■ミチコとハッチン14命知らずの暴発ランナーs宇治田隆史c&d&g村瀬修功g補佐水畑健二鈴木竜也小松英司総g清水洋

ミチコとハッチン
◇これも秀作回。
◆ミチコに迫る、サトシの手配した殺し屋ふたり!独自の価値感と異形の精神を持つ殺し屋達がミチコをじわじわ追いつめていく・・・・という話。


◆この回は、何よりも異常にキレのいい、制御されつくした画面演出にびっくりです。追う者と追われるものの闘争という疾走感ある手に汗握る展開が基本にはあるのだけど、それだけでなく、演出やコンテにキッチリと追いついていく人物の仕草作画のクオリティの高さとシャープな人物フォルムにがっちり支えられて、カットの積み重ねと構図の連携の力で、ある種、得も言われぬテンポある疾走感が発生しているように思いました。(あと、他の回同様、音楽の力も大きいかしら。)


◇ええー、これ誰の演出だろー、とEDクレジットを見たら、コンテ、演出、作画監督と、ここ数年でもっとも私がハマッた傑作「エルゴプラクシー」の村瀬修功監督。ああ、村瀬監督の新作が見たいっ


◆そんな演出的に傑出したこの回ですが、話も素晴らしい。何よりも、老人の殺し屋、ドラッグ中毒の不死身の殺し屋それぞれ、キャラクター造形の描き込みと殺し屋としてポリシィみたいなものを、彼らそれぞれの「日常の生活感」の延長上にひょいと置き、この回が初登場なのに強い存在感を感じさせるのです。


◆しかも、加えてこの短い30分の中に、力作演出のカーチェイスと銃撃戦、そして壊れたバイクの修理を恫喝してやらせようとするミチコとそれを泣きそうになりながら止めるハッチンという、この物語のもっとも萌える基本構造をも無理なく詰め込んでおります。


◇また、恫喝されつつも頑固にミチコに意見する修理屋のオヤジのキャラも素晴らしくて、なんというか、シナリオの宇治田さんは、短い状況で人物の存在感を際だたせる達人ですね。すごいや。


◇その意味で、(演出の力か脚本の力かわからないけど)ベッドでうつぶせにくつろいでぼーっとしているハッチンが、脱ぎ捨てられたミチコのブラジャーをつついてベットから落としてニマーと幸福そうにほほえむ演出もすごいと思った。


◆◆以下メモ◆◆
・開巻冒頭、サトシの前で老人の殺し屋がタバコの煙を吸って吐くシークエンスと、やはり老人の殺し屋が夜のモーテルでミチコと初めて出会うところのタバコのシーン。タバコの煙のキレのある動きが印象に残る。


・ミチコに拳銃を渡したことから、サトシに命を狙われることになったシンスケのいっちゃった楽天的なアホさとヤバさもいいカンジ。サトシに轢かれてもまだ死んでいない模様。