■DARKER THAN BLACK -流星の双子-08夏の日、太陽はゆれて…s大西信介cもりたけしd&g伊藤秀樹

◇3話遅れ。


◆「契約者」となって感情が薄くなり人格が変貌してしまっても、過去の感情の揺れ動きや強い情念は残り、それが時折、こころの奥深く、閉じ込められた牢獄から浮上するように、ふつふつと浮かび上がってくる。


◇しかし、「契約者」にとって、その感情の残滓は、もはや客体として興味深く眺める対象でしかなく、何故そのような感情が過去の自分から生まれたのか、現在の自分との連続性を直感することが出来ないのだった・・・・・・・という話を、スオウらクラスメートとの楽しい想い出、自ら殺した恋仲だった男の子との感情の揺らぎを主題に、ターニャという契約者に寄せて描いた回。


◇契約者にとってもはや観察対象でしかなくなった「過去の情動」を象徴するために、水中から見上げた太陽の光のイメージを随所に付置していて、とても効果的でした。「過去の情動」は、もはや直接は感じられない。じれったくも間に視界を妨げる揺らめきがあるのでした。


◆こうして見ると、「普通の人間」から「契約者」になることは悲劇であり、まさに「発病」なんだなあと思ってしまいました。やっぱり精神疾患を意識した設定だと思うな。


◇感情の喪失と人格の変容、人間関係の断絶の代わりに得たものが、合理的な判断能力と超能力、多くの場合は殺し合いの現場へ放り込まれることなのだと思うと、なんという損な取り引きなのでしょう。


◆そう考えると、「契約者」を「天国へおくる」、あるいは自殺させる能力を持つと、この回に語られるイザナミことインの能力は、「契約者」に不可逆な精神の変容を自覚させ、しかも人間時代の感情を呼び戻して揺さぶり、結果として「戻りたいけれども、もう戻れない」という絶望をもたらすようなことなんじゃあ、ないかなと思ってみました。



◆ところで、「積極的にターニャを殺そうとした自分」を肯定したくないばかりに「かってターニャを殺すのを制止したのに、今回はターニャが殺害された結果を是認したヘイの矛盾」にしつこく食い下がるスオウの様子は、それ以外にもっと感じること、行動することがあるだろーっ、とひどく不自然に感じたけど、これはこれで「契約者」の精神を描いているのでしょう。


◇何者か(視聴者にはシオンとパブリチェンコ博士だと明かされているけど。)に狙撃されて死亡したターニャを悼むこともなく、水に浮かぶ死体にも関心を示さず、その場を立ち去るスオウは、やっぱり「契約者」なのだなあと思ったものです。


◆◆以下メモ◆◆
========================
◆いままで気にしてなかったけれども、ターニャの超能力が嫌すぎる。カシオペアに群がるゴキブリいやーっ


========================
・ミサキさんが水泳していると現れるマダム・オレイユ。どーも、アンバーさんのことを語っているような気がする。
「探しあぐねているようね?・・・例のもの。」(マダム・オレイユ)
「やっぱり・・・そう簡単には見つからないか。・・・・未来の記憶は。」
「稀にそういう言い方をすることもある。・・・三鷹文書のことをね。なんかロマンチックじゃない?・・・まだ変えられる余地のある記憶。・・・そんな記憶を持つ者は、幸福なのかな?それとも不幸?・・・そういう契約者がいたって話し・・・聞いたこと無い?」(マダム・オレイユ)


「どうしてそんな話しを・・・私に?」(ミサキ)
「ささやかなお礼のつもり。あなたのお陰で、手に出来る情報もあるのだから。」(マダム・オレイユ)


========================
・三号機関のシズメさんとミサキさんの対話
「俺はBK201とは違う。・・・ここ数年、ロリのドールを連れ回して、しっぽりと逃避行!・・・そこらの話は何となく聞いているんだろう?」(シズメ)


「(・・・)調べれば調べるほど面白いぜ。・・そのドール、イザナミにはとんでもない力があるらしい。」(シズメ)


========================
イザナミについて1(ロシアの諜報機関の長とヘイの対話。)
「私はね、基本的には契約者を信用している。・・・少なくとも無関係な人間を巻き込むような合理性の無い真似はしない。・・・だが、近頃はイレギュラーな契約者も多いと聞くからな。・・・君は聞いたことがあるか?ここ数年、自殺した契約者が少なからずいたという噂を。・・・しかもそれが、たったひとりのドールの力によって引き起こされたということを。」(ロシア諜報機関の長)


イザナミについて2(シズメとミサキの対話)
イザナミは契約者を天国に送る。・・・そんな力があるっていう噂だ。そんなもん確保してなにしようってんだか。」(シズメ)


========================
・前シリーズの最終回、当時ミサキの上司、公安の宝来部長の発言を自ら録音したものを取り寄せ、再生するミサキ。
<組織の存在、私とのつながり。いずれも君に証明することなど出来ない。・・・君はまだ組織の巨大さを知らない!>


「わたしが未来を見てきた契約者と会ったとすれば、接点はこれしか・・・」(ミサキ)