■神霊狩/GHOST HOUND 15Toward an Abandoned City-廃市へ-s小中千昭c&d新留俊哉g中村光宣

◆この回は、大神信くんを軸にしてその周りに幾つかの挿話が配置されるのだけど、どーもいちいち彼の言動が腑に落ちないす。


◆まず、自ら教祖の祖母を「呪い殺した」と語る大神信くん。
祖母に直接、憎悪をぶつけるシーンは何度もあったけど、自らを「教祖としての祖母」と同じレベルに置いて「呪い殺す」とまで、言っちゃうのが、唐突でなんだか腑に落ちない。


◇大神くんが「魂抜け」で、現実への干渉を行い、その行為の中で「祖母に死をもたらす何かをする」というストーリーラインがあればまだしも、現実レベルで憎しみをぶつけていただけなんだしなあ。


◆そして、「何らかの決意」を胸に秘めて(腰に下げたバタフライナイフはその証しっすよね?)、久間田市の母親とその愛人(?)のところに向かう大神くんも、唐突すぎる。


◇やはり母親に憎悪を抱いていたのは描かれていたけど、それが爆発するであろう瞬間に至までの「物語的な伏線」が薄すぎるような・・・


◆総じて、このシリーズは、丁寧に物語を描いているようで、なにか根本的なところで描き切れてない部分が多すぎる様な気がする。
それとも敢えて描いていないのかしら?いや、きっとそうだ。これが趣向なんだろーな。


◆さて、ところでこの回の萌えポイントは2つ。
まずは、古森太郎くんが「お姉ちゃんの生まれ変わりの可能性」について、母に語りかけたときの病的な彼女の目の痙攣!
こーゆージワジワした怖さをもっと極端にやって欲しいな。


◇そして、なによりも、古森くんの夢のテープを暗室で聞いていた平田センセイが、古森くんの感情に同調し、「姉と共に囚われている廃病院の幻覚」を見て、こみ上げる喪失の感情を押さえきれなくなるシークエンスが良かった。
古森くんの哀しみの感情に同調し、目から鼻から水をダラダラ垂らすさまが、じつーに愛らしかったですよう。
即座に、鳳先生にすがろうとする情けなさもヨカッタ。


◆◆以下メモ◆◆
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・都を姉の生まれ変わりではないかと、淡く比定する古森くん。
「お母さん・・・」(古森くん)
「なあん?」(お母さん)
「お姉ちゃんが・・さ。もしかして、もう生まれかわっとって、元気にいまでん生きとる・・・としたら、ちうか。そげんならよか・・とかち思えるやろか?」(古森くん)
「さあ・・・」(お母さん)


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・都のお父さんが、感情を高ぶらせて追い返した「お土産を持ってきた客」は誰でしょう。大神拝礼会の番頭、憲子さん?


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・鳳センセイはどーやら中嶋くんの父親から、「何かの情報」を取るために色目を使っている様子。
フランケンシュタイン先生。・・研究の情報を早くくれたら、家庭をこわさなくて済むんですよ。」(鳳センセイ)


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・「県の広報誌の記者」の自称が嘘だとばれ、仕方なく中嶋くんに事情を話し出すおっさん。ただし、このおっさんの言うことは信用できないでしょう。
「正直言うとだねえ。・・ぼかあ、まあ、法務省の機関に所属しているんだけどね。あんまりおおっぴらに言えない部署でね。・・だから、君たちもその秘密は守って欲しい。」
「僕がこの街に来たのは大日本バイオインダストリィの研究施設を調べるためなんだ。」
「いや、ここが何か危険なことをしているとかってことじゃあない。ただ、この研究所が日本の国益にとって重要なものでね。」
「国内国外、いろんなところが情報を盗もうとしているんだ。・・そう、君たちにさっき聞かれちゃったようにダムで死んでいたのは、多分産業スパイなんだ。」