■ミチコとハッチン04のら猫のミルキーウェイs宇治田隆史c&d神楽坂時市g中井準

◇これも秀作回。
◇思慮の足りない女のヒトを描かせたら右に出るものがないこのシリーズ。この回は、実家が没落し、夜の世界で男に搾取されて世過ぎをせざるを得ない女ぺぺリマが、世間知らずな無邪気さと浅慮の故に悲劇的な結末を迎える話。


◆えげつない欲望の世界に踊り子として身を浸しながらも露頭する、彼女の上品さやおっとりさが良く演出できていたのではないかしら。


◇庇護された過去を懐かしみ、しかし今は誰にも庇護されないどころか妹を庇護しなければならないという現状認識と行動は立派。だけど、なんと言うことか、世間知らずな彼女は男に搾取されるばかり。そして、その延長として友達の家に行くような感覚で興行元締めのリコ(という名前だが腹の出たおっさん)のお金を強奪し、それが取り返しのつかない結末へと至る想像を切実感をもって働かせることが出来ないのでした。


◆どこかコミカルな存在として描かれているリコ配下の子供ギャングたちが、夕日を背景に彼女に死をもたらす辺りの、冗談だろう?という感触と、音楽によりかき立てられた彼女の切迫感が異様なミスマッチ感を生んで、なかなかお目にかかれないような感触の緊張感溢れるラストシーンだったんじゃないでしょうか。素晴らしいや。


◇あと、冒頭のオトナである興行元締めリコが(撃つと脅しておきながら)ミチコを相手に銃を撃つ度胸がなかったのに対し、ラストのぺぺリマを相手にした子供達がコミュニケーション無しに容赦なく銃撃を行うというコントラストが、強烈な効果を上げていると思った。


◆ところで、夜の酒場でぼやけたデフォルメ作画とぼやけた演技でクダを巻くハッチンがむちゃくちゃ可愛らしく演出されていた。ここ好き。