■ミチコとハッチン01さらばだ!非情のパラダイスs宇治田隆史c山本沙代d山本沙代出合小都美g清水洋

監督:山本沙代
◇素晴らしい。今期のアニメはまだ殆ど消化していないのだけど、今期の一押し。
◆この回は、クールな子供のたどたどしい一人称語りで、ひさびさに「どストレートな継子イジメ」を語っていて、それだけにグッとくるものがありました。


◇最初は軽妙な語り口でユーモラスに描写される義理の父母や兄弟からのイジメが、次第にエスカレートしていき、とうとう一線を越えて洒落にならなくなる・・・・という状況の発展が、主人公の感情の鬱屈と爆発によりそっていて、とっても効果的。思わず感情移入しちゃったよ。
それでも、最後までユーモラスさを失わないのはこの作品のテイストで、これも美点。


◆そもそも、(おそらくこの作品の基本構造である)いたいけな可愛らしい子供が、冷静に現実を観察しているという構図が堪りません。


◇一方、そのクールな子供と対比して描かれるのが、彼女の救世主、母親を名乗る脱獄囚。脱獄囚の幼児的でアバウトな暴力性と、クールで世間ズレしている子供という構図を考えると、今後の展開も期待が出来そうです。


◆ところで、演出のトーンも、いつものマングローブ作品らしいオトナな感じでわたしのツボ。
子供の一人称語りのパートは、主人公の語りといい、随所に挿入される義理の家族を効果音とともにクローズアップして偽善一家の偽善の裏の実情を語るパートに代表されるように、最近の映画演出では良く見られる画面が多いかしら。(最近映画殆ど見ていないので見当はずれならゴメン)個人的には、話もノリも演出も全編タランティーノを思い出してしまいました。


◆また、音楽も、この作品を形成する最重要な要素として機能しています。カウボーイ・ビバップに近いテイストで、これも素晴らしい。


◇ちなみに、エンディングのコンテと演出は、湯浅政明監督でした。