■「紅」10慣れの恐怖s森川治c松尾衡山崎みつえd松尾衡g小林利充進藤優中村直人宗崎暢芳谷川亮介
◆逃避の精神を基調とする真九郎の、ぐずぐずした腰の据わらないヘタレ描写がとっても味わい深い回。やっぱり何気ない自然なダイアローグの積み重ねが上手い。
◆とくに、弥生さんからプロとして失敗した仕事は忘れなさいと言われて思いを残しつつそれに全面的に従ったかと思えば、同級生の情報屋の女の子に割り切りすぎと皮肉を言われてぐらつき、タマキさんに突き上げられてしょぼくれる辺りの腹の定まらない様子には堪能しました。
◇また、他愛のない「普通の男子学生の放課後」を求めてみたり、部屋の掃除に逃避しようとするけど、逃避すればするほど次第に紫の不在の大きさが募ってきて、気持ちが固まっていくところなどは、状況としての間の取り方が上手かったのではないかしら。
◇しかし、ヘタレ男好きとしては、ヘタレの克服よりもやっぱり挫折を見たいや・・・とか思ってしまうのは、私自身がヘタレだからなんでしょうねえ。
◆◆以下メモ◆◆
・最も萌えた真九郎の紅香さんとのしょぼくれ対話。テキストにすると印象は薄れるが、最後の<済みません>が口癖になっていると紅香さんにイライラと指摘されるあたりの間髪を入れないタイミングが素晴らしい。
「なんて頑固なの?」(紅香さん)
「済みません・・」(真九郎)
「悪いなんておもってないでしょ?」(紅香さん)
「・・・はい」(真九郎)
「なんで私の弟子はみんなこうなのかしら」(紅香さん)
「済みません」(真九郎)
「それ口癖になっているの?」(紅香さん)
「え、・・えぇ」(真九郎)