■DARKER THAN BLACK -流星の双子-11水底は乾き、月は満ちる…s菅正太郎c&d山本秀世g村井孝司渡辺るり子永井達郎

◇やっと最新話に追いついた!


◆スオウが実は、イザナギこと兄シオンのコピー的存在であることが父パブリチェンコ博士によって明言される回。・・・ってことはやはり、最終回、スオウとイザナミ(イン)が出会ってしまい・・・・!的な展開を予想。


◆しかし、個人的にはどうもそのあたりの話はどうでも良くて、一匹狼の傷ついたアル中の孤高の殺し屋が、小さな女の子に好かれることによって人間性を回復し、自分の果たすべき役割を見定めて、また合間合間にその人格の優しい本質を露頭してしまう・・・・というあたりにすごく惹かれるな。やっぱり、これがこのシリーズの一番の魅力。


◇「契約者」という設定とそれが存在する作品世界が、前シリーズ会わせて35話近く積みあげてきても、とうとう腑に落ちることが無かったというフラストレーションに対しての、このシリーズの美点がやっぱりこれだなあと思うのでした。


◆この回でいえば、冒頭、ヘイがロシア料理を作り、それに無邪気に(恋愛と勘違いした感情を抱えながら)喜ぶスオウに対してぶっきらぼうに対応するヘイさんなんていう図式が、ヘイさんの激萌えポイント。


◇「大食い」「自分で凝った料理を作る」というのは、この物語でヘイに託されたキャラクター性だけど、前シリーズラストで明言されていたように、ヘイは「契約者」ではなく「人間」なんだよね。人間である以上、「対価」という強迫観念ではなく、自分の意思で料理をし、大食いしている。


◇この回、ロシアのペリメニという食事を作るに当たり、彼の心中をよぎった思いはどのようなものなのか。作中描写される「契約者」の「対価」とは違って、彼の行為は「脅迫観念」ではなく、人間としての動機や情動があるはず。自分に対する感情転移を、恋愛感情と勘違いして慕うスオウを見るヘイの優しい眼差しがうかがえるナイスなエピソード。


◆◆以下メモ◆◆
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◇ヨウコ殺害の犯人は、シズメかとすっかり思いこんでいたけれども、三号機関が組織として処理したという方向性もありかな?と、三号機関の課長のセリフで思った。
「BK201が・・・ヨウコを?・・・確かですか?」(ミサキ)
「ヨウコを誘拐したのは奴だ。・・・疑いようが無い。恐らく奴はヨウコからイザナミの居場所を聞き出した。」(三号機関の課長)



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◇極秘文章である三鷹文書の内容を語り出すミサキに対しての三号機関課長のレスポンス。
「<その兆し、沈むことなく昇る弓張り月にあり。・・・そは、やがて充ち満ちてイザナミの産み月となる。>
・・・よく調べたな。君が危惧するとおり、予言の最終段階が始まった。これまで君たちに黙っていたのは無用な混乱を避けるためだ。・・・かつて予言の解釈を廻り戦争まで起きた。」(三号機関の課長)
「・・・天国戦争?」(シズメ)
「そうだ。イザナミの覚醒はもはや止められない。予言を覆すために我々に残された手段はただ一つ。・・・・イザナギを捕らえ、始末する。・・・イザナミと出会う前に。」(三号機関の課長)


・・・・イザナミ(=イン)を始末できない理由があるんでしょーか。


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◇マオが語るイザナミと呼ばれるインと、ヘイについて。
「昔のインを知る俺たちからすれば、イザナミと恐れられる今のインは完全に別人だ。・・・中にはアレを進化だと言うヤツもいるようだが、ヘイにとってそれは重要じゃあない。・・・インを変えたのは自分だ。奴はそう思い込んじまっている。」(マオ)
「・・・・だから、ケリをつける?」(スオウ)


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◇廃墟となった池袋サンシャインシティの水族館で父親と再会するスオウ。スオウが二年前の東京エクスプロージョンの際に、シオンのコピーとして再生したことが語られる。
「パパ・・・・(・・・)どうして?・・・殺されたんじゃ?」(スオウ)
「アレはコピーだよ。(・・・)悪い人間から身を守るためにしつらえた、ただの人形だ。本当のパパじゃない。」(パブリチェンコ博士)
「(・・・)僕と一緒だ。僕もコピーだもん。」(スオウ)
「ん・・・どうしてそれを?」(パブリチェンコ博士)


