■RD 潜脳調査室12光のない朝−image−sむとうやすゆきc&d萩原弘光g佐々木啓悟

◇1話遅れ。
◆「生まれつき「視覚」を持たない少女が、それを代替する形で発達させた「ある感覚」を電脳空間に表現し、それが繊細な芸術として受容されている」というアイデアを、彼女が「視覚」を獲得することで逆に「ある感覚」が失われた状況を描くことによって、周りから浮き彫りにしていく話。
そして、その「ある感覚」の源泉がこのシリーズの未だ明かされぬ主題のひとつである「地球律」に繋がっていると示唆されるのでした。


◇ただし、当然ながら、電脳空間に遊ぶ人間にとって魅力的だという「「ある感覚」に基づいた電脳アート」はちらりと画面で表現されるのだけど余り魅力的に描けていなくて、言葉を費やして説明するしかないのは隔靴掻痒。でも、仕方がない。
「見たこともないビジョンとたとえようもない音。嗅いだことのない香りと未知の感触・・・」(ハル爺)


◆思えば、この構図は、「地球律」や「電脳空間メタリアル」という、このシリーズのコアのアイデアについても同じで、ズバリこれ!とはなかなか示せず、必然的にじわりじわりといろいろな波紋や断片のエピソードを提示することで周辺から説得力を構築していくシリーズ構成になっているんじゃないでしょうか。


◇だけど、それらはやっぱりわかんないや。個人的には副産物として頻出する人間ドラマと演出の質の高さが毎回楽しみです。


◆◆以下メモ◆◆
「恐いの・・・。どこか別の世界へ来てしまったみたいで・・。空と海だけがあたしの想像と同じだった。青という色が思った通りの色で嬉しかった。・・・でも、あとの物は複雑で良く分からない・・・」(エミリ)


「人類は義体工学を含む医療の進歩によって障害者のいない世界を実現させたと言われるが、障害をもつ幾多のひとたちは長い歴史の中で、それを個性ととらえ、それぞれの文化や世界を確立し、時に奇跡の様な存在をも輩出してきた。・・・我々のしてきたことはいわば、そういった人種、民族、個性集団を差別し、地球上から駆逐してしまう行為に等しくもある。」(クシマ部長)