■キャシャーン Sins 19心に棲む花を信じてs吉田玲子c&d中山奈緒美g奥田佳子レイアウトg補濱田邦彦北尾勝西位輝実原画g補白南烈総g馬越嘉彦

キャシャーン Sins
◇体が朽ちて崩れていく滅びの満ちる世界で、自身にも明かな滅びの兆候を見いだす時、リューズは深い絶望と途方もない徒労感に襲われて・・・・というものすごくこたえる、恐い話。この回も素晴らしい。


◇美しい花畑の中で不吉な蝶に囲まれて手首に浮き出る錆びに気がつき、暗い陰鬱な洞穴の中で首筋が崩れ落ちるのを目の当たりにしたリューズの絶望と、それによって裏返る感情を、雨に濡れそぼる世界で寡黙に憂鬱な手つきでじっくりと演出していきます。ああ、恐ろしい。
体が崩れ始めるだけでも恐いのに、滅びない体を持つキャシャーンに照らし出されて、リューズの絶望がいっそう募る様子が痛ましい。
キャシャーンの永遠・・・・私の滅び・・・」


◇この回の結末は、リューズの苦しみへのキャシャーンの寡黙な共感と抱擁。そして、生への執念を見せて滅びていく殺戮者の死に様を対置して、リューズの生への動機を再浮上させるのだけど、在りもしない(かもしれない)希望に必死にしがみついて未来を夢見ようとする、「死に向かうモノ」のあがきを、優しく寄り添って寡黙に励ますキャシャーンは、もはや宗教者の立場だなあ。