■キャシャーン Sins 16信じる力のためにs山田隆司c&d木村延景g山室直儀渡辺奈月総g馬越嘉彦

キャシャーン Sins
◆ルナがキャシャーンに殺されて以来、世界を支配したロボ達に滅びはやってきた。キャシャーンを作ったオージは、ゆっくりと錆びだらけになり体が崩れていくロボ達が、人間のように争い殺し合う醜い地獄絵を見る。
その様に責任を感じ絶望し、自分自身への破壊衝動に駆られたその時、オージは、死に塗り込められた世界に「光り輝く希望」を見つけたのだった・・・・・というオージの回想がメインの回。


◇破壊されたロボ達の死屍累々の様だとか、呵責の念に駆られて自己を破壊して静かに苦悩するオージだとか、ダークで全く救いのない淡々とした演出(・・ああっ、ツボをつかれまくりですっ)でタメをつくって、「希望」を爆発的に輝かしく見せるところが感動的でグッときました。


「こんな世界でも果たして救いはあるのか?・・・しかし、目にしたものは、滅びに絶望し、自堕落になったロボット同士の無意味な戦い。・・自分よりさらに弱者の人間をゲームのように破壊していく愚かなロボット達。・・・・まさに、生き地獄だ。・・・わしは生きる希望も、何の希望も持てなくなった。・・・絶望し、死だけを願った。」(オージ)


◆ところで、キャシャーンの人格の出発点は、正真正銘の「殺戮マシーン」だったというブライキングボスの語りには目から鱗が落ちちゃった。


◇この物語は、「「記憶喪失の善意のヒーロー」の記憶回復の物語」ではなく、「「白紙の殺戮マシーン」が地獄の様な世界で、ロボ達や人間達の死に様や生きる力に出会うことで、変容していく物語」だったんですね。(←我ながら今更だ・・・ほんとにボンクラですよ、わたしってば。)


◆あと、キャシャーンにルナを殺させる事で「世界の滅びの引き金」を引いたと語られるブライキングボスは、この回では、まるで全てを見通し、悟りを開いた賢者のようなポジション。
世界の滅びを見届けることに生の目的を見いだしたのか。それとも、この物語の世界律に積極的に関わっているのでしょーか。


◆◆以下メモ◆◆
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キャシャーンと旅をするリューズにも、よろめいたりして滅びの兆候。


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・それにしても、リンゴは人間なのかロボなのか。
「滅んだロボットと人間らしいものの中に、・・その子はいた。・・滅びに抗うその泣き声。・・・滅びとは違う世界に生きる赤ん坊。」(オージ)


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「何故だ、教えてくれブライキングボス。・・同じスペックでスキルも同じだというのに、何故オレはキャシャーンに遅れをとったのだ?」(ディオ)


キャシャーンは殺人マシーンだ。・・ロボット軍団最強のな。感情などは持ち合わせておらん。・・そのキャシャーンが、今じゃあ、まるで人間のように心をただよわせている。・・・滅び行く世の中で自分が何をするべきか、見つめ始めている。・・・誰かを守ろうとあがいている。・・・何も為し得ぬ事への恐れも感じ始めている。・・・まるで人間よ。」(ブライキングボス)
「(・・・)あの時、お前とキャシャーンの運命は決まったのだ。(・・・)奴がルナを殺した時、奴の意思に関係なく運命までも背負いこんじまったのさ。・・・この寂れた世の中にしちまった責任って奴をな。・・・奴を倒すことしか考えていねえ、お前とは違うのさ。」(ブライキングボス)