■墓場鬼太郎09霧の中のジョニーs長谷川圭一c&dうえだひでひとg岡辰也

◆この回は、主人公をカマボコにしちゃうなどに代表される、水木先生の独特な感性が炸裂!
鬼太郎は、ドロドロに溶けてガイコツだけになってしまいます。以後の鬼太郎のメタモルフォーゼな受難の数々は、ここに始まるのかな?


◆また、首相の供する「ライスカレー」に釣られ、祭り上げられて調子にのり、意味もなくねずみ男に乱暴を振るう「チンピラとしての鬼太郎」が、実に味わい深かった。
ここでの鬼太郎の「心性」は、後の「ゲゲゲの鬼太郎」でのねずみ男のポジションとして描かれている感じでしょうか。(敵と味方の別れ方は、構図どおりだけども。)


◇逆に、このエピソードのねずみ男は、鬼太郎に一方的で素朴な友情を寄せています。鬼太郎のほうがそんな友情を意に介さないというか、無視しているというか・・・。この逆転が素敵。


◆ところで、原作の雰囲気やストーリーに忠実に・・・・という意味では素晴らしいし、楽しんでいるのだけど、あー、段々物足りなくなってきたかなあ。


◇いささか古風な原作の作劇、今となっては風変わりで、エピソードや状況間の必然性の薄い淡々とした連想みたいな構造は、これはこれで味わい深いのだけど、これを現代で語るとなると、きっとそのまま語ってはいけないんじゃなかろうか。


◇いわば「肉離れ」したエピソード間をアニメーションならではの抜本的なアレンジで昇華させるみたいな演出的なワザを見てみたいなあ。(個々の状況やキャラの動きの設計を取りだしてみると、ものすごく良くアレンジされていて、見応えがあるのだけれども。)


◆◆以下メモ◆◆
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・公園のベンチでねずみ男が嘆く。
「ただでさえ貧乏なところへ、物価高騰の打撃。・・このままでは餓死を待つばかりだ・・・・。こうなれば、もう就職するしかないね。」(ねずみ男


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・池垣首相(原作だと池田首相)のライスカレーにつられる鬼太郎。この時代のカレーってゼイタクだったのかな?
「激しい戦いになりそうですが、引き受けましょう」(鬼太郎)


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・運転手付きのオープンカーに乗って急に羽振りが良くなった鬼太郎。
「おーい、ねずみ男。チョコレートのひとかけぐらいなら、めぐんでやってもいいぜ。」(鬼太郎)
「きさま就職したな」(ねずみ男
「総理大臣にたのまれちゃってさ。いっひっひっひっひっ」(鬼太郎)


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・ジョニーのギター演奏シーンが、全編にわたってやたら力がはいっていました。
・操られる鬼太郎
「すばらしい音のミリキ(魅力)・・・」


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・ジョニーに捕まった鬼太郎を「溶解」から助けようと説得するねずみ男
「いまやあんパンが15円。そのうち電車賃だってあがる。・・・そんな悪い政治をするヤツを何故守るんだ。・・・早く、改心してジョニーさんの味方になれ。」(ねずみ男。)