■ミチコとハッチン16まっ赤な不実のエチュードs宇治田隆史c&d大橋誉志光g清水洋

ミチコとハッチン
◆冒頭、演出的に宣言するようにメロドラマをモチーフにした基本的にはコミカルな回。
◇だけど、トマトに託した象徴的なエロ場面演出とか、女博士の「淡泊な所作と淡泊な言葉」だけでそのエロい所以をエロく演出するところとか、「男にふられた女博士のアンニュイな感情を昇華させる」というこの回の基本ストーリーだとか、(少なくとも私は)ちょっと日本のアニメーションではお目にかかったことのない様な上品でオトナな感じのする話でした。とても面白かった。


◆ところで、この回は「バカふたり」の物語でもないでしょうか。男に魂を奪われた女ふたり。バカの方向性は一緒だけど、バカの表出の仕方が違う対照的なバカがふたりいる・・・・というカンジ?


◇ひとりは、少女のように純粋を信じていて、ひとりの男に夢中で、だけど事態と己れを客観視できない真性のバカ。もうひとりは、性愛についての熟した思考を持つ上品なインテリ博士だけど、やっぱり逃げられた男のことを考えると穏やかな気持ちでいられないのですねえ。


◇しかし、エロいよ。(同じバカ同士として)ミチコに対置される女博士の、気怠げで無表情な、しかし天然バカなエロさが堪りませんでした・・・・・ああ、おれっていったい・・・Orz。


◆あと、この回は、巨大トマトの水耕プラント研究所を舞台にしたのが(最初は妙に思えたが)とてもよーく話にマッチしていたと思いました。エロスを際だたせていますよ。(例えば、冒頭の研究所の清潔な雰囲気のトマト水耕栽培の場面から、女性のホクロの毛を巡る男女のチチクリ合いへと場面転換する時に感じる不潔さの強調。そこをメロドラマな音楽で締めるものだから、あーたまりません。)


◆◆以下メモ◆◆
==========================
・また、この回は、ひさびさにミチコのバカ女ぶりが炸裂しているのも見どころ。「写真の研究所のトマト男」を感性だけで完璧にヒロシと思いこみ、めかし込んで研究所に乗り込んで(しなくてもいい)闘争をする、その因業の深さに眩暈が・・・・。すごく楽しかった。


「あの、・・・ロック・モレーナって誰なの?(・・・)新聞に書いてあったでしょう!トマトを持っていた男の人は、ロック・モレーナって名前で、ヒロシじゃない・・・」(ハッチン)
「しらねえよ、そんなこと。どうでもいいじゃねえか。」(ミチコ)
「どうでも良くない!全然良くない!また違うヒトだったらどするの?・・ミチコ、そういうところ見落としがちじゃない?良く見てよ!!」(ハッチン)
「これはヒロシだ。間違えるわけねぇんだ。ぜってえ男前あげてるんだ。・・そういう奴なんだ。・・・・」(ミチコ)


「わかってんだ、アイツは、・・・・どこまでだってあたしが行くって。・・・言ってほしいんだ、許してやるって。・・・とんだ甘えん坊だぜ。」(ミチコ)
「あの人は・・・違うと思うけど。」(女博士)
「それが、ヒロシ・モレーノスって男だぜ。」(ミチコ)


「なんで助けるんだ?」(ミチコ)
「かわいい・・・って思っちゃった。あなた、バカだから。」(女博士)
「おめえよ、この世にあたし以上の女が何人いるか。・・知ってるか?」(ミチコ)
「・・?」(女博士)
「あいつは知ってるぜ。」(ミチコ)


==========================
・大暴れして女博士のところにたどり着いたミチコが、彼女の寝室に無造作に脱ぎ捨てられている下着を見て、ヒロシと女博士の情事を、幻視するところ。


==========================
・後半のアツコの追跡による研究所からの脱出劇はは蛇足だなあ。


==========================
「サンパライーゾよ。彼」(女博士)


==========================
「おれー、行かなきゃ。・・・あのさ、キスでも、しょうか?最後だし。」(ロック・モレーナ)
「そりゃ・・ないすよ・・・・」(女博士)


「ふふっ・・・・ちょっとすっきりしたな。」(女博士)