■新世紀エヴァンゲリオン19男の戦い<INTROJECTION>s薩川昭夫庵野秀明c&d摩砂雪d助手安藤健大塚雅彦g本田雄設定補あさりよしとお摩砂雪

日本テレビ一挙放送第7夜その3/3


◇第1話やデュラックの海に取り込まれた第16話など、物語の登場人物達が驚愕するような不可能性の実現(電源の切れたエヴァの予期せぬ再起動みたいな)により、強烈なカタルシスを生むパターンは何度も繰り返されてきました。


◇この回では、それに加えて、主人公が一度勝負から下り(下ろされ)、しかし次々に仲間が倒れることで「自分がいなくては始まらない」という状況にいたっての、主人公の強い自己愛の成就が描かれ、カタルシスを補強しております。


◇「自分がいなくては始まらない」「自分の自己犠牲がないとみなが死ぬ」。なんというナルシズム。だから、「男の戦い」なんですねえ。
シンジくんの強情で閉じた自己愛は、Aパートのエヴァを下りることになり、ミサトと別れを告げるくだりでも強調されて演出されていますが、そこを含めて、ここまで他人に関わろうという意思を持って積極的に外部に拡張して成就したのは初めてではないでしょうか。


◆しかし、それで終わらないのがこのシリーズの素晴らしいところ!
その自己愛の拡張は、所詮自分を愛することの延長でしかない。エヴァという自己に万能感を与えてくれる装置は暴走し、私達にとってもカタルシス通り過ぎ、エヴァの正体に対する不気味さを、強烈に演出していきます。素晴らしい。傑作回。



◆◆以下メモ◆◆
・ケンスケ
「・・・シンジか?ここから出ていくって本当か?本当なんだな。・・・でも何故だよ。何故今更逃げんだよ。・・・オレはおまえに憧れていたんだ。羨ましいよ。俺たちとは違うんだからな。・・・・ちっくしょう。トウジまでエヴァに乗れるって言うのに、オレは・・・」