■二十面相の娘01扉s土屋理敬c富沢信雄d小山田桂子g野口寛明森光恵

◆私はこのシリーズの原作の小原愼司さんの初期作品の「菫画報」が大好きで、そこに描かれたシニカルでマニアックで天然ボケ、そして奔放で女王様然として強気なスミレさんを中心にした、弱気な男共の群れなす牧歌的で、主流をどこか外れた感じが漂う、ゆるーい新聞部の物語をことのほか愛しておりました。( Wikiでみたら、1996-1999の作品みたい。)


◇この作品、スミレさんのキャラが強力で、ダイアローグのテンポもユニーク。醸し出されるゆったりとしたユーモラスな雰囲気が良くて、何度も読み返して幸福な気分に逃避したものです。


◆その小原さんの久方ぶりの新作ということで、当時(wikiによると2002年頃みたい)コミックフラッパーをわざわざ継続して購読していた記憶があります。
しかし、そこで見たのは、緩さもユーモアもない硬い物語。いささかアナクロな趣向を持って、菫画報では「小ネタ」として扱われそうな「戦前の探偵小説」的物語を大まじめに物語る小原さんの姿でした。


◇原作の初期の展開は、(私好みに)凄惨だけど、大味。当時のワタシの見たい物語では無かったみたい。(単行本の2巻あたりで雑誌も単行本も買うのをやめたので、その後の展開がどうなったのか、スミマセン!知らずに書いてマス・・・。)


◇語り口のテンポこそ、小原さんっぽいが、どうもその美質と題材が衝突しているんじゃないかなあ・・・・と当時は思ってしまいました。


◆さて、アニメーション化されてみると、アナクロな趣向と展開は同じに違いないけど、実はそんなに悪くないかもと思った。
小原さんの語り口のテンポはカケラも見えないが、それがかえっていい結果をもたらしているんじゃないかしら。


◇原作にどこまで忠実にアニメーション化されるか分からないけど、「小原さんのストーリーテリング」を一度じっくり検討してみようと思う今日この頃です。とりあえず、原作を買おうっと。