■新世紀エヴァンゲリオン20心のかたち、人のかたち<WEAVING A STORY2:oral stage>s庵野秀明c鶴巻和哉庵野秀明d大塚雅彦g鶴巻和哉

日本テレビ一挙放送第8夜その1/4


エヴァに取り込まれたシンジは、母親の承認と一体感の中にいる。その中から他人の世界を感じ取るシンジは、母親の代理としての他人、無条件に承認を与えてくれる存在が自分が現実を生きていく絶対条件だと感じる。


◇しかし、現実世界はそのようではなく、誰も無条件の承認を与えてくれない。母親に庇護された世界の中での安寧を思う時、あらためて現実世界へと足を踏み出す理由はシンジにはなかった・・・


◆この回では、「他人の恐怖」まで考察が進んでいないけれども、基本的な物語の構図は、第16話に続いて、映画版第26話と同じ。


◇結局、ミサトの全面的な承認によって、シンジは、母親の子宮の中から現実世界へと帰還するのでした。


◆ところで、あらためて思うのは、主人公の人格造形の奇跡のような素晴らしさ。ここまで自分が拠って立つ精神の基盤が脆弱で、積極的に生きる目的も意欲も無い人間を主人公にするのって、普通は出来ないよ。
しかも、それをテレビシリーズで1回まるまる使って描いてしまう。心理世界の描写も、夕日と電車、モノローグの繰り返し、実験的な線による表現など様々な手管を駆使していて見応えがあります。