■ミチコとハッチン13泥沼のゴールドフィッシュs宇治田隆史c&d出合小都美g久保川絵里子

ミチコとハッチン
◆幼なじみの脱獄囚ミチコを積極的に見逃し、またギャング集団モンストロの首領サトシと通じていた為に警察を左遷されたアフロな頭のアツコ。彼女はブラジル(でいいんだっけ?)のジャングルの僻地でクールとはほど遠い「生活安全課」的な仕事(ていうか、いささかやり過ぎな「僻地ギャグ」が随所に炸裂。これはかなり楽しい。)に自ら埋もれようとしていたが、ミチコに面差しと言動が似た少女と出会うことで再起動する・・・・という話。


◆この回自体は、ねじけているけど一途な田舎のあばずれ少女の思いこみとあがきがすごく瑞々しいし、ディテール豊かなギャグと日常、そしてそれらを相対化する(音楽、演出、シナリオの)独特の乾いたシリアスな空気感がやっぱりとても良かった。シニカルな視線がいいな。


◆だけどねえ、このアツコ。アフロという外見からして強い違和感を感じるキャラ設定なのだけど、その間抜けなビジュアル、また(ミチコへのコンプレックスに突き動かされた)これまた間抜けな基本の性格設定と、そして間延びしてもごもごハッキリしない声のキャスティング(・・これが最凶だと思うよう)が、「シナリオ的にクールを装った」彼女の言動と「悩みぶり」に素直に結びつかなくて、違和感がものすごい。(「見た目」×「性格」×「声」で、違和感の三乗。)
ううう、なーんか、物語のなかでの存在そのものが危ういバランスの上にあるような気がしてしまったよ・・・・


◆特に、彼女は、幼少以来の、親愛と嫌悪のアンビバレンツな「ガキ大将ミチコへの子分的コンプレックス」に突き動かされているようなのだけど、ギャグなチューニングの展開ならいいが、シリアス展開でもそれを大音量で押し出してくるから、なんというか、そんなの成立するかっ!て思ってしまったんだ。
情けない子供時代を源泉とする現在の行動の動機づけにものすごい違和感。


◇これは、きっと、オトナになれば、子供の頃の人間関係なんて易々と凌駕する、もっと辛いことや怨みに思う人間関係や軋轢がいっぱいあるんだよなあとゆー、ワタシの個人的な感触が強いからでしょう。
いいや、でも、平和ぼけして衣食住の心配のない豊かな子供時代を過ごしているからこんな感想が出て来るのかもしれませんね。申し訳ありません。


◆間抜けで情けない生い立ちのエピソードに裏打ちされた現在を演出するなら、笑いを生むのが第一の気がする。そして、一歩進むと、タランティーノ的な乾いた悲劇だとか、さらにそれすらギャグにするというワザが最近の流行りだし私も面白いと思うのだけど、それを思うと、この作品のアツコの語られ方はギャグでも中途半端だし、シリアスでも中途半端かもしれないね。
・・・ああっ、でも、すみません、これから、もっとすごい過去のトラウマエピソードが顕わになったり、とんでもない展開が待ち受けているんだよ。


◆◆以下メモ◆◆
・ところで、前回出てきたテレビドラマの中のヒロシ似の男の人。てっきり熱に浮かされたミチコの妄想的オブセッションだと思っていたら、今回、新聞に出ているのをアツコがクリッピングしているし、今後の展開に関わってくるのかな。