がこの砦に赴任したのには、物語的な理由がありそうな・・・・
「隊長!どうしてあの子通信手なんですか!補充兵は、装填手か、操縦手って話だったじゃないですか!」(先任二等兵少女)
「仕方がないわ。司令部があの子をよこしたんですもの。希望が通らないのは良くある事よ。」(隊長の少尉)


「ああ見えて感のいい子だから、何か察したのかも知れないわね。」(隊長の少尉)


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◆主人公が廃墟の教室で拾った「現代文」の教科書。しかし、日本語は既に失われ、「イデア文字」と呼ばれているらしい。
イデア文字・・・なんて書いてあるんだろう?(・・・)読めたら素敵なんだろうなあ。」(主人公)


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◆廃墟についての主人公二等兵と、先任二等兵少女の対話。
「おもったんだけど、ここって学校だったんじゃないかな?」(主人公)
「こんなおっきな建物の学校なんて、首都にだってきっとないわよ。」(先任二等兵少女)
「でも、昔はもっと沢山人がいたんでしょう?だからきっと昔はこの建物いーっぱいに私達と同じくらいの子が集まって、みんなでお勉強して・・・・」(主人公)



「きっとここで音楽も教えていたんだよ!」(主人公)
「軍隊でもないのに?」(先任二等兵少女)
「だってこれ・・・(五線譜を指して)」(主人公)