■シゴフミ12シゴフミs大河内一楼c佐藤竜雄d桜美かつしg川上哲也岩瀬智吉田尚人清水明日香g補佐岡本真由美佐古宗一郎総g川上哲也

シゴフミ
◇最終回。
◆一見、心に深手を負った、ふたつの人格の「フミカ」が、(彼女らを見守るヒトビトを含めた佐藤監督らしいほのぼのとした雰囲気もあって)、それぞれ生きる(存在する)意味を見いだし、それでもなお生きていこうという心の覚悟を描いた前向きな最終回に見えるし、そういう見方で一向に構わないとおもうのだけど・・・・・「暖かな音楽演出」と「ラストの二人のフミカの微笑ましい言い合いと感情の昇華劇」を取り除いた主人公フミカの置かれた「現実」ってかなりなバッドエンド。個人的にはそうとしか思えません。


◆Aパートで、著名な父親を児童虐待で告訴したフミカに降りかかるヒトビトの好奇の目。一般人の無責任な好奇心とそれ故の残酷な悪意を携帯電話の写真機能を効果的に使って演出しているこのパートは、「乾いた現代」を主題にしてきたこのシリーズならではで、やってくれるぜ!と思いました。素晴らしい。


◆そうして心が折れそうになっているフミカに、今度は、実の母親による「母親辞退宣告」が加わるワケです。意表を突く驚愕の展開。
「統合人格フミカ」が、「第二人格フミカ」を消滅させたと非難の感情を持つ女友達のところにも帰れず、フミカにはもはやこの世界の安住の地はない。


◇寄る辺のないフミカはいつしか、楽しい想い出と忌まわしさが混交した生家である父キラメキ邸へと足を向ける。そして、死を決意したフミカは、そこで脳内対話を始めるのです。


◆現実に居場所を無くして追いつめられた人間の、感情の高ぶった脳内対話は見ていて痛々しい。
演出的には感情の昇華による心のしこりの解消を意図しているのだけど、フィルムを見ていると、もはやこれは、辛い現実に耐えられずアタマがおかしくなってしまった可哀想な少女としか思えないのです。(あー、もうっ、私はひねくれていますのでっ!)


◇当然作品的には、脳内お友達である「第二人格フミカ」は、確かに存在していると死者の国の保証が付くのだけども、しかしこの一連の対話シークエンスは「あり得たかも知れない未来」への鎮魂でしかないような気がしちゃったな。


◇これなどは脳内友達に自分の存在意義を確認してもらうほど追いつめられたフミカを象徴するセリフではないかしら。
「・・・僕は本当なら居なかった人格。だから消えなくちゃいけないと思っていたけど。・・・僕を出してくれてありがとう。」(第二人格フミカ)


◆脳内友達は変わらず存在し続けるけれども、現実にはフミカの人生上のハードな課題は何も解決していない。だけど、その辛い現実の中でフミカは生きていく。そういう覚悟を固めたんだ・・・・こういう話なんですね、これってきっと。


◇あれ?一周して同じところにもどってきちゃったぞ。あーもう、私はほんとうに回りくどい人間ですよ。ダメだねえ。