■東のエデン01王子様を拾ったよs伊藤ちひろ神山健治c神山健治吉原正行d山崎浩司g近藤圭一g補佐小澤郁志田四郎近藤源一郎

東のエデン
・原作・シリーズ構成・監督:神山健治
ホワイトハウスに「自分と日本の重苦しい空気の打破」の想いを込めて貨幣を投げ込み、それで咎め立てられず、無事に帰国できると思ってしまう・・・重症の平和ボケの女の子。
彼女は、全裸の不審者に助けられると、異国の地に放り出された心細さとその見た目の良さ、(偽造パスポートの)生年が同じということもあって、そのアクティブで世慣れた様子に「もしかして、ワタシの王子様?」とか考えてしまうのでした。・・・・・ええっ、王子様?


◇絶句するトンデモ天然キャラを主人公にしたなあ、ふわふわした展開だなあと思っていたら、ラストで東京にミサイル攻撃という劇薬が来て、どーやら、それも仕掛けなのだと分かってきます。


◆たぶん、平和なりに閉塞した日常に、過酷な状況を放り込むっていう意図なんですよね。劇中のボケ女子に「閉塞した日常」「鬱屈した精神」をぼんやり語らせてみたり、記憶をなくした全裸青年の部屋を「タクシードライバー」の、閉塞した精神の煮詰まった主人公の部屋に見立ててみたり、今後の展開にすごく期待してしまった。


◆ところで、キャラデザがハチクロのヒトで、平和ボケ、或いは天然ボケ、いっそ単なるボケという属性を表現する上で絶大な威力を発揮していると思ってしまったのは、ひねくれた感想でしょうか。(作品のテーマが私の期待するように転がるとしたら)すごく作家にとって意地悪な状況かも。


◆あと、この回は、ボケの主人公女子や、全裸青年が走るシークエンスが多いのだけど、この走りの作画が重力を感じる走りでとてもよかった。


◆◆以下メモ◆◆
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・アバンのボケ女子のナレーション
「彼は仕方なく王子になった。少なくとも私達の希望する明日は誰かが王子という名の生け贄になることでしかやってこないと気付いていたから。・・・だから、彼は不本意ながらも王子であろうとした。・・この王様の居ない世界で。・・・とはいえ彼は一体どうやって王子になったのであろうか。その秘密を、ワタシはまだ知らない。」


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・全裸青年が記憶を失い全裸でいる状況をつくったと思われる謎の男。
「ナンバー9は想像していた以上にユニークな男だな。・・・だがここで終わりだ。」


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・記憶を失った全裸青年の持っていた携帯の声。「あなたのコンシェルジュ」と称し、ジュリスと名乗る。
「誰か?・・・今回初めて記憶を消すに当たり、新しい経歴を用意しろとの指示がありませんでしたので、今あなたが誰かということは分かりかねますが。(・・・)最後の指示では次に向かう場所だけを伝えろとのことでしたので、そちらをお送りします。では、健闘をお祈りしつつ、あなたが今後も救世主たらんことを切に願います。」


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「なんでまたホワイトハウス?」(全裸青年)
「なんていうか、一応あそこが世界の中心なのかな・・って。おかしいですよね、普段はアメリカのことをそんなに意識している訳じゃないのに、私のちっちゃな悩みから世界情勢まで、根っこの部分では本当はみんなここに繋がっているのかな・・って思えてきて。でね、なんかあるじゃないですか、日本って。・・自分たちじゃ、もうどうにも出来ない重たい空気。それをね、少しでいいから何とかしてくださいってお願いしてみようかな・・・って考えていたんです。」(主人公女子)