■ミチコとハッチン05愚か者たちのサウダージPARTE1s宇治田隆史c山本沙代d出合小都美g中井準

◆ミチコが育った街で露頭する、シリアスな死と隣り合わせの物語の背骨。
(作品の雰囲気がとても似ている)カウボーイビバップならば、スパイクとビシャスの因縁話に相当する、基本ユーモラスなエピソード群の背景に見え隠れする硬質なストーリーラインかしら?


◇粗暴で雑なミチコの言動とそれに突っ込みを入れる大人びた真面目なハッチンという楽しいいつもの構図がずれて、思い詰めて真剣なミチコの行動と、それを理解出来ずに困惑して子供らしい駄々をこねるハッチンという構図に意表を突かれます。


◇それにしても、現在の自らの危険な立場を招いたのが、押し入った強盗への一目惚れだというのがミチコらしい雑さで、(物語のトーンが変わっても)キャラクターの造形が一貫していて好ましいや。


◆ところで、料理好きでやたら言動が格好いい(昔の)ファンタズマの親玉キリルとか、ハッチンを追い出す(ミチコが世話になったらしい)ごうつくばり風の孤児院(?)のババアとか、感動の再会が一転してケンカ別れになるミチコの旧友のおかまとか、非常に造形の細やかなキャラクターがたくさん出てきて、その面でも見応えのある回でした。


◆あと、覆面でミチコの家に押し入ったヒロシとミチコの若干間抜けな出会いのエピソードのノリや、随所に挿入される過去シーンの画面の挿入のタイミングなど、「音楽のノリ」や「語りのノリ」とあわせて既視感があるとか思ってしまった。


◆◆以下メモ◆◆
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・(過去)昔のミチコと、ファンタズマの親玉キリルの因縁の初対面のシークエンス
ファンタズマのキリル・チャペックというのはどいつだ?」(過去のミチコ)
「てめえか?キリル?・・・モンストロの面々を帰して貰おうか?」(過去のミチコ)


「お前どっちの派閥だ?クリーシィか?それともサトシの方か?・・モンストロなんだろ?」(キリル)
「ちげーよ。あたしはモンストロじゃねえし、ごちゃごちゃ言ってねえで返してくれたら、それでいいんだ。」(過去のミチコ)
「確かに俺たちは、モンストロが嫌いだ。けどな。停戦協定はまもってるぜ?・・返すも何も、なんのことだかさっぱりだ!」(キリル)


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・(現在)ミチコと彼女の故郷の昔馴染みのオカマとの対話。
「サトシに会いに帰ってきたんだ」(ミチコ)
「いい?ミチコ。あのころとは何もかもが違っているの。モンストロだって今や立派な犯罪組織よ。・・サトシはね、そこのリーダーなの。」(オカマ)
「・・・わかってる。」(ミチコ)
「じゃあ、今更あんなのにあってどうするの?」(オカマ)
「アイツならヒロシの居場所、しってんだろ?」(ミチコ)
「ヒロシ?とっくの昔に死んだわよ!」(オカマ)
「ヒロシは絶対に生きてる!」(ミチコ)


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・(現在)オカマが語るミチコが昔しでかした事。
「あんたがファンタズマ相手に暴れた後、一体どんなだったか聞かせてあげましょうか?(・・・)キリルが消えてあんたが捕まったよね。そのあとすぐ、モンストロの死体が見つかって戦争勃発よ。」(オカマ)
「いっとくけどね、何人も死んだわよ。・・ファンタズマもモンストロも関係ない人も。(・・・)全部あんたが始めたことでしょう?やられたからってキリルを殺しちゃうなんてあり得ないんじゃないの?」(オカマ)
「「あたしは」?・・「あたしは殺してない」んでしょ?・・・だったら何で認めたの?あんたに会いに行くって言っていたキリルがよ?何日も帰らないで、あげく死んで見つかったんじゃ、だれだってあんたが・・・」(オカマ)


「うるせぇよ。・・・キリルにあったのはたったの一回だ。顔だってとっくの昔に忘れたよ。」(ミチコ)


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・(現在)故郷の街でのミチコの危険な立場について。
「ついでだから教えてあげるけど、サトシ・バチスタ。ここにはいないわよ。・・ここにいるのはね。モンストロの傘下にはいったファンタズマだけ。」(オカマ)
「もう一回いうわよ。ここにいるのはファンタズマだけなの。あんたがどう言おうと、みんなキリルを殺したのはあんただと思っているんだから。・・分かったら、さっさと出て行きなさいよ。じゃないと殺されるわよ。」(オカマ)


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・(現在)自らの剣呑な立場を考えて、孤児院?にハッチンを預けようとするミチコ。
「私は、サトシって奴を探す。ガキの頃からずっとヒロシとつるんでいた男だ。・・ヒロシのことも知っているはず。・・そしたらハッチン、迎えにくる。」(ミチコ)


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・(過去)出会った頃のヒロシとミチコの対話。
ファンタズマに捕まった仲間を助けたくて、キリル・チャペックとかいう奴の女を人質に襲ったつもりが、あたしだったって・・・そういうこと?」(ミチコ)