「(・・・)確かに一度おまえの肉体は死んだ。・・・だが復活したんだよ。シオンの力で。」(パブリチェンコ博士)
「シオンの?・・・パパが僕を作ったんじゃないの?」(スオウ)
「二年前、シオンが契約者になった時のことを覚えているね?」(パブリチェンコ博士)
「うん。あの日、僕たちはシベリアにいて、狩りをした後、焚き火をして、暖かいスープを飲んで、・・・そしてシオンが契約者になった。・・・これも嘘なの?」(スオウ)
「星が落ちてきたのは本当だ。・・・でも、その後が違う。まず一つには、シオンは生まれた時から契約者だった。(・・・)そしてスオウ、おまえは最初あの場にいなかったんだよ。」(パブリチェンコ博士)




「私も最初、何が起こったのか理解出来なかった。シオンの契約能力はコピーを作ることだが、人間をコピーしたことなど無かったからね。・・・ましてや自分を」(パブリチェンコ博士)
「おい!・・この子は女だぞ!」(マオ)
「そうだ!だからスオウなんだ。シオンじゃないんだ。シオンのコピーはいつも何か一カ所、本物と異なる点がある。その理由は分からない。だが、そんなことはどうでもいい。」(パブリチェンコ博士)
「・・・じゃあ、記憶は?・・・僕にはどうして、僕としての記憶があるの?」(スオウ)
「それは、シオンがおまえの記憶として思い描いたものを、パパがMEを使って取り出し、おまえに定着させた。・・・お前の、五歳までの記憶と一緒にね。」(パブリチェンコ博士)
「じゃあ、水族館の記憶は?」(スオウ)
「あれは、シオンからお前へのプレゼントだそうだ。」(パブリチェンコ博士)
「プレゼントなんかじゃないよ。・・・あれはきっと・・・・。シオンに会わなくちゃ。シオンはどこ?」(スオウ)


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・ジュライが、マダム・オレイユの支援で動いていることが分かる、オレイユの双子とのシークエンス。
「・・・来る」(ジュライ)
「何が来るって?」(マオ)
「・・・分かった。」(ジュライ)


「そう・・・。見つかってしまったのなら仕方がないわね。彼らのドールにそこからの脱出路を伝えて上げて。」(マダム・オレイユ)
「・・・もう、伝えた。(・・・)あ、ここも見つかった。」(双子のドール)
「ここも?・・・(CIAのジョンスミスの着信を見ながら)あら、案外やるじゃない?あの兵法好き。」


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・現在のシュレーダー博士の立場を仄めかすセリフ?
「さすがはシュレーダー博士!無駄なものを作らせたら天下一品!・・・・と言いたいところだけど、威力が全然!消えるって聞いていたのに!」(マダム・オレイユ)


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・三号機関に腹蔵を持つミサキと、オレイユの対話。
「組織が無きいま、大国アメリカの満を持しての復活を演出したいみたいね?」(マダム・オレイユ)
「どうしてアメリカが?」(ミサキ)
イザナギイザナミを狙っているの。」(マダム・オレイユ)
「狙う?・・・だってあれは・・・」(ミサキ)
「そうなんだけど、あの人達にはエネルギー資源にでも見えちゃうみたいね。(・・・)とにかく、ここはあの子に任せて一旦引きましょう。こんな時のために彼女は鍛えられたんだから。・・・黒の死に神に。」(マダム・オレイユ)


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・スオウ可愛さに自分の目的を吐露することなくあっさり死ぬスオウの父親パブリチェンコ博士は、なんかコピーっぽくない?
「パパは・・・もう・・・ダメだ。」(パブリチェンコ博士)
「なに言っているの?パパも連れて行く!」(スオウ)
「もう・・・いいんだ。」(パブリチェンコ博士)
「良くないよ!」(スオウ)
「いや。いいんだ。・・・成長した、お前の姿が見られただけで、・・・パパは。」(パブリチェンコ博士)


「待ってよ!かってに納得しないでよ!・・・だって僕は、・・・昔の僕じゃないんだよ?・・・コピーだし、契約者だし、パパの知っている僕じゃ・・・」(スオウ)
「お前はずっと。・・・私のスオウだ。・・・シオンが良いと言うまで、それ(流星核)を手放しちゃいけないよ。」(パブリチェンコ博士)