■シャングリ・ラ01少女帰還s大野木寛c&d別所誠人g清水貴子海老原雅夫g補佐石井ゆみこ高岡じゅんいち

・原作:池上永一
・監督:別所誠人
・シリーズ構成:大野木寛
◆今期はまだピンとくる作品がない中、原作を途中で挫折した身だけど、シャングリラが気になったので書いてみる。あー、悪口です。すみません。(小人閑居して不善を為すって感じです。暇だとろくなこと書かないです、私。申し訳ないです。)


◆思えば、原作は、人々の食いつきが良さそうなキャラとカタルシス優先のダイナミックな展開の大量投入、悪く言えば、大味で整合性を気にせずに歪んでいる。
ワタシは、あんたたちこういうの好きだよね?とでもいうような迎合するような作者の気配と、硬直した手触りのキャラと世界描写がとても気になって、途中で放り出してしまいました。(東京の、言わずもがな「空虚な中心」の上に築かれた巨大構造物だとか、その空虚な中心に関わる世界の秘密的な展開などは、ものすごーく魅力的だったのだけれども。)


◆ただし、アニメーションにすれば、それらの要素が逆に映える可能性もあるじゃない?そう思ったのだけど、思うに、このアニメーション版は3つの困難を抱えてしまっている。


◆ひとつは、この物語世界の成り立ちのキーのひとつである<炭素経済>の納得性。小説読んでもやっぱりピンと来ない世界設定なのだけど、文章だとまあそういうこともあるかもねと思えた。しかし、(この回の)ビジュアルになったとたん!これはあり得んと思ってしまいましたよ。


◇(モデルにしたであろう)米国流金融マジック崩壊の後だという間の悪さもあるのかも知れないけれども(特に、炭素経済マジック?で新興国の経済が救われるところとか。)、たとえば、ちょろっと火力を燃やして炭素指数が急上昇しました!ってのは無いんじゃないかしら。少なくとも、文章読んだらもっと盛大に見栄えがする炭素排出の様子を想像していたんだ。これはビジュアル的な嘘の付き方の見せ方の悪さが増幅しているのではないかなあ。


◆第二の困難は、主人公の扱う主力武器「ブーメラン」のケレンの納得性。これも小説読んだらそういうこともあるかも知れないねと思えた。そもそも結構燃えるものもあった。だけど、絵が動いたら、うーん苦しいと思ってしまったんだ。


◇小説でも、主人公は、鋼を切り裂く巨大ブーメランを振り回して敵を蹴散らし、戻ってきたブーメランを靴底で受け止める。カッコイイはずなんだよ。おかしいなあ。
きっと、絵的な重量感が足りないんだよ、CGのせいかもしれないけど。


◆そして、第三の、そして最大の困難は、主人公が萌えキャラとしてデザインされていること。ワタシ、小説では(思えば実にシンプルな連想なのだけど)和田慎二先生の麻宮サキのイメージでしたもの。


◇この萌えキャラに人々を引き付けるカリスマがあるように思えなくて、第一話見ただけでは(周辺人物達がこの主人公に振り回される様が腑に落ちなくて)激しく不安な気持ちになってしまいました。


◆しかし、「廃墟の東京」のビジュアルは素晴らしいな。「世界」の美術設定にも力が入っていて、世界を見せるという意味では期待が大きい。特に、今後登場する皇居の上に築かれた超巨大構造物アトラスをどう見せるかがすごく楽しみ。