■キャシャーン Sins 14真実は闇を照らしs上代努c宮下新平d&g伊藤達文g補佐いとうまりこ西井輝実馬場充子奥田佳子総g馬越嘉彦

キャシャーン Sins
◇なんという、圧倒的な絶望に覆われた終末世界!素晴らしすぎる。
◆ぼろぼろと崩れていく自分の身体に怯えつつ「見て見ぬふり」をし、しかし自己消滅への切迫感に突き動かされ、「生への執着」の依代たる「ルナ=神」を求めて気息奄々と荒野を彷徨う亡者達の群れ!


◇もはや、彼らは、地獄の釜の底で「ただ己が助かりたい」という我執ばかりに突き動かされている存在に見える。(他人、たとえばリンゴに気を遣うロボットが演出されてこの救いの無さをフォローはしているのだけど・・・・)


◆ここで展開される地獄絵図のすさまじさは、「善意あるロボットの存在の強調」とか「滅びるのがロボットの身体である」とか「マンガ的なロボットによるロボットの虐殺」とか、そういったオブラートに包まれているために気がつきにくいが、・・・・なんというか絶句するしかないよ。ここまで絶望的な終末世界を描いたアニメーションってかってあったでしょうか。


◇そもそも、世界そのものが圧倒的な地獄なのだ。多くのロボの僅かな生存への希望すら、現時点では成就しない可能性が高いことをシナリオでは匂わせているし、希望を持ったロボット達そのものも謂われのない暴力に為す術無く虐殺されてしまう・・・。
そして、それを根本的に救済できる明快なヒーローも(物語の現時点では)存在しない。ヒーロー(キャシャーン)は自分の存在意義をウジウジ悩み続けるだけだ。


◆滅び行く者達はロボットなので、カサカサに乾いて崩れていくようなイメージで演出されるのだけど、これを疫病で体が崩れていく人間に置き換えてみたら、その凄惨さ、死臭に満ちた様子のただごとではないことがイメージできるよねえ。すごいや。


◆◆以下メモ◆◆
・ところで、ディオとレダは、こんな地獄の釜の底で、累々とした屍の上に、支配者としての座を打ち立てて一体何をしようとしているんでしょうか。